【戦争×カトリック×恋+アウシュビッツ】女の一生 二部・サチ子の場合
著者 遠藤周作
【内容】
島原の乱直後、過酷なキリシタン弾圧の時代を舞台とした『沈黙』。
その200年後、300年後を描いた精神的続編にあたる『女の一生』、その第二部。
第二次世界大戦下の長崎で、互いに好意を抱きあうサチ子と修平。しかし、戦争の荒波は二人の愛を無残にも引き裂いていく。修平は聖書の教えと武器をとって人を殺さなくてはならないことへの矛盾に苦しみつつ、特攻隊員として出撃する。そして、サチ子の住む長崎は原爆にみまわれる。
激動の時代に、信仰をまもり、本当の恋をし、本当の人生を生きた女の一生を鮮やかに描き出す。
【感想】
★★★★★
この作品のテーマは
・戦争についてキリスト教の神様は一体どう思っているのか
です。
戦争の本は読んだことあるけれどあまりカトリックを交えてないものばかりしか読んだことはなかったので、いろいろと考えさせました。
この本の主人公はサチ子。幼なじみの修平のことが好き。
修平はある意味、普通の男の子という感じですが、幼いころからカトリックとして育ったため、戦争にたいして疑問を持つ。カトリックでは「人を殺してはいけない」と教えているのに徴兵された自分はいったいどうすればいいのか。そこで彼なりに出した結論はとても涙を誘いました。
そしてちょいちょい出てくるアウシュビッツの風景。
長崎にいたコルベ神父という人がポーランドへ帰国後、アウシュビッツに収容されるのですが、もうこの部分読んでいるのが本当に辛い。辛くて辛くて仕方がない。
何度読むのをやめようと思ったか。
『沈黙』を読んでから興味を持って買ったこちらの作品でしたが、読んでよかったなあと思いました。自分でもいろいろと考えて友達と宗教について話したりしました。(日本人のね)ここはカトリックの国で、義母は割と熱心なカトリック信者なのですが、どんな風に思うかな。
第一部のキクの場合も一緒に読んでほしい作品です。
読んでいて辛い作品ですが、とてもいい作品です。