【素敵な結婚式に参加したかのような感動】末ながく、お幸せに
著者 あさのあつこ
【内容】
相手に幸せにしてもらうのではなく、相手を幸せにするのではなく、自分の幸せを自分で作り上げる。それができる者同士が結び合うこと。それが結婚というものだろう。私たち、本物の夫婦になれるかな?もらい泣き必至の結婚式小説!
【感想】
★★★★★
まるで素敵な結婚式に出席したような感覚で、とてもよかった。
結婚する萌恵は友人や元上司、そして従兄弟からするととても人のことがわかる素晴らしい人。それは彼らのスピーチによって印象付けられていく。
すばらしい人柄な萌恵だけれど、実は家族との関係が少し複雑だった。
実は母親としている女性は彼女の叔母。でも実の母も出席している。
母とそして産みの母親との関係でまた彼女の人となりの印象が変わったけれど、是非これから幸せになってほしいと思った。
とても暖かな感動を得られるお話でした。
解説の松井玲奈さん、こんなにきちんと文章が書ける人なんだなと感心した。
【幼女を愛でるイケメンを愛でる】氷の侯爵様に甘やかされたいっ! ~シリアス展開しかない幼女に転生してしまった私の奮闘記〜
著者 もちだもちこ
【内容】
アラサーのラノベ作家・由梨(ゆり)は、気づくと自分が書いたラノベの世界へ転生していた。しかも侯爵家の娘でありながら、不義の子として愛されず、悲壮な最期を遂げる不遇な幼女ユリアーナに――。来たるバッドエンド回避へ向けて、まずは最恐と恐れられる「氷の侯爵様」である父ランベルトの好感度を稼がなければと意気込むものの……「あれ? 私何もしていないのに溺愛されている!?」
その日からユリアーナの甘やかされライフが始まった。ランベルトが手ずからお菓子を食べさせてくれたり、たくましいお膝に抱っこされたり。その上、嫌われるはずの兄から愛され、憎まれるはずの魔法の師匠からもかわいがられ……「一体、何が起こっているの~!?(汗)」
転生美幼女が愛と魔法で無双する、ほのぼのお屋敷ファンタジー!
【感想】
★★★★☆
氷のように冷たく無表情の血のつながらない父親&同じく無表情の兄にでろでろに甘やかされる幼女の話。
転生モノでまた令嬢系ですが、主人公幼女なので、王子様と恋に落ちる系というより、愛でられる系でした。
でも読んでいてただご褒美としか思えないような感じでした。
ラノベにもいろんなジャンルがあるんだなあと感心。
表紙絵を見たらえらくイケメン。でもなかなかこのイケメンを思い描きながら読むの難しい。
そういうののために挿絵というご褒美があるんだなあと納得しました。
【「負け犬」のその後】ガラスの50代
著者 酒井順子
【内容】
『負け犬の遠吠え』『子の無い人生』『駄目な世代』ーー著者のライフステージエッセイ、最新版。「令和の50代」のリアルがここに!
精神的にはやっと成人式
グレイヘアをきらめかせ
好きに生き始めるお年頃
なのに職場では怖がられ
恋の8050問題を抱え
母親はさらに重さを増す
「令和の50代」のリアルがここに!
Webマガジン「ミモレ」大反響連載、単行本化
巻末に50代大アンケート結果を収録
「誰にも言えない秘密を教えてください」
「今、悩んでいることを教えてください」
「50代までにしておいてよかったと思うことを教えてください」
「50代になったらやめた方がよいと思うことを教えてください」
「50代にできるようになったことを教えてください」
「50代で嫌いになったことを教えてください」
ほか
【感想】
★★★★☆
「負け犬」のその後と書くとあれですが、前に話題になった『負け犬の遠吠え』の著者さんの新しいエッセイです。
『負け犬の遠吠え』の時はこの方35歳だったんですね。
現在50代。パートナーはいるようですが独身のようですね。
子どもがいない、もちろん孫もできない50代。
こういった人はこれから増えると思うし今も結構いるんだと思う。
腐乱死体にならないように死に方を考える。
おひとりさまが安心して死ねるような社会に、なっていくといいなあと思います。
私よりも年上の世代なので、共感というよりは、これからどうにかしていかなければ不安!という感じでした。
【最後まで読むと面白い】完全犯罪の恋
著者 田中慎弥
【内容】
孤高の芥川賞作家が初めて挑んだ、大人のための恋愛小説
人は恋すると、罪を犯す。
運命でも必然でもなく、独りよがりの果てに
その罪を明かさないのが、何よりの罰。
――中江有里
頭のどこかで確実に、小松奈菜の顔を思い浮かべていたのだと思う。
恋愛小説を書く、という野望を立てた時、
あの目がいっそう強く迫ってくるようだった。
私小説以上に私が出ている。
批判でもいいから、女性読者の感想を聞きたい。
――田中慎弥
≪内容≫
その目に、揺さぶられた――。
四十半ば、キャリアに行き詰った作家「田中」の前に突然現れた若い女。
彼女は何者なのか?
