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ぶくぶくブックレビュー

読んだ本のレビューを書いています。

【現在のロシアウクライナの状況もこれと同じ】戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

【著者】スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ

【翻訳】  三浦 みどり

kindle unlimitedがまたキャンペーン中なので入った。

 

【内容】

ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し,看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った.しかし戦後は世間から白い目で見られ,みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――.500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした,ノーベル文学賞作家の主著.(解説=澤地久枝

 

【感想】

★★★★★

寝る前に読んだのがいけなかった。

寝る前に一気読みしてしまったので、なかなか寝付けなかった。

 

ずっと語られてこなかった、女性視点からの戦争。

ソ連とドイツが戦争をしていたときの女の話。しかし、女性だからと言って洗濯や料理、看護師などという人たちだけではなく、希望して前線で男たちと同じように戦った人もたくさんいる。

 

現在もウクライナとロシアは戦争中なので、その人たちに思いをはせながら読んだ。

 

残酷な描写も山ほど出てくる。ニュースでも山ほど死体の映像を見た。この本の中では戦争は過去の話だったけれど、現在のこの状況を見て、彼女らはどう思っているのだろう。

 

戦争で親や兄弟を亡くし、夫や恋人を亡くした女性たち。

多くの人は、お墓を作ってあげることすらできない。私は平和な暮らしをしていて、こういう悲しみや絶望は想像すらつかないところにいる。なぜ戦争をしなければならないのか。なぜこんな悲しい思いを国民に味わわせるのだ。この時からずっと変わっていない。

 

女性兵士には生理の問題がある。

もともと兵士は男性ばかり、生理用品の準備なんてあるわけがない。そしてもちろん男性用の緩い下着をはかされている。

彼女らは流れ出る出血を垂れ流すほかはない。寒いので血はかたまり、股はすれる。

下着の袖をつかい当てるしかないが、下着は2枚のみしか与えられていないので袖は4本。

生理が止まってしまう人もいて、それはそれで辛い。

 

 

生まれたばかりの子供を自分の手で殺さなければいけなかった女性がいた。

たくさんに人と隠れていて、赤ちゃんがお腹がすいてミルクをのみたいのだけれど、母親もお腹がすいていて乳がでない。赤ちゃんが泣くと外の兵士に見つかってそこに隠れている全員が殺されてしまう。母親は自らの手で子供を殺さなければならなかった。

 

たくさんの子供がいる母親。子供たちはドイツ兵に撃たれて殺された。残っている、自分が抱えている赤ちゃんを、ドイツ兵が「空中に投げて撃ち殺そう」と楽しそうに言っている。その前に母親はその子供を地面にたたきつけ、自らの手で殺した。

 

なんという絶望か。

 

 

 

 

 

 

苦しい余韻が今でも続いている。

 

この本を参考に書いてあるらしいのでこれも読んでみたいと思った。

 

 

マンガ版もある。読みやすそうなので是非。