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【心にチクッと針が突き刺さる】甘いお菓子は食べません

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著者 田中兆子

【内容】

 頼む……僕はもうセックスしたくないんだ。仲の良い夫から突然告げられた妻の動揺。〈土下座婚活〉が功を奏して知り合った男性に、会って3時間でプロポーズされた女の迷い。念入りに掃除をし、息子に手作りのおやつを欠かさない主婦が抱える秘密。諦めきれない悟れない、けれど若さはもう去った。中途半端な〈40代〉をもがきながら生きる、私たちの物語。心に深く刻み込まれる6編。 

 

【感想】

★★★★☆

心に突き刺さるものがありました。

色々なシチュエーションの40代女性が描かれたちょっとずつ繋がっている短編集。

 

結婚が決まったばかりの女性とその友人の反応。夫にセックスを拒否された女性。独身を貫き通すキャリアウーマン。夫も子供もいるがアルコール依存症に至ったことがあり、もがく女性。50歳を目前に無職になった女性。性器に「べしみ」のような男の顔ができて性欲が抑えきれなくなった独身女性。

 

色々な立場の女性のもがき、悩み、苦しんだりして自分なりに折り合いをつける物語。

特に「残欠」は圧巻。夫が忘れていった携帯電話にふと出たら女性から。自分がアルコール依存症になった過去があり、中学生の子供の為にアルコールのことを考えまいと手作りお菓子を作る日々。夫は自分がアルコール依存症になった時にひどい言葉を浴びせたが、離婚はしない、すべてを受け入れるという。中学生の息子は、手作りお菓子を食べずに隠し、腐らせていて、問い詰めたところ「手作りお菓子はママがお酒を飲まないための代替手段だから言い出せなかった」と。飲酒を避けるためにパーティにはいかない、そのためのドレスは捨てた。飲むのが好きな友人と会うのは昼間だけ。仕事の後の一杯を我慢するのが辛すぎるから仕事はしない・・・・など「死なないから生きている」妻のもがく感じがこちらに迫ってくるものを感じた。夫が全く責めないのもきっと彼女には辛いことだろう。とても心に残る話だった。

 

 余談ですが、新潮社の文庫本にはスピンがついてるのがいいですよね。

ほぼ日刊イトイ新聞 - 新潮文庫のささやかな秘密。

 

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)

甘いお菓子は食べません (新潮文庫)