【ポーカーフェイス検事✖感情を顔に出しまくりの事務官】能面検事
【著者】中山七里
【内容】
新米検察事務官の惣領美晴は、大阪地検の不破俊太郎一級検事につくことに。冷徹で無表情な不破は、「能面」と陰では呼ばれている。とっつきにくい人物だが、どんな圧力にも情にも動じることなく、自らの流儀を貫き通す男である。そんな二人が、西成署管轄内で起きたカップル殺人事件を担当することに。容疑者は過去に被害者女性にストーカー行為をしていた男だが、犯行時刻に別の場所で暴行事件を起こしているというアリバイがありながら送検されてきた。捜査を進めると証拠物件のいくつかが紛失していることがわかり、大阪府警全体を揺るがす大きなスキャンダルへと発展してゆく……
完全無欠の司法マシーン・不破俊太郎が、しがらみを切り捨て真実のみをさらけ出す!どんでん返しの帝王が生み出したニューヒーローに魅了される一気読み必至のミステリー。
【感想】
★★★☆☆
ポーカーフェイス検事の冷静な捜査劇。
大昔の失敗により「能面」検事と呼ばれるくらい感情を表に出さない検事✖感情を顔に出しまくりの事務官による捜査劇。最後のどんでん返しにさすが中山七里先生!と思えた作品でした。
はじめはとっつきにくい感じだった不破検事も、仕事ぶりが分かるにつれ、非常に仕事に真摯である素敵な人だと思いました。
【大変だけど不幸ではない】亜由未が教えてくれたこと 〝障害を生きる〟妹と家族の8800日
著者 坂川裕野
【内容】
障害をぜんぶ抱きしめた、家族の奮闘の物語
2016年の相模原障害者殺傷事件をきっかけに、重い障害をもつ自らの妹にカメラを向けて番組を作ったNHKのディレクターが世に問う、「障害者は不幸を作ることしかできませんか?」
「障害者は不幸を作ることしかできません」――2016年7月、神奈川県相模原市にある知的障害者施設で大量殺傷事件を起こした植松聖被告の言葉だ。障害者を介助する立場にあった元職員が起こした事件の衝撃性と同様に、その言葉も人々の心の淵にくらい影を落とした。事件をきっかけに、重い障害をもつ自らの妹にカメラを向けて番組を作った若きテレビディレクターの著者。本書は、少しでも多くの人に障害者のリアルな苦悩や喜びを知ってほしいと願う著者が、社会に宛てて綴った長い手紙である。
【感想】
★★★☆☆
「幸せ」「不幸」というのは非常に主観的だなと思った。「笑ってくれない」なんてずっと言っている筆者に対し最初は苛立ちを感じた。あとで両親がたしなめている場面ですっとした。
確かに、重度心身障害者の亜由未ちゃんの介助は大変である。
ヘルパーさんの協力なくてはなしえないものだし、お母さんも夜ずっと起きて一時間ごとに体位を変えてあげたり、その他にもたくさんの「大変なこと」がある。
このお母さんが小学生のころから祖母の介護をしていて、自分の子供には自由にさせてあげたいから介助の強制はしない、でも娘には近くに住んでいてほしいというのが辛いなと思った。子供の自由を少しでも制限することなんて親として言いたくないけど、でもそう約束してもらわないと亜由未が心配でたまらないという気持ち。
ほとんどお父さん、お母さんが主体になって介助しているから、もし自分がいなくなってしまったらと考えると「医者になり亜由未の主治医になる」と言ってくれている娘に頼りたくなる。
亜由未さんの双子の姉妹、由里歌さんも医者を目指したのはやはり双子の亜由未ちゃんのことが影響したのは明らかだけど、それでもやはり大学生になり、一人暮らしをして「普通の大学生」の暮らしをしていたらきっと思うこともあっただろう。
