【メガネ萌え?それとも年下男子萌え?】ランドルトの環
著者 八幡橙
【内容】
いくら身体を重ねても、完全に満たされることはない。
だから俺は、今日もまた会いに来てしまう――。
高校二年生の瞬の前に現れたのは、20歳以上の年の差がありながら、まるで魂を分けあったかのように心が通じる女性、那知だった。那知がかつて諦めた夢を叶えるため、気持ちをひとつにした二人はしだいに強く惹かれあう。だが、それは互いを失うかもしれない怖さを孕んだ日々の始まりでもあった――。
運命的な愛に揺れる少年の姿を、繊細な筆致で描いた著者会心のデビュー長編。
長年、フリーライターとして執筆活動をしてきた著者の、圧倒的な筆力が光る青春恋愛小説です。 タイトルの元になった「ランドルト環(かん)」は、視力検査で用いる「C」マークのこと。ラスト、タイトルに込められた想いが、胸にじんわりと沁み渡ります。
【感想】
★★★★★
デビュー作とは思えないくらい面白かったです。切なさとほろ苦さが絶妙。
高校生男子と38歳バツイチ子持ちの元漫画家女性。そしてメガネ×メガネ。
どっちかというとこの女性側にイライラしてしまいました。歳も近いからか。
高校生男子、38歳バツイチの化粧っ気もない女性に惹かれるんだろうか・・・・。なんて思いましたが、今日衝撃的なニュースを見たんですよね。
「22歳女性、小学生男子とみだらな行為」
この女性はどうやらシングルマザーで幼稚園の子供が2人。そんな中スマホのゲームで知り合った小学生(福岡在住)をまさか自宅(香川県高松市)に呼び出して・・・って。
この女性も未熟で阿呆だなあと思うけどこのきちゃった小学生の男の子にもびっくりです。お母さん気付かなかったん?小6の子がこんな遠くまで・・・。
話を戻します。
高校生男子・瞬はほんとまっすぐで、まぶしいなと思いました。
彼の周りの人間関係もとてもよく描かれていると思いました。
彼の友人も、瞬のことを好きな女の子も、めっちゃ高校生っていう感じでキラキラして見えました。
瞬のお母さんもいいですね。まさかの読者モデル母。
アラフォー、アラフィフ女性誌の読者モデルママさんの生活ってこんな感じだったりするのかなと妄想。
個人的に、雨でずぶぬれになるシーンと、漫画が完成して結ばれるシーンとてもよかったです。頭の中で映像化されてました。
「天使の卵」系が好きな人ならおすすめです。
【生きづらさを抱える人たちへ】発達障害グレーゾーン
著者 姫野 桂
【内容】
徹底した当事者取材!発達障害“ブーム”の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る
近年、NHKが特集するなど話題になることが多い「大人の発達障害」。 「学生時代は大丈夫だったのに、社会に出たらミスばかりする」 「雑談が苦手で、周りから“空気が読めない人”と言われてしまう」 「衝動的にカッとなったり、一か所にジッとしていられない」 そういった悩みを抱えた人が今、「自分もそうかも?」と専門外来に殺到し、病院によっては数か月待ちという状況すら生まれています。 しかし、発達障害の“傾向”を指摘されながら、正式な“診断”には至らない「グレーゾーン」と呼ばれる人たちが相当数いるのをご存じでしょうか。彼らの多くは「クローズ就労(=会社には隠した状態)」で働き、「家族や友人にもなかなか理解してもらえない」という困難を抱えたまま暮らしています。そして、「自分もそうかも?」と思う人は、かなりの確率でこのグレーゾーンに当てはまる可能性があるのです。
「結局、どんな医者に診てもらったかで発達障害かどうかが決まっちゃう」(当事者談)
今では発達障害に関してさまざまなコンテンツが生まれていますが、グレーゾーン(成人)にフォーカスしたものは、ほぼありませんでした。そこで著者の姫野桂さんは「グレーゾーンを可視化する」という試みを始めます。当事者インタビューや当事者会への参加、精神科医、就労支援団体などへの取材を通じて、グレーゾーンとは何か?なぜこれほどまでに生きづらさを抱えるのか?を解き明かしていきます。 また、本書ではこれまで著者が見聞きした、発達障害の当事者やグレーゾーンの人が実践する「ライフハック」も収録しています。発達障害について知りたい人や、発達障害らしき症状に悩んでいる人にとって、少しでも生活向上のヒントになってくれたらうれしいです。
【感想】
★★★★☆
昨今話題になっている、発達障害。
芸能人などの著名人なども「発達障害」であることを公言しだした人もしばしば。
しかし、発達障害はグラデーションであるために、発達障害認定してもらえない人もいる。
そんなグレーゾーンの人について書かれた本。
ずっと、自分の能力について疑問に持っていた人もいたでしょう。それに対し、診断がついたことで気持ちが楽になるならそれはその人にとっていいことだと思う。でも、診断がついてもつかなかったとしても、一緒に暮らす人や同僚などにとっては「それで?」となってしまうのが正直なところではないかと思う。
この本にはそういった人たちのライフハックや、会社や友人、家族などにどう対処してほしいのかいうことが大事ということが書かれていてグレーゾーンでも、発達障害でも、シロでも「生きづらさ」を感じるどんな立場の人が読んでも役に立つ本だと思う。
