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ぶくぶくブックレビュー

読んだ本のレビューを書いています。

【ぞわっとする短編集】冷たい骨に化粧

著者  丸木文華

【内容】

このラスト、中毒必須 ―――

「闇堕ちBLの女王」が放つ、9つの極上の毒。
その結末に震え、驚き、涙する。

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残酷な世界を生き延びるため、
彼女は唇に嘘を纏った。

隠し通すと決めた秘密、守るために握った刃、騙し抜いてほしかった甘い言葉。
その正体に気付くとき、9つの衝撃があなたを射貫く。


◆夕暮れ時に訪ねてきたのは夫の不倫相手だった。/『あやか』

◆「おじいちゃんを殺した」。母と娘の逃避行ともう一つの秘密。/『真夜中のドライブ』

◆愛する妻に殺されたい。男が挑んだのは命を賭けた悪女の証明。/『愛妻家』

◆作り話が得意なミユは、今日もクラスの人気者。/『楽しい話をしてあげる』

◆バス停で出会った不思議な女。その声はどこか懐かしかった。/『赤い傘』

ほか、全9編を収録。
衝撃の結末を、心してご堪能ください!

【感想】

★★★★★

これ、どのお話もすごく面白かったしものすごく好みでした。
どれも少しぞわっとします。


闇落ちBLの女王ということで、あまりBLは嗜んできていないのですが、彼女の作品は気になりましたので面白そうな作品があったら読んでみたいなあと思いました。


私が好きだったのは『あやか』で、いったいこれどうなってるの!!と最初の一話から衝撃を受けました。
『愛妻家』もやばくて面白かったし、最後の『赤い傘』は、今までのぞわっと感とは違う感じで最後にふさわしい読後感でした。

 

どのお話もそんなに長くないので隙間時間にパッと読めます。

 

 

 

【あの遊びをもっと面白く】地雷グリコ

著者 青崎有吾

【内容】

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

【感想】

★★★★★

じゃんけんで階段を上っていくおなじみのゲームに地雷を足すことで頭も使うし面白くなる!

ほかにも坊主めくり×神経衰弱で坊主衰弱だったり、ポーカーだったりだるまさんがころんだだったりちょっとひとくせルールを付け足すことによってものすごく面白いゲームになった。自分でもやってみたいと思わせてくれるしお話自体もとても面白かったです。お話の展開がわくわくして、イカゲームとかより私は全然好きでした。

 

マンガも出ているようなので、小説が苦手な人はマンガもいいかも。

 

 

 

 

 

【生きる猶予は一週間】そして誰もいなくなるのか

【内容】

死神から言い渡された一週間の猶予。作家デビューを狙う小松は、その出来事を小説仕立てで執筆し完成を急ぐ。しかし友人たちが次々と殺害され……。第33回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。

【感想】

★★★★★

死神も出てくるのでファンタジーではあるのですが、ファンタジー苦手な人でもミステリー好きにおすすめです。設定として「死神が出てくる。死んだ一週間前に戻るが結局その時に死ぬので猶予は一週間。ただし・・・・」という条件がついている感じ。

 

小松は小説家でなんとしても小説家として成功したいと思っているが、なかなかうまいこといかない。しかし死神にあった後、自分の体験をそのまま小説にして応募しようと決意します。猶予は一週間しかないのでいそいで書かなければいけない。

 

そんな小松と大学時代の3人の友人たちは大学時代にある秘密を共有する。そして一緒にいるときに事故にあい、4人全員一週間前に戻ることになるのだが、次々とみんな死んでいく。

 

いったいなぜ死んでいくのか、もしかしたら自分も狙われているのか。

最後予想外の展開に驚きました。「えっそんなことあったっけ!」とページを何回も戻ったりしました。面白かった。あと最後、奥付を見て「!!!」となりました。

 

 

 

 

【元SM女王の現在】ポンコツ一家2年目

著者 にしおかすみこ

【内容】

認知症の母・ダウン症の姉・酔っ払いの父
との生活を描いたポンコツ一家』から1年半。

「壮絶だけど笑って泣ける」家族のリアルな物語、
待望の続編のポンコツ度合いはパワーアップ!

母よ、認知症が忘れたフリしたら、ややこしいよ。

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母、81歳、認知症&糖尿病
姉、48歳、ダウン症
父、82歳、酔っぱらい
私、47歳、元SMの女王様キャラの一発屋

全員今でもポンコツである。
「ママ、なんだったらできるかね。ママ、なんだったら覚えていられるかね」
私はすぐに返事ができなかった。

「この連載で初めて、私は一線を越えた。書籍化するにあたりもう一度考えた。改めて心に刻む。家族を晒すも、守るも私だ。私にとって書くことは、このふたつが同じ線上にある」

***

コロナ禍久々に帰ったら、実家が砂場の「ゴミ屋敷化」していた――。
大黒柱だった働き者の母の異変に同居を決めたにしおかすみこが、暮らして1年経ってみたのは、さらにパワーアップしたポンコツ度合いだった。笑って泣ける家族と介護「2年目」の姿。

【感想】

★★★★★

これ、前作も読みましたがすごくよかったんですよね。

 

piyopiyobooks.hatenablog.jp

最近どうしてらっしゃるのかなとyoutubeで探してみたらちょうどこの本のPRとかサイン会している動画が出ていて、にしおかすみこさん、めっちゃきれいですね!美魔女!


www.youtube.com

前回に引き続き、全員「ぽんこつ」なにしおか家のお話。

↑動画の中で、「自分の幸せを一番に考えている」とお話しされていましたが、すごく良いと思いました。まずは自分が幸せじゃないと!

