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ぶくぶくブックレビュー

読んだ本のレビューを書いています。

【後味が大変悪い】死者と言葉を交わすなかれ

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著者 森川智喜

【内容】

【タイトルが長すぎ】成り行きで婚約を申し込んだ弱気貧乏令嬢ですが、何故か次期公爵様に溺愛されて囚われています

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著者 琴子

【内容】

「あの、わたしと婚約して頂けませんか!?」。

長年虐げられた貧乏令嬢・アリスの一世一代の告白。受け入れたのは、偶然通り掛かった眉目秀麗な次期公爵!? 救世主・アーサー・グリンデルバルドはクールと評判なのに、いきなり優しい言葉で愛を伝えてくれる。嬉しくて手を握ると、彼は異常なほど喜んでくれて? 身分差を越えて、アリスは公爵夫人へと歩み出すが……道は険しく、公爵夫人の座を狙った闇討ちが襲い掛かる。現場を目撃したアーサーの怒りが燃え始め――毎日登下校は付きっきり、屋敷に住まわせ、部屋に鍵までつけてしまう始末で!?

(……どうしてこんなに愛してくれるの?)秘められた過去が、貧乏令嬢と愛が重い(?)完璧王子を幸せな日々に導く、奇跡のシンデレラストーリー! 「24時間、君のために」。

 

【感想】

★★★★★

Netgalley様よりゲラ読み。じゃないとなかなかこれは手に取らない・・・。

表紙からしてハードルが高い。

 

タイトルがB'zも真っ青なくらい長い。絶対覚えられない。

これもはやA・RA・SU・JIですよね。題名読んだらだいたい内容わかる。

わかりやすい!

 

さて、それはさておき、ライトノベルですが、「」多用でセリフばっかり!!とかいうものではなくきちんと読みやすい小説でした。


最近は令嬢系が流行っているのか、読みながら「公爵」「侯爵」「子爵」とか私にはランクが分からないよー、最近のラノベ読者にはみんなこれ常識なの?とびっくりしました。できればどこかに侯爵ランキングつけてほしい。身分差がわからない。もしかしたら常識レベルなのかもしれませんが私にはわからなかった。もちろん読んでたらなんとなくわかるけど。


貧乏令嬢が小さいころからモラハラ受けていた幼なじみと婚約させられるのを嫌がりその辺で声をかけたイケメンが実は公爵の息子でそしてなぜか溺愛されるというお話。

 

公爵様の息子、アーサー・グリンデンバルドっていうんですよ。

もうファンタビ出てきました。最初の方、声をかけたあたりは頭の中でジョニーデップが演じてました。でもめっちゃど甘いのでデップ様消え去りました。


公爵、モラハラ幼なじみのモノローグも入り、読みやすく面白かったです。

モラハラ幼なじみはツンデレなんですね。こじらせすぎ。

ていうかていうか二人ともこじらせてるわ。軟禁したり。ちょうど私欧州住まいなもんでロックダウン中なんですが、アリス気分を味わいましたよ(笑)

アーサーは「耳をすませば」の天沢聖司が思い浮かびました。なんかちょっとストーカーみたいな。ちなみに私の中で「耳をすませば」はストーカーラブストーリーです。


シンデレラ気分が味わえるほど糖分高めで、糖尿病になるかと思いました。


ハーレクインの若い人向けみたいな感じです。

でも、面白かったですよ。続きがあるなら読んでみたいです!

 

 

【ある男の悲しい人生】わたしが消える

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著者 佐野広実 

【内容】

【カッコイイバイクにのったイケメン音楽教師の謎解き】教室に雨は降らない

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著者 伊岡瞬

【内容】

家庭と学校の闇を照らす、希望の連作ミステリー!

