【笑って、じんと涙ぐむ】神さまたちの遊ぶ庭
著者 宮下奈都
【内容】
北海道のちょうど真ん中、十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシ。スーパーまで三十七キロという場所へ引っ越した宮下家。寒さや虫などに悩まされながら、壮大な大自然、そこで生きる人々の逞しさと優しさに触れ、さまざまな経験をすることになる。『スコーレNo.4』の宮下奈都が「山」での一年間を綴った感動エッセイを文庫化。巻末に、「それから」を特別収録。
【感想】
★★★★★
「トムウラシ」
全く何語かわからないような地名。北海道のド田舎というか山の中。
アイヌ語で「カムイミンタラ」という、「神々の遊ぶ庭」と呼ばれるとてもきれいなところらしい。
突然旦那さんの思い付きでここで暮らすことになった宮下家。子供たちは中学3年、1年の男の子、小学校4年の女の子。
とにかく面白い。子供たちの言動もとてもおもしろいけれど、旦那さんの言動もなかなか面白い。本当に素敵な一家だと思う。
次男が「自分のことはあまり書いてほしくない。仮名で『漆黒の翼』がいい」というのでたびたび「漆黒の翼」が出てくるのですが、もうそのたびに噴き出す。
ちなみに「漆黒の翼」から「英国紳士」に変わり、最終的には「ボギー」となる次男。
兄妹ののびのびとした生活、そしてこの一年間をとても楽しんでいたことがわかるこのエッセイ。そして学校の先生たちもとてもすばらしい教育をしていると思った。
声に出してめっちゃ笑ったり、最後のほう、別れの時には涙ぐんでしまう、素敵なエッセイでした。
この本を買ったきっかけはNetGalleyという、発売前の本を読めるサイトに登録した際、宮下奈都の「緑の庭で寝ころんで」を試し読みしたからというのが大きい。
もともと宮下奈都さんを知ったきっかけは、本屋大賞の「羊と鋼の森」を読んでから。この文章とか、本の装丁とか、話の内容、すべてにおいて「すっごくすき!!」だったので、この方のエッセイを読んでみたら面白い!何この人、こんな面白い人なんだ!っと。
「羊と鋼の森」はこの北海道で暮らしていた時に書かれた作品だそうで、本当に素晴らしい作品だったのでたくさんの人に読んでほしいと思う。