【頭の中で長澤まさみを想像しながら読みました】ガンジス河でバタフライ
著者 たかのてるこ
【内容】
20歳にして、長年夢見ていたひとり旅に出たてるこ。極端な小心者だからこそ、五感をフルに稼働させて、現地の人とグッと仲良くなっていく。インドでは聖なる河ガンジスを夢中に泳ぎ、ぶつかってしまった人に謝ると、なんと流れゆく死体だった…。ハチャメチャな行動力とみずみずしい感性が大反響を呼んだ、爆笑紀行エッセイ第一弾。
【感想】
★★★☆☆
若い女性一人旅な割にハチャメチャすぎて読んでいて心配になるほどでした。
ガンジス河でバタフライ、案外あっさりしてました。ていうかよくそこで泳げるなー!若いからかな!!
知らないおじさんちに遊びに行ったりとか、私のこの年では無謀すぎるようなことをやってのけていて、若かったからだと思いますが、旅行者の方々はそんなに無茶しないでいただきたいです・・・・。
【時給1120百円の短期アルバイト】インシテミル
著者 米澤穂信
【内容】
車を買う金欲しさにアルバイト探しをしていた学生・結城がコンビニにあった求人情報誌で見つけたのは、時給11万2000円という破格の好条件の仕事。
それは、1週間「ある人文科学的実験の被験者」になるだけという、短期のアルバイトだった。インターネットや雑誌を見て、山間にある施設に集まったのは12人の男女。
彼らは、実験の内容を知り驚愕する。
それは、より多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった――。
地下の実験用施設「暗鬼館」に閉じ込められた12人。最初の殺人が起こり、疑心暗鬼に駆り立てられる参加者たち。互いに推理を戦わせ始める彼らを待ち受ける衝撃の運命とは!?
映画化も大ヒットした、60万部突破の大人気ミステリー。
【感想】
★★★☆☆
映画化もされたんですね。知りませんでした。
よくある感じの、高い時給につられてアルバイトにいったらクローズドサークルの殺し合い的な実験でしたという話。
タイトルの意味が気になったんで調べてみました。なるほど!
インシテミルの意味・由来
タイトルの『インシテミル』は「淫してみる」が由来となっている。つまり「淫する」=「淫してみる」=「インシテミル」ともじったものとなっている。「淫する」とはイヤラシイ行為を指す場合もあるが、「物事に熱中する、没頭する」という意味もある。本作では後者の意味で使われており、作者は”ミステリに淫してみる“という意味を含ませている。つまり『インシテミル』は”物語に没頭する(淫してみる)”という意味に解釈できる。
また英表記の『The Incite Mill』は直訳すると「扇動ミル」であり、「Incite」の正しい読みは「インサイト」であるためローマ字読みしたものとなっている。「Incite」は「扇動する、好奇心をかきたてる」、「Mill」は「製粉機、ひき臼(うす)」を意味する。
元々「インシテミル」は「淫してみる」をもじったものであるため、英表記の『The Incite Mill』は当て字にした可能性が高いが、英表記から解釈するならば11万2000円という時給に興味をそそられて実験に参加し、外界と遮断され24時間行動を監視される館で精神的にも肉体的にも製粉機のように徐々にすり潰されていくと捉えることもできる。そう考えると円形の建物がまるで被験者をすり潰す臼のようにも感じられる。
読みごたえはあったけれど、そこまでかなあ・・・・。
【にゅるりにゅるりぐじゅり】入らずの森
著者 宇佐美まこと
【内容】
粘つく執念、底の見えない恐怖―― ホラーの俊英が、ミステリ要素満載で贈るダーク・ファンタジー! 小説家・京極夏彦氏「 この昏い森はあなたの奥へと繋がっている。決して入ってはいけない。でも、あなたは必ず入ってしまう。宇佐美まことが紡ぎ出す暝い森からの手招きに、抗うことはできないだろう」 文芸評論家・千街晶之氏「日本という国ならではの怖さを描いた傑作」 文芸評論家・東雅夫氏「落武者から不良少女まで――宇佐美が書いたら滅法こわい!」 陰惨な歴史が残る四国山中の集落・尾峨に赴任した中学教師・金沢には、競技中の事故で陸上を諦めた疵があった。彼の教え子になった金髪の転校生・杏奈には、田舎を嫌う根深い鬱屈が。一方、疎外感に苛まれるIターン就農者・松岡は、そんな杏奈を苦々しく見ていた。 一見、無関係な三人。だが、彼らが平家の落人伝説も残る不入森で交錯した時、地の底で何かが蠢き始める……。
【感想】
★★★☆☆
ある集落で暮らす、金髪の転校生・杏奈、そして赴任してきたばかりの中学教師・金沢、今まで仕事でうまくいかなかったIターン就農者・松岡。
金沢は子供たちと謎の校歌3番について調べ、杏奈の家には謎の少女が現れる、そして松岡はほかの農家の人から辛く当たられている。
あまり関係なさそうな年齢もばらばらな人たちだけど、読み進めていくうちにホラー展開に。
にゅるりにゅるりぐじゅりと襲ってくる粘菌の正体はわからなかったけれど、まあまあ面白く読めました。
【ただの短編集と侮るなかれ】ずっとあなたが好きでした
著者 歌野晶午
【内容】
バイト先の女子高生との淡い恋、転校してきた美少女へのときめき、年上劇団員との溺れるような日々、集団自殺の一歩手前で抱いた恋心、そして人生の夕暮れ時の穏やかな想い…。サプライズ・ミステリーの名手が綴る恋愛小説集は、一筋縄でいくはずがない!?企みに気づいた瞬間、読み返さずにはいられなくなる一冊。
【感想】
★★★★★
660ページもあり、読みごたえも抜群。
最初は一冊の長編小説だと思ったのですが、読み始めてみたら恋愛をモチーフにした短編集。
でもそこかしこに歌野晶午さんらしいサプライズやトリックがちりばめられていて、どの話も面白くよめました。
が!!!!