森島巧は公立小学校で音楽の臨時講師として働く23歳。音楽家の親の影響で音大を卒業するも、流されるように教員の道に進んでしまう。腰掛け気分で働いていた森島だが、学校で起こる予想外のトラブルに巻き込まれていく。モンスターペアレント、いじめ、無気力教師、学級崩壊。子どもたちのSOSサインを見抜き、手探りで解決していく中で、彼が見つけた真実とは? 曇りがちな私たちの心を晴れやかにする、希望の連作ミステリー。

 

【感想】

★★★★★

代償を読んだばかりだったので、嫌な気持ちになるような本だったらどうしようと思いましたが杞憂でした。アルバイト教師として働く音楽教師の森島先生がいろいろな謎を解いていくミステリー。

 

モンスターペアレンツや、小さな悪魔たち、そしてほかの先生との関係など振り回されながらもなんとかやっていく人気教師。確かにこんな先生がいたら人気者になりそう!面白かったです。

 

私も小学校の子供たちを相手に教える仕事をしているので、規模は小さいですがいろいろと共感することもありました。ほんとモンスターペアレントと言っても色々な人がいるから・・・。今の先生たちって本当に大変だと思います。

 

森島先生はある意味昭和の先生みたいな感じで生徒の家に行って謎を解決したりアルバイト教師とは思えないほどいろいろやってます。こんな先生今なかなかいないだろうな。

 

 

教室に雨は降らない (角川文庫)

教室に雨は降らない (角川文庫)

  • 作者:伊岡 瞬
  • 発売日: 2012/09/25
  • メディア: 文庫
 

 

【悲喜こもごものお誕生日会】お誕生会クロニクル

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著者 古内一絵 

【内容】

3.11に双子を出産した遠野多香美。4歳になる双子を保育園に預け仕事に育児に奮闘する日々だが、3.11に生まれたということで仙台に住む実母との間にわだかまりがずっと残っている。多くの命が犠牲になった日だが、多香美にとっては大切な双子の生まれた祝いの日。しかし東北に住む母は素直に祝う気持ちになれないようで――「あの日から、この日から」

娘の小学校ではお誕生日会を開くことが禁止されている。しかし、中国籍のクラスメイトがそのことを知らず、クラス全員を誘ってお誕生日会を開くといい――「ドールハウス

実は戦後の文化であるお誕生日会。その有様をみることで、家族が、人間が見えてくる。

全7篇の短編集。

【感想】

★★★★★

大好きなマカン・マランシリーズの古内一絵先生の新作。


「お誕生日会」をテーマに書かれた短編集ですが、お誕生日会でここまで幅広く書けるのはすごいなあと思いました。


ちょっと苦い感じのお話もあればほっとするお話もある。


プランナーのお兄さんが姪っ子のためにお誕生日会企画をする話などは苦くてたまりませんでした。
でも苦いだけで終わらないのが古内先生の作品なのかなあと思いました。

 

お誕生日会、私も小さいときにやったことあるけれど、私もそんないい思い出がないなあと想いを馳せながら読みました。お母さんとかはやっぱり料理を張り切ってくれたり、手作りケーキも今ビデオで見たらプロ級ですごいなとは思うけれどいかんせんそんなに活発な子ではなかったので、お誕生日会でたくさん友達を呼んでもそんなに楽しく遊べないというか。少人数のが楽しい・・・みたいな。お母さん、頑張ってくれたのにごめんなさい。

 

欧州では子供の誕生日会すごいですね。プールやらレストランやらアスレチックやら貸し切りでお菓子もついてのお誕生日会プランもある。共働きが基本で忙しいご両親にとってはそういったプランも悪くない。お金はかかるけれど。

自宅でやる場合はピニャータを準備したりゲームを準備したり、まさにこの本に出てくる雑誌「メイリー」の特集のような世界。

 

作品中にたびたび出てきた「昔の人は年明けに一斉に年を取る。」という文が、なんか心に残りました。昔の人はお誕生日とかそんなに気にしてなかったのかな。

 

コロナウイルスでの影響についても書いてあり、今の時代をぐっと反映している本でした。

 

お誕生会クロニクル

お誕生会クロニクル

  • 作者:古内一絵
  • 発売日: 2020/09/16
  • メディア: 単行本
 

 

【読んで暖かい気持ちになれるミステリー】猫弁と星の王子

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著者 大山淳子

【内容】

婚約したものの、事情により、まだ結婚には至っていない百瀬と亜子。2人が喫茶店にいるとき、「ちょっと見ててもらえますか」と、百瀬の腕に渡されたのは、赤ん坊だった……!

