【女はつらいよ】彼女たちのいる風景
著者 水野 梓
【内容】
生きづらいけれど、生きていたい。私たちはもう一度、産声を上げる。
私たち、38歳。全てが順風満帆にすすんでいる、はずだった。
出産によって「マミートラック」に追いやられてしまった凛。
「シングルマザー」として、発達障害の子供を抱え貧困から抜け出せずにいる響子。
週刊誌のサブデスクまで上りつめがらも、「不妊治療」がうまくいかない美華。
月一回のランチ会で愚痴をこぼすことでストレスを解消していた私たち。
いつの間にか「本当の悩み」は避けるようになっていた。
誰にも言えないその感情はやがて――。
相手を見下すことでしか自分の人生を肯定できない「私」は心が汚れているのだろうか。
「女」、「妻」、「母」。
役割を背負わされ、反発しながらも生き抜く、三者三様の戦い。
令和版『女たちのジハード』!
【感想】
★★★★★
ずっと昔に比べたら、女性の社会権利はよくなってきたのかもしれない。
しかし、女にはいろいろな問題が出てくる。
「仕事」「結婚」「子ども」
発達障害の子供は昔より増えてきたように思う。もちろんそういう診断をされる子供が多くなってきたということもある。その診断によりそういった生きるのが難しい子供たちが少しでも生きやすくなったらいいと思う。
女にはどうしても出産のリミットがあるので「仕事」と「結婚」の両立が難しい。
保育園からお迎えに来てくださいという呼び出しがかかってくるのはだいたいお母さんの方だと思うし、迎えに行くのもほぼお母さんだと思う。キャリアがかかっているのは男も女も同じであるのにだいたいお母さんが主に子供の世話をし、家事をしている。これをお父さんが半々でやっているところはすでに少数派であると思う。
この物語には三人の女が出てくる。立場はばらばら。
・順風満帆に結婚し、子供を産んだばかりの凛。しかしそのことで今までの仕事はやらせてもらえなくなり、いわゆる「マミートラック」と呼ばれるレールに乗ってしまった。
・発達障害ぽい子供を抱えるシングルマザーの響子。学校からも呼び出されるも、自分の子供に診断を付けたくないという気持ちもある。
・キャリアがうまくいくも、夫との間に子供ができない美華。
いろいろな悩みを抱えた女性たち。きっとたくさんの女性の悩みと共通していると思う。誰もが自分は苦しいと思いながら生きているのだろうなと思いながら読んだ。小さくても大きくても悩みのない人なんていないと思う。人からするとほんの小さな悩みだと思われるかもしれないけれど、本人にとっては生きているのが辛いと思うほどかもしれない。
女の幸せは比較論というのはほんとよく言ったもので、どうしても女は特に、人と比べて一喜一憂しがちだと思う。そんなの意味がないと知っているのにやめられない。
そういったものを抱えながら、これからの人生どうやって生きていくのか。後悔のない人生なんてないと思うけれど、できるだけ後悔のないように、自分の選んだ道を信じて、なるべくポジティブに生きていけたらいいなと思いました。