【脚注に注目】名探偵誕生
著者 似鳥鶏
【内容】
「神様。どうか彼女に幸福を」――
王道かつ斬新。似鳥鶏が放つ、直球の青春&初恋ミステリー!
【感想】
★★★★★
とても面白かったです。ゲラ読みなんですが、「これ紙の本で買いたいからこのまま読んでしまうともったいない気がする」と思わせてくれた本。
主人公はどこにでもいる少年、みーくんこと瑞人。近所のお姉ちゃんこと千歳のことが気になっている。
物語は瑞人が小学生の時、通っている小学校で噂の「幽霊マンション」の謎を解き明かすことから始まる。そのことからそのお姉ちゃんが気になって気になってしょうがない。
瑞人もだんだんと成長していき、物語は中学生時代、高校生時代、大学時代まで進んでいく。彼の恋心にも注目だけれど、注目してもらいたいのはもう一つ。
「脚注」
これがなかなか秀逸。第二章「恋のドトール」から急に脚注が出てきているんですが、もうこの章が私は一番大好きでした。この章には脚注が結構出てきて「へえー!なるほど」と思うものもあれば「セルフ突っ込み」みたいなのもあり、面白すぎました。脚注が出てくるのが楽しみになるくらい。ここの章は盛り上がりを見せてくれました。
そして最終章に行くにつれ、みーくんと千歳お姉ちゃんの恋にも変化が訪れてきます。みーくんの一途な恋心、切なさにうるっときます。
千歳お姉ちゃんが教えてくれる「推理の方法」はなるほど!と思います。ほかの推理小説を読むときにもこれを考えておくと推理がもっとはかどるかもしれません。
あとがきまで面白かったこの作品。最初から最後までとても楽しく読めました。
ドラマにもなっていた「戦力外捜査官」など、作者のほかのシリーズや作品もたくさん出ているので是非読んでみたいなあと思いました。
読みやすくテンポもよい作品なので、読書を普段しない人にもおすすめです。