一方、上京してきた正水直は、入学金詐欺に遭い、途方に暮れていた。しかし人を助けたことがきっかけで春美と出会い、百瀬のもとへたどり着く。

さらに、「死なない猫」の相談まで舞い込み、百瀬は今日も奔走中、事務所は一層賑やかに!

果たして、百瀬と亜子の関係はどうなる――!?

 

【感想】

★★★★★

この前に読んだのが「代償」でちょっと苦しいものだったのでとてもいい気持ちの切り替え本になりました。

 

猫弁シリーズ第6弾。5冊は文庫で持っていますのでこれも文庫で出たら絶対買う一冊。猫好きには猫が出てくるのでおすすめなシリーズ。全集をほんとは買いたかったんですが新刊で手に入らなくて諦めて文庫に。でも新シリーズがでたのでかえってよかったかも!

 

相変わらずの猫弁百瀬と亜子さんで、ふたりの関係にとてもほっこりとさせられます。

 

作品中に出てくる古きよきみかんの缶詰めチョコパフェ、私も食べたくなりました。


大学で入学金詐欺にあってしまった直ちゃんにはとても心配しましたが、結果オーライでとても良かったです。こんな高校生をだますなんてひどい!


「寂しさ」や「親子関係」についてとても考えさせられました。百瀬も複雑な生い立ちを抱えていますが、彼の考え方についてはほんと尊敬。

相手の立場になって気持ちを考える。シンプルなことですが大切です。

とてもいろんなことが詰まっている一冊でした。

 

ミステリーだけど心がほっこりする。とてもやさしいシリーズです。

 

猫弁と星の王子

猫弁と星の王子

 

 

 

猫弁と少女探偵 (講談社文庫)

猫弁と少女探偵 (講談社文庫)

  • 作者:大山 淳子
  • 発売日: 2015/02/13
  • メディア: 文庫
 
猫弁と魔女裁判 (講談社文庫)

猫弁と魔女裁判 (講談社文庫)

  • 作者:大山 淳子
  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: 文庫
 
猫弁と指輪物語 (講談社文庫)

猫弁と指輪物語 (講談社文庫)

 
猫弁と透明人間 (講談社文庫)

猫弁と透明人間 (講談社文庫)

  • 作者:大山 淳子
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: 文庫
 
猫弁全集

猫弁全集

  • 作者:大山 淳子
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【読んでいてずっと嫌な気分なイヤミス】代償

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著者 伊岡瞬

【内容】

平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?衝撃と断罪のサスペンスミステリ。

 

【感想】

★★★★☆

第一部で主人公がひどい目にあわされ、第二部で因果応報という構成になっていたけれど、スカッとするわけではなくずっと読んでいて嫌な気持ちでいっぱいでした。

 

主人公の家族を羨み一緒にキャンプまでくる友人。しかもちょいちょい物がなくなる。もうこの時点でもやもやする。そして大事件が起きてその後もほんと主人公の転落人生。読んでいて辛すぎる。

 

途中から友人になった寿人の存在だけが救いで、彼がいて本当によかった。彼がいなかったら読めてなかったかも。

 

主人公が救われてほしくて、達也に地の底に落ちてほしくて本を読むのが止められなかった。

 

なかなかのイヤミスで、後味も私は良くなかったので、心が弱っている日には読まない方がいいかもしれません。メンタルやられそう。

イヤミス好きな人にはおすすめです。

 

 

代償 (角川文庫)

代償 (角川文庫)