【人生に正解不正解はない】 転職の魔王様
著者 額賀澪
【内容】
この会社で、この仕事で、この生き方のままで――いいんだろうか。
大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。働く自信と希望をすっかり無くしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、伯母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが……。
若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ、渾身のお仕事小説。
【感想】
★★★★★
人生に正解不正解なんていうものはない、ましてや他人に評価されるものでもない。
分かっていてもどうしても評価を気にしてしまう自分にハッとさせられる物語でした。
そもそも人生の正解とは何だろう。いい会社に勤める?いい伴侶と巡り合って子供を作ってそのうちお家を買う?
その「正解」ってどこから来たんだろう。別に小さな会社でもやりがいのある仕事ができれば幸せだし、つつましやかな生活をしていても家族がいて楽しく暮らしているし幸せだ。結婚しなくても趣味に全部働いたお金を使えるのは幸せだし、離婚しても周りにとてもいい友人がいれば幸せだ。
自分が楽しい、幸せだと思えればそれでいい。別に人と比べたりする必要もないし、人に評価される筋合いもない。なのになぜ人はどうしてもこんなに他人と比べてしまうんだろう。私の場合はやはり両親からの教育や学校教育でこういう刷り込みが起きているのではないかなあと思う。いつも先生や親などにこういう道が幸せなのだと示され、そうなのかとその道を進んでいく。
就職も、転職も、恋愛も、結婚も似ている。
できるだけいい会社や人と巡り合って、幸せになりたい、お金持ちになりたい、楽しくなりたい・・・。
転職をテーマに書かれた作品ですが、転職だけでなく今までの自分の人生を省みるいい機会になりました。