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ぶくぶくブックレビュー

読んだ本のレビューを書いています。

【働くお母さんの強い味方】帰って10分絶品おかず

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著者 武蔵裕子

【内容】

【ハイチ女性の絶望と希望】クリック? クラック!

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著者 エドウィージ・ダンティカ

【内容】

今年ノイシュタット国際文学賞を受賞し、将来のノーベル文学賞候補と目されるカリブ文学の旗手、E・ダンティカ。第一短編集が新装版として待望の復刊!

カリブ海を漂流する難民ボートの上で、死体が流れゆく「虐殺の川」の岸辺で、ニューヨークのハイチ人コミュニティで……、女たちがつむぐ十個の「小さな物語」が地下茎のようにつながり、ひとつの「大きな物語」を育んでいく。

「クリック?(この話、聞きたい?)」「クラック!(聞かせて!)」――物語の始まりを告げる掛け合いの言葉とともに、現代の〈伝承〉が生まれ出る。

全米図書賞の最終候補となり、ワシントンポストニューヨークタイムズなど各紙に書評され、著者の評価を確立した短編小説集(1996年)。邦訳は2001年以来の刊行となる(新装復刊)。

 

【感想】

★★★☆☆

ハイチについて、実際あまり歴史で習ったりすることもなく、何年か前に大きな地震があったこととか、国自体について知っていることはそれだけで、あまり日本人にはなじみのない国かもしれません。私が住んでいる国にもたくさんの子供たちが養子で来ています。地震の直後、たくさんの人たちが養子を引き取りにハイチにいったニュースもありました。

実際私は中学生の養子で6歳の時にこちらに来たハイチ出身の女の子に日本語を教えていたのですが、彼女も以前の生活についてはあまり語らなかったし、実際のところはあまりよくわかりません。

 

この物語は主にハイチの女性について描かれています。時々目をそむけたくなるような描写があり、平和な国にいる自分たちの生活とはギャップを感じます。それでも前向きに生きなければいけない、家族を大切にしているハイチの女性の姿はすべての人に知ってもらいたいなとも思いました。

 

クリック? クラック!

クリック? クラック!

 

 

【熱く、爽やかな青春に涙がこぼれる】風に恋う 

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著者 額賀澪

【内容】

第22回松本清張賞受賞作『屋上のウインドノーツ』に続く、感動の吹奏楽×青春小説『風に恋う』

吹奏楽に打ち込むも全日本コンクール出場を果たすことなく中学を卒業した茶園基。ドキュメンタリー番組で取り上げられているのを見てからずっと憧れていた吹奏楽の強豪校・千間学院高校に進学したものの、幼馴染の玲於奈が部長を務める今の吹奏楽部にはかつての栄光など見る影もなかった。

しかし、そんな基の前に、黄金時代のOB・不破瑛太郎が吹奏楽部のコーチとして現れる。あろうことか彼は、一年生の基を部長に指名した――

「茶園、俺と一緒に、全日本吹奏楽コンクールに行く部を作ろうか」

部内に渦巻く嫉妬とプライド、大学受験のプレッシャー、恐怖のオーディション、そしてブラック部活問題。

果たして彼らは、全日本コンクールの地、名古屋に行くことができるのか?

 

【感想】

★★★★☆

主人公は高校1年生のアルトサックス吹きの基という少年と、吹奏楽部顧問の瑛太郎。


 基は素晴らしいサックスプレイヤーだけど、高校では吹奏楽部には入らないと決めていて、でもそんなときに吹奏楽に興味を持たせた憧れの人、瑛太郎が顧問として吹奏楽部顧問になることを知り、吹奏楽を続けることに。


 瑛太郎は高校の時に吹奏楽部の部長として一躍有名になった人で、吹奏楽部を指導したくて教員を目指すも「吹奏楽だけだね」といわれ教員採用試験に落ちてしまい、ほとんどフリーターの状態で顧問を引き受けることに。

 

 はじめは落ちぶれていた吹奏楽部だけれど、基や瑛太郎の改革で全国を目指せる部を目指していく。反発や妬みもあれど、コンクールのメンバーに選ばれたくてひたむきに頑張る部員の姿には涙がこぼれる。ああ、自分も部活は違えどそんなときがあったなあと懐かしさを覚えながら読みました。 

 

 

 基は自分の夢を、そして瑛太郎もこれからどうするかを吹奏楽部の活動を通じて見つけていく、最後は暖かく、前向きになれる気持ちになれます。まるで雨上がりの虹のような爽やかな気持ちになれました。

 

 

風に恋う

風に恋う

 

 

【衝撃の結末】絶叫 

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著者 葉真中顕

【内容】

マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。平凡な人生を送るはずが、無縁社会ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!

