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【木下がかわいそう】8の殺人

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著者 我孫子武丸

【内容】

 大胆なトリックで本格ミステリーファンをうならせた傑作長編。建物の内部にある中庭が渡り廊下で結ばれた、通称“8の字屋敷”で起きたボウガンによる連続殺人。最初の犠牲者は鍵を掛け人が寝ていた部屋から撃たれ、2人目は密室のドアの内側に磔に。速水警部補が推理マニアの弟、妹とともにその難解な謎に挑戦する、デビュー作にして傑作の誉れ高い長編ミステリー。

 

【感想】

★★★☆☆

ザ・本格推理小説という感じでトリックや犯人に騙されました。

登場人物もキャラがしっかり立っていて面白かった。

そして注目すべきは主人公恭三の部下、木下。一緒に組んで現場で推理をしたり検証をしたりするのですが、話が進む度に木下が負傷。

①三階の窓から窓へ移れるのかという検証をするとき、反対側の窓に飛び込めと言われるも、反対側の窓のカギを開け忘れていてあえなく落ちる。足を捻挫。打ち身と擦り傷。

②恭三が怒りにまかせてたたきつけたドアに木下の顔が当たる。鼻を骨折。全治三週間。

③天井から窓へ降りていき、窓からボウガンで狙えるかという検証。天井からロープをくくりつけてぶら下がる木下。上の恭三たちは検証後、木下はその窓から入ってくるものだと思いロープを離す。木下はまたのぼってくる予定だったためロープを手繰り寄せるも上のロープは誰も支えていないため、そのまま下に落下。両手両足首骨折。入院。

④事件解決後、弟慎二の経営する喫茶店にいた恭三。意中の女性を誘おうと張り切るもあえなく失恋。出ていこうとする恭三と入れ替わりに退院して車いすに乗った木下とその彼女。恭三が彼女にぶつかり、彼女はぶつかった拍子に車いすのハンドルを離してしまう。両手首を骨折した木下は何もできずそのまま後ろに下っていき、ちょうど坂道だった道路に出てしまいそのまま下がっていく、そして運悪くその先にあった「心臓破り」の120段の階段に向かっていき転げ落ちる。

 

なんて不幸な刑事・・・・。笑わせてもらいました。

 

ところで主人公の刑事さんは三兄妹。

長男が恭三、次男が慎二、末っ子の長女が一郎(いちお)。

これには訳があって、恭三の父親が三兄弟を作るぞと張り切り、でも普通じゃ面白くないので逆に名付けていったら面白いと恭「三」からスタート。

次男まではうまくいったが、最後は女の子だった。でも変えたくなかったのでそのまま一郎。でも女の子なので読み方ぐらいは変えてあげようと「いちお」になったとか。

 

この兄妹もキャラがたっててよかったです。

 

トリックに関して、鏡まではなんとなくわかったのですが、その後の実際の犯人に「結局お前かよ」とならざるを得ませんでした(笑)面白かったです。

 

この方の「殺戮に至る病」は結構レビューで人気だったのでまた機会があったら読んでみたいと思います。

 

 

新装版 8の殺人 (講談社文庫)

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8の殺人 (講談社文庫)

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殺戮にいたる病 (講談社文庫)

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

 

 

 

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)