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【マスメディア、かくあるべき】殺人犯はそこにいる

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著者 清水 潔

 

【内容】

5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか?
なぜ「足利事件」だけが“解決済み"なのか?
執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。新潮ドキュメント賞日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。

 

【感想】

★★★★★

これは「文庫X」として売られてた本で、私は中古で購入。

有名な「足利事件」の冤罪が暴かれていく様を書かれたノンフィクションです。

今まで警察の「DNA鑑定」はもう、99,9パーセントくらい確かなんじゃないかと思っていたけど、「DNA型鑑定」は実は穴だらけだったり、しかも警察も「この人がやったに違いない」体で捜査を進めていき結局冤罪だった、しかもその間に事件は時効を迎えてしまったというなんとも恐ろしい結末。

この清水さんがきっと調査をしていかなかったら今も冤罪のまま、死刑にされていたかもしれない。無実の人の人間を、警察が無理やり自白させて犯人に仕立て上げ、その人の人生を狂わせてしまう。遺族もたまったもんじゃないし、目撃情報もなかったことにされたり変えられたり・・・・。こんなことがあっていいのかと何度も読みながら思いました。

遺族は最初、「パチンコ屋なんかに子供を連れてきたから親が悪い」と非難を受け、とても辛い日々を送ったそうだ。そのほかにも警察から「あれ?」と思うような捜査をされたり、人生を狂わされている。

人間は間違える生き物で、間違えるのはしょうがない。でも間違えたことに気づいたときに誤りを訂正するべきであるし、謝罪するべきだ。

この足利事件が冤罪に終わったせいで、ほかの同一犯と思われる事件も未解決に終わってしまったし、何人もの人の人生も狂わせた。警察、検察、科警研はというと、「私たちは間違えていない」と辻褄合わせをしたり・・・。恐ろしい。

しかもほかの既に死刑が執行された似たような事件でもじつは「もしかしたら冤罪ではないのか」というものもあり、もうそれに関しては命は返ってこないのでどうすることもできない。このような捜査が二度と起こらないことを願うばかりだ。

 

 

今までマスコミに対して割と負の印象しかもっていなかったけれど、この本を読んでその考えが変わった。そしてマスメディアの本来のあり方について考えさせられた。

 

 

 

 

殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)

殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)