【じーんとする読後感】祈りのカルテ
著者 知念実希人
【内容】
諏訪野良太(すわのりょうた)は、純正医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科、産婦人科など、様々な科を回っている。
ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷(ヤケド)で刻まれていた。離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているという。
しかし良太は、女性の態度に違和感を覚える。彼女はなぜ、毎月5日に退院できるよう入院するのか……。(「彼女が瞳を閉じる理由」)
初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人や、循環器内科に入院した我が儘な女優など、驚くほど個性に満ちた患者たちとその心の謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。
「彼」は、人の心を聴ける医師。
こころ震える連作医療ミステリ!
【感想】
★★★★☆
医療ミステリの連作短編。もともと連作短編は好きなほうで、よく読んでいます。
つい最近彼の作品で読んだのは「時限病棟」その前も「仮面病棟」を読みましたが、まあいわゆる普通の医療ミステリですね。
今回は悩みを抱えた患者さんが、研修医諏訪野良太が話を聞いたり調べていくうちにその悩みまで治療していくというハートフルなものでした。なので読後感がとても良いです。じーんとしました。
さらに、構成も「諏訪野良太が研修を終えて、どの科に入局するかを決めるまで」というものになっているので、ラストが「これから頑張るぞ!」という前向き感が溢れていてとてもよかったです。
最初の精神科に研修しているときの諏訪野良太の印象としては「軽いな!」という印象を受けましたが、彼の過去を知ったり、研修を通してだんだん成長をしていく姿にこっちも励まされました。
とても前向きになれる作品だと思います。