【ホテルを舞台とするオムニバスミステリー】ヴィクトリアン・ホテル
著者 下村敦史
【内容】
事件、誘惑、秘密の関係……すべてを見ているのは、このホテルだけ。
張り巡らされた伏線、交錯する善意と悪意に一気読み&二度読み必至!
伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命の行方は――?
『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』など、話題作を次々発表する社会派ミステリの旗手がエンターテインメントを極めた、感動の長編ホテルミステリー! !
【主な登場人物】
佐倉優美――悩める人気女優
三木本貴志――自暴自棄なスリ
高見光彦――新人賞受賞作家
森沢祐一郎――軟派な宣伝マン
林志津子――人生の最期をホテルで…
【感想】
★★★★★
改装工事の為に閉館する超高級ホテルで起きている様々な人たちの様々な物語。
パンデミックになってから「やさしさ」を感じる本が増えた気がしますが、この小説も「やさしさ」「思いやり」について描かれています。優しさを偽善とSNSで中傷されたり、優しさで人を傷つけることがあったり、「優しさ」「思いやり」が呪いや憎しみ、苦しさにつながることがある現代でもそれを「美徳」としたい。そんなメッセージがあるような素敵なお話でした。
よくあるいろんな人が最後に線でつながるお話かなと読んでいましたが、さすが下村さんの作品。最後はおお!っと思っているうちにいつの間にか感動させられていました。