身の回りにもposs発達障害と思われる人がたくさんいる。学歴の高低に関係なく、時々「え?」と思う人が結構多い。「常識、礼儀」が分かっていなかったり、平気で1時間ほど遅刻してきて「私よく遅刻しちゃう人なの」と全く謝りもしないで悪びれもせず言う人がいる。発達障害っていうのは素人が勝手に判断できるようなものではないし、他人が判断したからと言ってその人に言えるようなものでもないし、結局その人が「よく遅刻してしまう」とか「部屋がぐちゃぐちゃ」とかを認識しないことには始まらない。
「他人が私の邪魔ばかりする」なんていって人のせいにする人もかなりいる。そして毎回ぶつかって友達もなく、仕事も続かない人もいる。「でもそれは私のせいじゃなくて他人が悪い。私を陥れようとしてくる」なんていう人もたくさんいる。そういう人を知っている。
もうそういう人たちについては私たちは何も言えず、とりあえず少し距離を取って付き合っていくしかない。私たちがその人のせいで迷惑を被らないように、避けるしかない。と思っているのですが、本当はどうしたらいいんだろう。
身内でそういう困ることはないのですが、身内だったら結構大変。
友人でも義理の家族でそういう人がいて困っている人がいる。
そういった人たちの対処法なども教えてほしいなと思った。
【絵画に込められた画家の秘密】ショパンの心臓
著者 青谷真未
【内容】
「あの絵は、俺にとって“ショパンの心臓”なのだ」世間から忘れ去られた画家がひっそりと 息を引き取った。彼が遺した最高傑作と呼ばれる作品と謎の言葉「ショパンの心臓」。そこには、二つの国に引き裂かれた作家の苦悩が隠されていた……。傑作アートミステリ長編。
【感想】
★★★☆☆
表紙のイメージよりも読みやすい文章でした。
就職活動負け組の、礼儀作法も知らない学生上がりの健太が、『よろず美術探偵』というところでバイトをしつつ就活をするという感じで働き始めた。
そこで立花貴和子という美術館に勤める女性からの依頼を受け、『ショパンの心臓』という絵を探すことに。
何せ働いたこともなく礼儀も知らない健太。そんな健太に時々イライラさせられることもありましたが、貴和子が一喝してくれたりスッキリする場面もしばしば。
絵の謎に迫っていくにつれ、絵画に秘められた思いや画家の秘密、そして健太が抱えていた秘密まで暴かれる。
軽い感じなのに読んでいくうちにディープな、暗いものになってきて、読みごたえがありました。
【韓国の真実】82年生まれ、キム・ジヨン
著者 チョ・ナムジュ
【内容】
女性が人生で直面する差別の現実を正面から描く!
韓国で絶大な共感を得て100万部、 社会現象となった異例の大ベストセラー小説、ついに日本上陸。
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。誕生から学生時代、就職、結婚、育児……彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。
【感想】
★★★★★
82年生まれ、私とほぼ同じなんですけど。
同じくらいに生まれて、あんな感じで家族の中で性差別とか、社会で明らかな性差別を受けるとか、今の韓国の様子や流行ったドラマからしてとっても意外でした。最初読み始めたとき、「あれ?中国の話だっけ?」とか「北朝鮮だっけ?」とか思いました。
道を歩けばセクハラに会う、就職試験を受ければ「もしお酒の席で取引先の相手がセクハラをしてきたらどうする?」なんていう質問を受ける。家族の中でも男性優位。産休育休はほとんどとれない。
彼女と同じ年代だからこそ日本とはっきり比べることができる。もちろん日本の社会にもやはり、性差別っていうのはある。女性の総理大臣もまだ出ていないし、産休育休も他の国と比べて取りにくかったりとかもある。私も就職の面接のときに「結婚したら仕事をどうするか」という質問を最終面接で女性面接官から受けた。
でも、ここまで明らかな感じではない。「オルチャン」とかで有名になった韓国の女性たちも、こんな目に合ったりしたのだろうか。
最後の一行。ここまで語ってきた精神科医の言葉。「自分も性差別を受けたりした妻を持つから彼女の気持ちがよくわかる」といってからの最後の言葉。やはり韓国での性差別はまだまだ続いているんだなあと印象的でした。
【いい意味で裏切られた結末】烏に単は似合わない
著者 阿部 智里
【内容】
史上最年少松本清張賞受賞作
人間の代わりに八咫烏の一族が支配する世界「山内」ではじまった世継ぎの后選び。有力貴族の姫君四人の壮大なバトルの果て……。史上最年少の松本清張賞受賞作品。解説・東えりか
松本清張賞を最年少で受賞、そのスケール感と異世界を綿密に組み上げる想像力で選考委員を驚かせた期待のデビュー作。壮大な世界観と時代設定に支えられた時代ファンタジーをご堪能あれ。
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか? あふれだすイマジネーションと表現力、そして予想を覆す意外な結末。
最後まで息をつかせない極上のエンタテイメント!
