【衝撃的】人間に向いてない
【著者】黒澤いづみ
ゲラ読了 2018/6/12発売
【内容】
「メフィスト賞選考会」時に、
編集部満場一致でデビューが決定!
――ある日突然、あなたの子どもが虫になったら。 それでも子どもを愛せますか?
ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。
政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。
十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人ばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた引きこもりの息子を持つ一人の母親がいた。
あなたの子どもが虫になったら。
それでも子どもを愛せますか?
【感想】
★★★★★
非常に衝撃的な作品でした。
ある日、自分の子供が変なモノになっている。しかもそれはどこか人間の形を残していて、とても正気じゃ見ていられないような生き物に。
例えば芋虫のようなもの。手足の代わりに指のようなものがくっついている。例えば人面犬、たとえば観葉植物のようなものから葉っぱではなく手や指のようなものが生えている、たとえば肉塊、どろどろのものに髪の毛や口がついている・・・・・。
変異するのはニートや引きこもりなどの社会的弱者の若者。つまりそれにかかるということは、「社会的落伍者」のレッテルを張られるようなものである。
果たして、生きているときから悩まされていた子供がそのような変なものに変異して、愛せるだろうか。
「あり得ないシチュエーション」ではあるのですがどこが現実的で、いろいろと考えさせられるものがありました。
かなり衝撃的な描写(殴って殺してしまうとか、魚に変異した子供をフライパンで焼いて食べるとか)もありましたが、実際にそういうことがあった場合、気が狂いそうです。
変異者の兄弟を持つせいで結婚できない娘。など、これはなかなかただの「引きこもりニート」の兄弟でもありえる話かもしれません。
周りの反応、変異したら社会的には死亡とされること、そして家族の反応。とても興味深く読めました。