【時給1120百円の短期アルバイト】インシテミル
著者 米澤穂信
【内容】
車を買う金欲しさにアルバイト探しをしていた学生・結城がコンビニにあった求人情報誌で見つけたのは、時給11万2000円という破格の好条件の仕事。
それは、1週間「ある人文科学的実験の被験者」になるだけという、短期のアルバイトだった。インターネットや雑誌を見て、山間にある施設に集まったのは12人の男女。
彼らは、実験の内容を知り驚愕する。
それは、より多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった――。
地下の実験用施設「暗鬼館」に閉じ込められた12人。最初の殺人が起こり、疑心暗鬼に駆り立てられる参加者たち。互いに推理を戦わせ始める彼らを待ち受ける衝撃の運命とは!?
映画化も大ヒットした、60万部突破の大人気ミステリー。
【感想】
★★★☆☆
映画化もされたんですね。知りませんでした。
よくある感じの、高い時給につられてアルバイトにいったらクローズドサークルの殺し合い的な実験でしたという話。
タイトルの意味が気になったんで調べてみました。なるほど!
インシテミルの意味・由来
タイトルの『インシテミル』は「淫してみる」が由来となっている。つまり「淫する」=「淫してみる」=「インシテミル」ともじったものとなっている。「淫する」とはイヤラシイ行為を指す場合もあるが、「物事に熱中する、没頭する」という意味もある。本作では後者の意味で使われており、作者は”ミステリに淫してみる“という意味を含ませている。つまり『インシテミル』は”物語に没頭する(淫してみる)”という意味に解釈できる。
また英表記の『The Incite Mill』は直訳すると「扇動ミル」であり、「Incite」の正しい読みは「インサイト」であるためローマ字読みしたものとなっている。「Incite」は「扇動する、好奇心をかきたてる」、「Mill」は「製粉機、ひき臼(うす)」を意味する。
元々「インシテミル」は「淫してみる」をもじったものであるため、英表記の『The Incite Mill』は当て字にした可能性が高いが、英表記から解釈するならば11万2000円という時給に興味をそそられて実験に参加し、外界と遮断され24時間行動を監視される館で精神的にも肉体的にも製粉機のように徐々にすり潰されていくと捉えることもできる。そう考えると円形の建物がまるで被験者をすり潰す臼のようにも感じられる。
読みごたえはあったけれど、そこまでかなあ・・・・。