由里歌さんの「一生懸命障がい者兄弟の介助や支えをして美談を流している番組を見て辛くなった」という気持ち。これはこういった立場の人でない限りわかりえない気持ちなんだろうなと思った。「美談」も、いろいろな立場で考えると「美談」ではない。
彼らが幸せであるかどうか、それは当事者にしかわかりえないことだと思う。私たちが勝手に「障害を持っているから不幸だ」とか「笑っていないから幸せじゃない」と決めつけることではないと思う。友人で、話ながら笑っている人でももしかしたら心のうちはとても不幸だったりするのかもしれないし。逆にはたから見たらめっちゃ不幸な境遇でも、その人はとても幸せなのかもしれないし。
なので、このドキュメンタリーは相模原の事件をきっかけに書かれたものらしいけれど、その犯人が言った「不幸」の決めつけはおこがましいものであるなあと思った。
【暑くて眠れない夜に】ぞぞのむこ
著者 井上宮
ゲラ読了 7/20発売
【内容】
電車を乗り間違え、見知らぬ駅に降り立った島本。部下の矢崎は「ここは漠市です。すぐに離れたほうが良い」と、訳のわからぬことを淡々と言う。しかし先を急ぐ島本は、その言葉を無視し、漠市を通り抜け、取引先へ向かう。翌日、大きな仕事が決まったり、会社のマドンナに声をかけられたり、ラッキーが続く島本。上機嫌で家に帰ると、自宅ドアの前に元カノののぞみが座っていた。復縁かと喜んだ島本は、のぞみを家に泊めるが、のぞみは一言もしゃべらず、精気もない。翌日、のぞみを家に残したまま会社へ向かう島本は、本物ののぞみとバッタリ出会う。彼女は妊娠しており、とても幸せそうだ。では、家にいるあの女は誰なのかーー。謎の都市・漠市にまつわる5つの不条理ホラー。
【感想】
★★★☆☆
夏、寝苦しい夜に一話ずつ読むのにぴったり。
謎に包まれた「漠市」にまつわるホラー。この街には「アタサワ」と呼ばれる場所があり、そこに近づいてはならない。もし近づいてしまったら・・・・という短編集。どの話も面白くて思わず手を石鹸で洗いたくなる。個人的には「クレ」と「ノニ」の話が面白かったです。
【少子高齢化を考える】対岸の家事
著者 朱野 帰子
【内容】
「定時」の次は「家事!」
話題沸騰『わたし、定時で帰ります。』の著者、最新作!
「専業主婦なんか、絶滅危惧種だよね」
村上詩穂は、今ドキ珍しい「専業主婦」。居酒屋に勤める激務の夫と、おてんばな2歳の娘。
決して裕福ではないけれど、家族のために専業主婦という道を選んだ詩穂のまわりには、同じ主婦の「ママ友」がいなかった。娘とたった二人だけの、途方もなく繰り返される毎日。
誰でもいい、私の話を訊いて――。
幸せなはずなのに、自分の選択が正しかったか迷う詩穂のまわりには、苦しい現実と戦う人たちがいた。
二児を抱え、自分に熱があっても仕事を休めないワーキングマザー。
医者の夫との間に子どもができず、患者たちに揶揄される主婦。
外資企業に勤める妻の代わりに、二年間の育休をとり、1歳の娘を育てる公務員。
夫に先立たれ、認知症の兆候が見え始めた中年の主婦と、結婚よりも仕事を選んだその娘。
頑張り続け、いつしか限界を迎えた彼女たちに、詩穂は専業主婦として、自分にできることはないかを考え始める――。
どうしてこんなに大変なんだろう?
特別なことなんて、ひとつもない。何気ない日常でさえ必死でもがく人たちを描く、リアルファミリーストーリー。
この本を読めばきっと、明日が来るのが待ち遠しくなる!
