【バイトしたら面白そう】シネマコンプレックス
著者 畑野智美
【内容】
恋も仕事も、抗って抗ってそれでも先に進めたら、それが本当の運命だ。
郊外にあるショッピングセンターのシネコンでは、学生やフリーターや主婦たち百人近くが働いている。今日のクリスマス・イブは、日曜日で舞台挨拶やイベント上映もあるから、かなりの人数が出勤しているようだ。恋に悩み、コンプレックスを抱え、将来に不安を感じながら、慌ただしく走りまわる、スタッフたちの長くて短い一日がはじまる。
シネコンでのアルバイト経験ある著者が、自らの青春を詰めこんだ連作短編集。
【感想】
★★★☆☆
読んでみて最初の印象は「なんか地味」。でも中盤あたりからどんどん面白くなっていく。人物像やそれぞれ抱える悩み事や人間関係が、とてもリアル。途中からシネコンで何か事件が起きたような描写があり、なんだなんだと引き込まれていった。シネコンで働く人のいろんな目線での短編が連なっており、人間関係が分かってくると読んでいて夢中になってくる。シネコンっていうのもこんな仕事をしてるんだなとか、いろいろわかる。タイトルが「シネマコンプレックス 」っていうのも、場所としての「シネコン 」と映画館で働く人たちの関係の複雑さという意味での「コンプレックス」とうまくかかっていると思う。