【平成を駆け抜けた、ある存在しない男の話】Blue
著者 葉真中顕
【内容】
平成という時代があった。
平成が始まる日に生まれ、終わる日に死んだ一人の男がいた。名は青、母親は彼をブルーと呼んだ。
平成15年12月、青梅で教員一家5人の刺殺事件が発生する。藤崎たち警察は、次女の篠原夏希(31)がほかの4人を惨殺した後、薬物摂取の心臓発作で亡くなったと推察するが、実は凶器に夏希以外の指紋があり、第三者がいたことがわかっている。事件はその後、夏希の驚愕の真実が明らかとなることで行き詰まっていく。
平成31年4月、あと少しで平成が終わる時、多摩ニュータウン団地の空き室で血まみれの男女の死体が発見される。殺されていた二人には子供がいて、彼らはネットカフェ難民だったことがわかるーー。
平成元年に生まれた男。平成15年に迷宮入りした殺人事件。平成が終わる直前に起きた殺人事件。それらが平成という時代の中でつながっていく。
平成が終わる今だからこそ、平成30年間の社会や文化の変化を描きながら、児童虐待、子どもの貧困、無戸籍児、モンスターマザーと、現代社会の問題に迫る、クライムノベルの決定版。
【感想】
★★★★★
平成が始まった時に生まれ、平成の終わりとともに消えた、平成を駆け抜けた、しかし存在していないブルー。
色んな人物のモノローグが交錯し、初めは全体的にぼんやりとしているが、どんどん読む手が止まらなくなってくる。
そして合間合間に挟まれた、平成を象徴する歌や出来事。
そして平成を震撼させた、様々な問題。
平成がもうすぐ終わるということで、とてもノスタルジックになりながら読むことができた。