【感想】
★★★★★
「対岸の火事」にひっかけたタイトルがなんとも秀逸。
専業主婦、ワーキングマザー、育児休暇中のパパ、不妊治療中の若奥様、結婚も子供も必要ないと働くキャリアウーマン、そしてシングルマザー。
それぞれの家事や育児の悩み、そそしてそれぞれの生い立ちから来る考え方が描かれた作品。読み手も誰しもがきっとそのうちの一人ではないだろうか。なので非常に共感をしてしまうし、一緒に苦しい思いを感じ、そして違う立場から見るとこういう感じで、この人たちもこのように悩んでいるんだとわかる。読んでいて胸が詰まる箇所がたくさんあった。是非、政治家にも読んでもらいたいですね。
子どもを産めという政治家や年配者、子供を産むと仕事がしづらくなる環境、待機児童問題、家事や育児に協力的ではない夫、そして莫大なお金がかかり、ストレスも半端ない不妊治療。そして簡単に養子縁組ができない風潮。
私たちの身の回りは「安心して子供を産めない。育てられない」状況である。
昔とはあらゆることが変化した。子供を増やすのは国にとって大事なことだけれど、まずは土壌をきちんと作らなくてはならない。
逆に私の住む欧米では働いてないものが社会的弱者なので、日本人主婦で言葉の問題などもあり、専業主婦をしている人は周りから
「やることなくて暇でしょ。ふだん平日何やってるの?(この場合、「家事」は答えとして認められない)」
なんていわれたり哀れまれてしまったりすることも多いし、夫によっては「男も女も平等に働くのが当たり前なんだから、専業主婦は甘えである」という人もかなりいる。人によっては産んで1か月で職場復帰する人もいる。
働いていても働いていなくても「領収書制度」をとる夫婦もいる。これは何人かの友人のうちで採用されている制度だけれど、旦那さんがメインで働いていて、奥さんもフルタイムだけれど収入は旦那さんほどよくないとか、奥さんが主婦の場合に採用されていることが多いんですが(旦那さんも奥さんも同じくらい稼いでいる場合は完全に折半が多い)、奥さんが買い物に行って、買い物のレシートを夫に見せる。そして夫がそのレシートの中で食べ物や生活必需品などのお金を奥さんに後で支払うというシステム。たとえば奥さんがちょっと化粧品を買ったり生理用品を買ったり、そういうものに関してはお金を支払ってくれないので、奥さんが独身時代にためていた貯金から出すか、もしくは働くしかない。
これを最初に聞いたときは「え!それモラハラじゃないの!」なんて思いましたが、何人かその制度を採用されている夫婦がいたのでそれはそれでこちらでは「当たり前」な風景なのかもしれません。
でもそのかわり、夫も家事や育児には積極参加です。何曜日と何曜日は夫が子供のお迎え(小学校終わるまでは保護者のお迎えが絶対に必要)なんて決めて、お父さんがお迎えに行く光景もかなり見ますし、日本と違ってそこまで残業しません。なので帰ってきてから食事の支度もしたり、まあ後片付けは食洗機とかが多いかな。あと、冷凍食品も充実してるので料理時間の短縮にも一役買っています。
個人的にはワーキングマザーの礼子が最終的にカッコイイと思った。「子供に楽しむ親の背中を見せてあげたい」最高だと思う。親が生き生きとしているカッコイイ姿を子供たちが見て育つ。子供はそんな両親を誇りに思うだろう。これは働いているにして緒働いていないにしても、自分の生き方を子供に誇れるような暮らし方がいいなということであり、別に私自身は奥さんが専業主婦でも正社員でもパートでも、生活が成り立っていくんならそれは個人の自由だと思っています。
専業主婦、ワーキングマザー、キャリアウーマン、選ぶのは個人の自由だし、選べない場合もある。すべての人にとって暮らしやすい社会になればと思った。
2018年8月末ごろ刊行予定。
【夢と、友情と、テンプテーション】ショコラティエ
著者 藤野恵美
【内容】