さすが歌野晶午さん。最後にとびきりのサプライズを用意してくれてました!!!!
「女!」という話の最後の2行で「あれ?」と思い、その次の話「錦の袋はタイムカプセル」で「えええええ!」と。「おまえだったのか!!!!」となります。
最後の解説で詳しく説明してくれてますが、2度読み、3度読み必至の本でした。お買い得感半端ないですね。
【あの子供たちの、その後】心音
著者 乾ルカ
【内容】
私は、一億五千万円さんと呼ばれていました。
城石明音は先天性の心疾患を患っていた。両親は渡米しての心臓移植手術を決断する。そのためには1億5千万円という莫大な費用が必要だった。募金活動の末、明音はチャーター機でアメリカに渡った。ドナーも見つかり、手術も無事に成功し、明音は一命を取り留めた。誰もが明音の生を祝福しているかのようだった。このときまでは――。
白村佳恵は夫の康太とともに、8歳のひとり娘・若葉の渡米と心臓移植手術のため、募金活動に奔走していた。目標額は一億五千万円。しかし、目標の半分も集まらないうちに、若葉は帰らぬ身となった--。若葉が海外での移植手術を目指し始めた頃、佳恵は「明音ちゃんを救う会」のサイトを見つけていた。年齢こそ若葉の2歳上だが、もとの住まいが北海道であること、病名、診断された時期、転院先が東京であることなど、何か何まで似通っていた。明音には募金が集まり、手術に成功し、一命を取り留めた。娘を亡くして3年、佳恵は更新が続く「明音ちゃんを救う会」のサイトを見続けていた。明音の中学校入学にあわせて制服を買い、バイオリンを始めたと見ればバイオリンを買った。「明音ちゃんを救う会」がなければ若葉は助かったのではないか--。歪んだ思いを胸に、佳恵は明音の元に向かう--。
【感想】
★★★★★
多額の寄付を募ってアメリカで心臓移植をした明里のその後の人生の話。
よくある、子供の心臓移植のために募金を募る人。NYに旅行に行ったときに、一緒に飛行機に乗っていたこともある。
その結果命が助かり、心臓が丈夫ではないものの普通に生きることのできた「幸運な」子供のその後の物語。
なかなか心が締め付けられる展開でした。
「一億五千万円さん」などと呼ばれイジメられ、でも「死は絶対に選べない」ということがまたとても苦しく、辛くて辛くてどうにかこれから幸せになってほしいと思いつつもなかなか思い通りにいかず、幸運なことであったのにそれが呪いのようになってしまい、読んでいてとても辛かったです。
他人事だと思うと、「せっかくみんなから生かされたんだから、人生を謳歌してほしい」と思いますが、当事者だとすると、こういったプレッシャーを背負うことになるんだなと思いました。確かに自分が当事者だったら明音のように抱えながら生きるかもしれない。
考えさせられました。
【現代の風刺などバラエティに富んだショートショート】オバペディア
著者 田丸雅智
【内容】
5分で心揺らされる!!
気鋭のショートショート作家が紡ぐ、珠玉の18篇!
《収録作品》
くじ物件/ 記憶の喫茶/ 矢印の街/ 十郎/ 採集電車/ 甘海、甘魚/ プレミアム地方/ 新入社員/ 赤ちゃんエクスプレス/ 黒い犬 / メリー/ 言葉の蛇口/ 星の申し子/ 白い 犬/ あの日の花火/ オバペディア/ 雪解け のカクテル/ バルーンケーキ
【感想】
★★★★☆
1話だいたい5分で読めるショートショート集。
表題作の「オバペディア」や「言葉の蛇口」のような、現代を風刺しているかのようなショートショートなど、とても楽しめました。
私は「くじ物件」がとても面白かったです。
待ち時間にサクッと読めるし、電車の中など移動中に読むのもおすすめ。
【待ってましたの第三弾】みんなでつくる 意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語 参
氏田雄介[編著] 武田侑大[イラスト]
【内容】
【感想】
★★★★★
待ってましたの第三弾!
相変わらず面白かったです。
特に最後から最初に戻って謎が解ける話や、右から読むのと左から読むのでは意味が180度変わってしまう文章。とても上手くできている作品ばかりでした。
日本語って面白い!と思わせてくれます。
意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 ゾク編 54字の物語 怪(かい)
- 作者: 氏田雄介
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みんなでつくる 意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語 参
- 作者: 氏田雄介編著,氏田雄介
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