【愛ゆえの狂気と、小橋刑事の奇行】あなたが消えた夜に
著者 中村文則
【内容】
ある町で発生した連続通り魔殺人事件。
所轄の刑事・中島と捜査一課の女刑事・小橋は目撃証言による"コートの男"を追う。
しかし事件は、さらなる悲劇の序章に過ぎなかった。
"コートの男"とは何者か。誰が、何のために人を殺すのか。
翻弄される男女の運命。神にも愛にも見捨てられた人間を、人は救うことができるのか。
“あなた”だけが知る猟奇殺人の真実。
かつてない衝撃と圧倒的人間ドラマに涙が止まらない!
【感想】
★★★★★
三部構成になっているある連続通り魔殺人事件の話。
主人公は所轄の中島で、小さい頃のある事件について罪の意識を持っている。
そしてその中島と組んで捜査を行うのが捜査一課の女刑事、小橋。この小橋さんの存在感が第一部、第二部においてとても大きいというか、とてもコミカルというか変。
目撃証言を聞いているときにパフェ食べたり、「枕営業ガールズ」という変なアイドルが好きだったり、中島に変なイジワルしたり。とてもシリアスなのに和むような、プッと噴き出してしまうようなそんな感じで。
第三部の狂気!狂気!狂気!との対比がすごかったです。
第二部あたりで出てきたすでに亡くなっているある女性の存在から、登場人物が線でつながっていく。
愛ゆえに、そして善意からの狂気に震えました。