母子家庭で育った聖太郎と、大宮製菓の御曹司・光博は、共通の趣味であるお菓子作りを通して親友となる。ある日、聖太郎は光博から、幼なじみが出場するというピアノコンクールに誘われ、凛々花を紹介される。凛々花のピアニストとしての才能と、奔放な性格に惹かれてゆく聖太郎。光博や凛々花との貧富の差も、なぜだか気になり始める。そんな中、ふたりは「中学生お菓子名人コンクール」に応募するが、聖太郎は書類審査落ち、光博は一回戦敗退となる。お菓子作りには誰よりも自信があった聖太郎は、光博への複雑な思いを抱きはじめ、いつしかふたりは疎遠となってゆく……。
【感想】
★★★★★
母親がクリスチャンで、その信仰に完全には傾倒できない母子家庭の聖太郎。
そして小さいころから我慢をすることなく育てられ、親からの期待が少々重荷に感じる大宮製菓の御曹司・光博。
ある日聖太郎が光博の誕生日会に招かれ、そこでチョコファウンテンに出会ったことから二人の仲は親密になり、一緒にお菓子を作ったりして過ごす。
しかし、初恋に目覚めたあたりから聖太郎は嫉妬を感じるようになり、光博との差に劣等感を感じる。光博は光博で大好きな祖父が聖太郎ばかりを褒めることから嫉妬を感じる。
そこから二人のレールは離れ、別れていく。順番に聖太郎についてと光博について描かれていて、その後の二人の意外な人生、生き様に引き込まれていく。そして「光博と聖太郎がまた再び仲良くなれますように」と願わずにはいられなくなる。
舞台も「ノストラダムスの予言に想いを馳せていた子供時代」「ポケベルを持つ高校生」「阪神大震災」など、私も通ってきた道だったのでとても入り込みやすかった。
母親がキリスト教徒という設定もうまく絡んでいて物語に深みを持たせ、聖太郎の生き様や性格に説得力があった。
最後は希望溢れる展開になっていて、とてもよかった。二人の輝かしい未来を想像せずにいられない。
そして読んでる最中ずっとケーキが食べたくなったり、ボンボンショコラが食べたくなった。まさしく誘惑の小説だった。この本ボンボンショコラ(そこは是非4種のボンボンショコラで)と一緒にセット売りしてほしいと思った。
【婚活の教祖、ここにあり】追い込み婚のすべて
著者 横澤夏子
【内容】
プロポーズなし! ? 作戦通りの追い込み婚! ?
白馬の王子様が絶滅した今、私たち女性はいかに結婚するのか?
その答えがここに!
夜景の見えるレストランに彼女を呼び出し、婚約指輪を「パカッ」。
そんな時代はもう終わった。白馬の王子さまはすでに絶滅。
それでも結婚したいと望むならば、答えはひとつ。横澤夏子が婚活パーティに100回以上通い、「関東近郊に住む次男坊」とタイプを定め、ありとあらゆる手を使って彼に“結婚しないこと"を断念させたテクニックを盗む以外にありません。
自身28歳の誕生日であり、入籍1年を迎える7月20日に発売する本書では、横澤夏子が男と出会い、軟禁(結婚)するまでに行った鬼の所業のすべてを明かします。
【感想】
★★★★★
婚活女子必読!!!
この本を読んで、横澤夏子さんのイメージがとてもよくなりました。
ものすごい努力家で、きちんと自分自身を見極めていて、行動できる。横澤夏子さんは、まさに血のにじむような努力をして結婚を勝ち取った人です。
知り合いに「顔で勝負できないんだから人生を逆算して婚活しろ」と言われた横澤夏子さん。なんと21歳の時から婚活パーティに顔をだしていたそうです。
私その時大学生だったし、結婚のことなんてうすらぼんやりとしか考えてなかったし。
21歳から婚活とか、よっぽどモテるだろうに、27歳でやっと結婚。しかも、条件を「関東近郊在住で次男」と絞ったのに結局長男と結婚した横澤夏子さん。若くても婚活市場って厳しいんだなと思いました。私も25歳の時に旦那と出会って数年付き合って、28で結婚しました。なので、本格的な「婚活」はしたことはないです。
婚活パーティ、いったことないので想像とか、テレビで見たりしかないんですが、彼女の婚活パーティレポはめっちゃ面白かったです。相手を陥れようとする顔サイズ半分の女、めっちゃ笑った。「月刊にいがた」購読したいくらいコラムが面白かったです。