 

【感想】

★★★★★

すごい、すごかった。

鈴木陽子の壮絶な死から、鈴木陽子の人生をたどっていき、そして衝撃の結末!!!

帯に「奈落の先に待つ、あなたの「自由」」と書いてあったんですが、そういう自由かーーー!

600ページほどのかなりの長編ですが、一気に読んでしまいました。ページをめくる手が全然止まらない。

 

衝撃の結末に、あなたも驚いてください。

 

絶叫 (光文社文庫)

絶叫 (光文社文庫)

 

 

 

 

 

【息子が犯罪者になったら】Aではない君と

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著者 薬丸岳

【内容】

あの晩、あの電話に出ていたら。同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎えるが。少年犯罪に向き合ってきた著者の一つの到達点にして真摯な眼差しが胸を打つ吉川文学新人賞受賞作。

 

【感想】

★★★★★

友罪』と合わせて買った本。同じような少年犯罪がテーマだが、こちらは『息子が友人を殺してしまったら』を父親目線で書いた本。

友罪にもせまる息苦しさ。

読んでいてどうしても親側の想いにシンクロしてしまい、何か理由があったはず、絶対相手が悪いはず!と思わずに入られませんでした。最後の翼の告白はとても苦しかったです。更生とは、教育とは、難しいことだなと思いました。

 

 

Aではない君と (講談社文庫)

Aではない君と (講談社文庫)

 

 

【もし、友人が犯罪者だったら】友罪

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著者 薬丸岳

【内容】

あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。

 

【感想】

★★★★★

どことなく昔あった「神戸連続児童殺傷事件」を彷彿とさせる鈴木という人物。

もし友人が元少年Aだったらを描いた作品。

つい最近元少年Aの本を読んだばかりだったので興味深く読みました。実際更生したとはいえ友人が人殺しだったら自分はどう対応するだろう。フェードアウトを狙ってしまうかもしれない。

「更生」というのは難しい。例えば「DVで防いでいるうちに誤って殺してしまった」という人なら受け入れられそう。しかし「楽しくて殺した」「殺したくて殺した」「殺してみたかった」とかそういう系の元犯罪者は、どうしても受け入れるのが難しい。

やっぱり色眼鏡で見てしまう人がほとんどだろうし、私もそうだと思う。

 

益田はまっすぐ彼と向き合っていてすごいなと思った。

 

 

友罪 (集英社文庫)

友罪 (集英社文庫)

 

 

 

 

【幽霊屋敷ミステリー×プリティーウーマン】翡翠の色の、君だけの夏。「視える」修復士と洋館の謎

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著者 渡波みずき

【内容】 

さえない女子高生の樫原ひよりは、友人だったはずの綾子に騙され、「翡翠館」という軽井沢の別荘の修復作業に立ち会うことになってしまった。綾子の身替りとしてしぶしぶ足を運んだひよりだが、そこで出会った近代建築専門の修復士・遊佐孝仁とともに、翡翠館に隠された不思議な謎に巻き込まれていき――。こころが切なくあたたまる、青春×お仕事×ホラーミステリー

 

【感想】

★★★☆☆

献本で当たった本。

主人公ひよりは教会などのステキな建物を見るのが好きで、カトリックの学校に通う彼女はある日教会を見にいくとイケメン修復士に出会う。


ある日、友人綾子の別荘に招かれたひより。しかし約束の場所に行ってみると綾子は男連れで、ひよりに別荘の留守番を頼むとお金を渡される。


憤慨しつつ別荘に向かおうとすると以前教会で出会った修復士さんと再会し、その別荘の修復をするという彼に別荘まで送って行ってもらう。そこで仕事を手伝ううちにイケメンながら少し冷たい、でも時々優しい彼に少しずつ惹かれていくひより。


物語の途中になんだかプリティーウーマンを彷彿させるシーンがあり、読んでるこっちもドキドキしてきました。ラブの匙加減も絶妙で、ミステリー部分を殺さないいい感じ。
登場人物も沢山は出てこないので覚えやすいし、キャラクターも一人一人役割がしっかりしている。
玉緒さんと綾子さんの再会シーンはこちらもぐっときました。玉緒さんめっちゃ好き!
とても良かったです。きゅんとくるミステリーでした。