【「意識体」だけの存在は「生きている」と言えるのか】代体
著者 山田宗樹
【内容】
『百年法』(第66回日本推理作家協会賞)から4年。新たに現代社会に問いかける衝撃の問題作にして、一気読み必至のエンターテインメント大作!
人工知能が実現しつつある現代に生きる全ての人に問う――「あなたは、本当にあなたですか?」
近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達。大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。
大手代体メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の代体を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体を使用中)が行方不明になり、無残な姿で発見される。残される大きな謎と汚れた「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……。科学と欲が倫理を凌駕する世界で、葛藤にまみれた男と女の壮大な戦いが始まる!
【感想】
★★★★★
『百年法』は買ったとき飛行機の中で夢中で読んだ作品。SFは苦手だけど、どこかリアリティのあるSF作品は好き。たとえば高野和明の『ジェノサイド』とかも好き。
今回のテーマは『代体』。
病気やけがをした人に一時的に代体とよばれる人間のような形の器をあてがい、意識だけをそこに移す。顔部分はスクリーンのようなものになっており、それぞれの顔が映し出される。
これ一番初めに使う人はめっちゃ勇気いる!ハードコンタクトみたいな。
とにかく、そういったものが普及してきている日本が舞台。主人公八田はそういった代体の営業マンであり、技師でもある。
担当の患者が代体に入り、その後肉体のほうが死亡。患者としては、意識はあるのだから予定の30日になったら違う代体に入れないのかという、自分の体は死んだのに「死」を感じられない状態。代体同士での意識の転送は許可されていないために断るも、その患者がある日、中身が空っぽの状態で発見されるというところから物語は動き出していく。
最初に「生きる」とは「死」とはをガツンと考えさせてきます。すぐに話にのめりこんでしまいました。
そこから話はどんどん広がっていき、驚きの展開になっていきます。
今回もとても面白かったです。一気読み必至。
『百年法』も本当におすすめです。