やはり自分が幸せでなければ辛くなってしまうと思う。


全てを受け流せて、お姉さんを天使だというにしおかさんの心もとても綺麗だと思う。
そしてきちんと愚痴を吐き出せる人もいて本当に良かった。
彼女のこの本で救われるというか、励まされる人は沢山いると思う。介護をしてなくてもきょうだい児でなくても。
そして後々にしおかさん自身のことも励ましてくれるんじゃないかなと思える本だと思った。

 

 

前作もぜひ

 

 

【最後の一文が効いている】禁忌の子

著者  山口未桜

【内容】

救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第三十四回鮎川哲也賞受賞作。

【感想】

★★★★★

最初にミステリーにありがちな、「登場人物紹介」が書いてあってその人物をあらかじめさっと読むことでなんとなく物語の展開は予想できます。

 

救急医の自分のもとに運ばれてきた死体が、姿かたちどころか、尻毛の生え方までそっくりで奇妙に思う武田。

同じ医者で旧友の城崎とともにその遺体の身元が誰なのか、自分とは関係があるのか、自分にそっくりなことで自分も狙われたりもしないのかなど調査を始める。

そこで母子手帳からある病院にコンタクトを取るとそこの院長が「すべてを話す」とのこと。しかしミステリにありがちな展開でその院長は死んでしまった。

ここまではなんとなーく予想がつくんですよね。そっくりな遺体は不妊治療でできた兄弟なのかなとか。

でも読んでいくうちにどんどん予想外の展開になっていきました。

最後の最後まで面白くて、本当に最後の一文が効いている!そっちか!と思います。

 

 

【語り手が衝撃】生殖記

著者 朝井 リョウ

【内容】

今度の語り手、何かが違う――。

『正欲』以来3年半ぶり、新作長篇。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。

体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。

この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

【感想】

★★★★★

これ、中日新聞での連載で、私はオンラインで中日新聞が読めるのでめっちゃうれしい―!!と思って読んでたんですよ。それが5話以降かな、オンラインでは読めなくなりものすごくがっかりしました。

 

冒頭部分、オンラインで読んでいたものと比べると、単行本になると結構変わるんだなと思いました。とはいえ細かくは覚えていなかったのですが。

しかもオンラインで読んだ部分ではその衝撃の語り手は明かされていなかったんですよね。この本を読んで、え、一人称コレなん!!と思いました。

 

一人称はアレなんですが、至極まっとうな、ものすごく考えさせられる本で、ジャンルとしては「正欲」みたいな感じかな。この本を読んで少なからず救われる人もいるのではないかと思いました。「しっくりくる」ことについてなるほどと思ったことも数知れず。「しっくり」はこの本のキーワードかな。

 

朝井リョウさんらしい斬新な切り口での本だなと思いました。面白かったです。

 

 

【筋肉は裏切らない】フェイク・マッスル

著者 日野瑛太

【内容】

たった三ヵ月のトレーニング期間で、人気アイドル大峰颯太がボディービル大会の上位入賞を果たした。SNS上では「そんな短期間であの筋肉ができるわけがない、あれは偽りの筋肉だ」と、ドーピングを指摘する声が持ち上がり、炎上状態となってしまう。当の大峰は疑惑を完全否定し、騒動を嘲笑うかのように、「会いに行けるパーソナルジム」を六本木にオープンさせるのだった。

文芸編集者を志しながら、『週刊鶏鳴』に配属された新人記者・松村健太郎は、この疑惑の潜入取材を命じられ、ジムへ入会する。馬場智則というベテラン会員の助力を得て、大峰のパーソナルトレーニングを受講できるまでに成長。ついに得た大峰との一対一のトレーニングの場で、ドーピングを認める発言を引き出そうとするが、のらりくらりと躱されてしまう。あの筋肉は本物か偽物か。松村は、大峰の尿を入手してドーピング検査にかけるという大胆な方法を考え付くのだが――?

フェイクが氾濫する時代の、「真実の物語」が始まった。

【感想】

★★★★★

私は筋肉にも、マッチョにも、ドーピングにも、ボディビルにも興味はない。

そしてあらすじ、「たった三か月の筋トレでめっちゃマッチョになったアイドルが経営するジムに新人雑誌記者が潜入捜査。」そこまで劇的なことが起きるわけではなさそう。

 

それが、読みやすいのもあり冒頭からはまってしまうんですよね。

 

とにかく松村の成長が素晴らしい。文芸をやりたくて入った出版社でやる気が起きない週刊誌で働くひょろひょろした男性だったのが、潜入捜査によってすごく変わっていく。なんとしてもそのアイドルに近づこうと80キロのバーベルを持ち上げようとする努力。そしてそのアイドルのドーピング検査をしたいためになんとしてもトイレから尿を採取しようとする努力(めっちゃ面白い)。そして最終的にピアノまで特訓する羽目に。

 

かたやそのアイドルの部屋で注射器を見つけてしまい、そのアイドルを守ろうとするために暗躍する女性。

 

どんどん読み進めていくうちに沼にはまってくる。

あまり話すとネタバレになってしまうので言いませんが、とにかくめちゃくちゃ面白かったです。