料理教室に通い、「ピーマンの肉詰め」が究極の婚活料理だと語る。本屋で待ち合わせをして「料理本コーナー」で町、小脇に何冊か料理本を抱えながら、「作り置き料理」の本を手に取る。なんてあざとくて的を射た行動!婚活女子なら「なるほど!」と思うこと間違いないと思います。
よく雑誌やニュースサイト、コラムや広告で「30代からの婚活」「40代の授かり婚」なんてありますが、ほんと遅いんですよ30過ぎたら!っていうのを感じました。横澤夏子さんて顔の造形はまあ美人とは言えないかもしれませんが愛敬はあると思うし、背が高くてすらっとしてる。そんな彼女が21歳から血のにじむような努力してきて勝ち取った結婚。本当に「おめでとう!!幸せになって!」って思います。
30歳を過ぎたら彼女の婚活マニュアルを実行し、余裕ぶっこいてる場合じゃないよ!焦って!!!っていう風に思いますね。
社長さんや重役、めっちゃ金持ちとかセールスポイント持ってる人は余裕かもしれませんが。
世の中の30代以上の婚活女子でそんな飛びつくようなセールスポイントがある人、なかなかいないと思うし、みなさんそこそこ美人だと思います。「私は美人だから」っていうポイント、30歳を過ぎたら価値が下がります。身内にもそういう人いますが34歳、彼氏なしです。
彼氏を作るのもまず大切ですが、彼氏ができたらある程度追い込むのも大切ですよね。
年下彼氏とか5年とか付き合って放り出すとかいう鬼畜の所業をする人もいますし。
婚活、大変だと思うけど、これはほんと婚活のバイブルだと思います。
最後の対談も面白かったですが「近藤千尋さん」との対談はちょっとイラっとしました。かわいいけれどあんまり彼女は好きじゃないな。
婚活女子よ、買うべし。読み込むべし。
そして普通に面白いです。
【寄生虫殺人事件】清らかな、世界の果てで
著者 北里紗月
【内容】
医療ミステリーの新星・北里紗月、待望の第2作!
前代未聞の寄生虫殺人に
天才毒物研究者・利根川由紀が挑む!
ミステリー評論家・杉江松恋氏、激賞!
「今度の北里紗月は寄生虫による連続殺人!
アイデア奇抜、プロットは緊密で申し分なし。
しかも探偵が凜々しいぞ(変人だけど)
<あらすじ>
「身体の中を小さな虫が這っている」と訴えながら死んだ父親。
その友人も転落死し、死体から大量の虫が発見された。
前代未聞の寄生虫殺人が進行しているのか?
続発する噛みつき通り魔事件との関係は?
犯人の巧妙な意図を天才毒物研究者・利根川由紀は看破できるのか。
迫真の医学サスペンス!
おすすめコメント
デビュー作『さようなら、お母さん』で医療ミステリーの新星として注目された
北里紗月さんの日々は多忙です。
昼間は生殖補助医療胚培養士(体外受精コーディネーター)として勤務し、
帰宅後は主婦として、3児の母として、家事に子育てに奮闘。
プロットを作成したり、執筆を行うのは毎夜2時間のみ。
しかし、この粘り強い積み重ねが、第2作『清らかな、世界の果てで』に
結実しました!
家族の絆を守ろうとするラストの衝撃と感動を、ぜひ味わってください
【感想】
★★★★☆
ページをめくる手が止まらなかった。面白くて一気読み。
著者の方は生殖補助医療胚培養士さんだそうで、なるほど、こういう医療関係の知識があるんだな。
主人公は直哉という、生物学部の学生。彼の年の離れた妹から、友達の父親が亡くなって、どうやら亡くなる前に体に虫がいるというようなことを言っていて、よし、私のお兄ちゃんがその道の専門家だから原因究明してあげるよと安請け合い。
さらにどうやらその友達の友達のお父さんまで亡くなっていて、どうやら体に寄生虫がわんさかいたみたいで、もしかしたら虫とは寄生虫のことなのかと、直哉の先輩、由紀と共に寄生虫のプロのもとへ行き、調査。どうやら二人の寄生虫の種類はちがっていたものの、そこで幼馴染の沙織と再会。
調査をして行くうちに、亡くなった人が不倫をしていたことや、いろいろなことが見えてくる。そのうち、妹も寄生虫に感染で絶体絶命の大ピンチ!
犯人は意外な人物で、その同期も意外なものだった。
一作目『さようなら、お母さん』も読んでみたいなと思った。