【感想】
★★★★★
私、ファンタジー系苦手なんですよ。でも、この本はずっと気になっていて、夏にとりあえず3冊購入してきました。
最初の方はなんか、ファンタジーそのもの+後宮での女のバトルみたいな感じで、このままだとまあ、普通の本だな、って思っていました。そしてなかなか若宮出てこないなみたいな。メインはあせびで、あせびのシンデレラストーリー系かと思っていたら。
若宮が出てきた後半、全部ひっくり返りました!
最初の方、若宮なんだよ今更出てきてこんな感じはないわーって思ってましたが、読んでいくうちにえっえっ!みたいになりました。
いやー天然女が一番怖い。
あとがきにも書いてありましたが、こういう書き出しからあんな展開になるとは想像もつかない。
アマゾンのレビューは結構悪いです。酷評されてます。確かに登場人物に感情移入できないのは確かだし、デビュー作らしくキャラクターにもぶれがあるのも確か。
でも、でも、私は面白かったです。若干20歳の人が書いていてこういうストーリー展開なら、まだまだ成長していくし、先が楽しめそうと思います。
【本当に自分の兄なのか、盲目だからわからない】闇に香る嘘
著者 下村敦史
【内容】
村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。
27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。
【感想】
★★★★★
内容のところを読んで面白そう!と思い購入した本。
なぜ母親と田舎で暮らす自分の兄は、自分の孫の為に腎臓移植の検査すらしてくれないのか、兄は自分が盲目になってから中国から帰ってきたから、もしかして兄は偽物なのかもしれない。と盲目の主人公、村上和久は兄を疑う。
兄を調べていくうちに不審な人物から「私はお前の本当の兄だ」とで電話が来る。果たして兄は本物なのか、それともこの人物が本当の兄なのか・・・・。
とっても面白かったです。
中国残留孤児についてはあまり私はよく知らないのですが、中国から帰ってきてからの日本での教育というか、生活をしていくうえで基盤を作る教育は、私が今住んでいる国で行った移民教育よりもひどいなと感じました。
日本人なんだから、もっときちんとしてくれてもいいのにと思いました。
オチもとてもよかったです。ほかの著作も読んでみたいと思いました。
【おっさんずラブ】東京パパ友ラブストーリー
著者 樋口 毅宏
【内容】
夫婦ってなに?
子育てってそんなにしんどいの?
ヒグタケ渾身の、怒濤の痛快子育てエンタメ!
有馬豪は、30歳という若さながら、青山にあるファンドマネージメント会社のCEO。5歳になる亜梨が通う保育園で、鐘山明人というおっさん建築家と出会い、飲みに誘われた。楽しく過ごした豪だったが、その晩、明人に唇を奪われてしまう。
怒りながらも急速に明人に傾いていく豪。
これが、それぞれの妻を巻き込んでの地獄の幕開けとも知らずに――。
子育てと仕事の葛藤、夫婦の狂気が切なく刺さりまくる、高濃度圧縮エンタメ!
【感想】
★★★★☆
30歳の若き社長有馬豪はまなみという妻と、亜梨という名前の娘を持つパパ。
まなみは絵にかいたような社長妻というか、金持ちの奥様という感じで、娘をいい学校に入れるために自身も英会話学校に通ったりとか、お料理上手だったりとか、いつもきれいにしている、雑誌「VERY」に出てくるような奥様。
そして50代の鐘山明人は奥様が政治家で、女性政治家としてフェミニズムを謳っていて、光(ライト)という息子がいる。
そんな二人が出会ってひょんなことから恋に落ちていくという純愛小説。
ドラマも流行りましたが、小説界でもおっさんずラブ!
しかもめっちゃ純愛そして主夫と社長。
妻からするとこれは仰天、しかも妊娠中に発覚とか、たまったもんじゃなくて、社長側の奥様、まなみはすごい剣幕だったけど、内心こういう奥様嫌いだったのでちょっとすっとしました。
とってもロマンチックだったのですが、映像で想像するとまたおっさんずラブ的な構図が思い浮かんでしまい(年齢的にも)ちょっと面白かったです。