【最低で最高の1か月】ルーム・オブ・ワンダー
著者 ジュリアン・サンドレル
【内容】
シングルマザー、テルマの生きがいは、12歳の息子ルイと、セクハラにもパワハラにも耐え抜いて手に入れた仕事だった。その大事な息子が目の前で交通事故に遭い昏睡状態に陥ったときから、テルマの人生は音を立てて崩れていった・・・。そんなある日、ルイの部屋で見つけたあるものが、テルマに新たな生きる目的をもたらした。ルイに残されたわずかな時間、テルマはその目的達成にかける決心をした。
デビュー作にしてベストセラーに躍り出た、涙と笑いとウィットにあふれるフランスの現代小説。
【感想】
★★★★☆
デビュー作とは思えないほど完成された本で、素晴らしい本でした。
冒頭、息子が交通事故にあい、昏睡状態に陥り、30日以内に目覚めなければ治療を終えてしまうとのことに絶望するテルマ。しかし、ルイの部屋でノートを見つけ、そこに書いてあったことを実行していくうちに少しずつ少しずつ生きる希望を見出していく。
しかし息子はなかなか目覚めず、どこかで「もう息子は恋もできないのではないか」「目が覚めることはないのではないか」と絶望も感じてしまう。
読んでいて楽しくもあり、辛くもあり、ハラハラさせてくれる物語でした。
最初のほうで日本に行く場面も出てきて、「フランス人から見た日本」もちらほら見えて面白かったです。
是非周りの外国人友達にも紹介したい本だなと思いました。