高校時代の淡い恋、
あの時自分は選ばれたのか、そうでなかったのか。
三十年を経て、謎が解き明かされる。
【感想】
★★★☆☆
途中まで正直この話はどこに向かっているのだろうなと退屈に思えました。
小説家田中の前に現れたのは、自分の高校時代の恋の相手の娘。
彼女に高校時代の恋の話を聞かせてほしいと言われ、田中は語り続ける。
完全犯罪の恋、最初はほんとに完全犯罪ってなんだよ、高校時代に好きだった人の娘と出会って話をして、彼女がだいぶ年下だから犯罪?かもしれないけど完全犯罪ってことなのかなといろいろ考えてました。
が、最後すごく切なくなりました。最後の最後で面白くなるお話でした。
【後味が大変悪い】死者と言葉を交わすなかれ
著者 森川智喜
【内容】
貴方に
この声が
聞こえる……?
京大生が100%騙されたミステリー!
デビュー二作目にして本格ミステリ大賞を受賞した天才に
――あなたは絶対に騙される。
☆☆☆☆☆☆
★読み終えたらこんな気持ちになるなんて、思ってもみなかった(京都大学学生)
★探偵であるさくらと小竹がたどり着いた真実――だけで終わったら、どれほど良かっただろう(京都大学学生)
☆☆☆☆☆☆
“死者”と語り続けた後、彼は命を落とした――。
不狼煙さくらは探偵・箒山小竹との浮気調査中に、調査対象の死に遭遇。
一見病死だが、仕掛けた盗聴器からは“死者との会話”が流れ出してきた!?
これは自然死か、死者の呪いなのか……。
旧知の警察官に事務所廃業の脅しをかけられるなか、 真相を追う二人は予想だにしない悪意に出会う――。
デビュー二作目にして本格ミステリ大賞を受賞した天才に、あなたは絶対に騙される。
☆☆☆☆☆☆
デビュー2作目となる『スノーホワイト』で本格ミステリ大賞を受賞した鬼才・森川智喜さんの最新刊は――予想だにしないものでした。
すこしのんきな探偵社員の不狼煙(のろさず)さくらと、強気な女性探偵所長の箒山小竹(ほうきやま・しの)の名コンビが事務所存続をかけて挑むのは、「死者言葉の謎」。
オカルトか、あるいは人の作為か――。
真実は、ページをめくって確かめてみてください。
【感想】
★★★☆☆
第三幕、ここを読みたくなかったーというのが本音です。
まさかそんな風に騙されてしまうとは・・・・。違和感も全然気づかず・・・・。
登場人物の名前がなかなかトンデモすぎて、そっちばっかり気になってました(笑)
不狼煙で「のろさず」とか。狼煙って動詞だっけ?何ならレ点つけたいんだけどみたいな。
子どもになってほしくない職業第一位除霊師っていったいどんな雑誌のランキングだよとか(笑)
なんかいろんなところに気を取られて、第二幕まで読んでなんだこんなオチかーと思ってたところに第三幕。
違う意味で怖かったです。イヤミスというのか、後味が大変悪いです。ので口直しの本も用意してから読むといいかも!
【タイトルが長すぎ】成り行きで婚約を申し込んだ弱気貧乏令嬢ですが、何故か次期公爵様に溺愛されて囚われています
著者 琴子
【内容】
「あの、わたしと婚約して頂けませんか!?」。
長年虐げられた貧乏令嬢・アリスの一世一代の告白。受け入れたのは、偶然通り掛かった眉目秀麗な次期公爵!? 救世主・アーサー・グリンデルバルドはクールと評判なのに、いきなり優しい言葉で愛を伝えてくれる。嬉しくて手を握ると、彼は異常なほど喜んでくれて? 身分差を越えて、アリスは公爵夫人へと歩み出すが……道は険しく、公爵夫人の座を狙った闇討ちが襲い掛かる。現場を目撃したアーサーの怒りが燃え始め――毎日登下校は付きっきり、屋敷に住まわせ、部屋に鍵までつけてしまう始末で!?
(……どうしてこんなに愛してくれるの?)秘められた過去が、貧乏令嬢と愛が重い(?)完璧王子を幸せな日々に導く、奇跡のシンデレラストーリー! 「24時間、君のために」。
【感想】
★★★★★
Netgalley様よりゲラ読み。じゃないとなかなかこれは手に取らない・・・。
表紙からしてハードルが高い。
タイトルがB'zも真っ青なくらい長い。絶対覚えられない。
これもはやA・RA・SU・JIですよね。題名読んだらだいたい内容わかる。
わかりやすい!
さて、それはさておき、ライトノベルですが、「」多用でセリフばっかり!!とかいうものではなくきちんと読みやすい小説でした。
最近は令嬢系が流行っているのか、読みながら「公爵」「侯爵」「子爵」とか私にはランクが分からないよー、最近のラノベ読者にはみんなこれ常識なの?とびっくりしました。できればどこかに侯爵ランキングつけてほしい。身分差がわからない。もしかしたら常識レベルなのかもしれませんが私にはわからなかった。もちろん読んでたらなんとなくわかるけど。
貧乏令嬢が小さいころからモラハラ受けていた幼なじみと婚約させられるのを嫌がりその辺で声をかけたイケメンが実は公爵の息子でそしてなぜか溺愛されるというお話。
公爵様の息子、アーサー・グリンデンバルドっていうんですよ。
もうファンタビ出てきました。最初の方、声をかけたあたりは頭の中でジョニーデップが演じてました。でもめっちゃど甘いのでデップ様消え去りました。
公爵、モラハラ幼なじみのモノローグも入り、読みやすく面白かったです。
ていうかていうか二人ともこじらせてるわ。軟禁したり。ちょうど私欧州住まいなもんでロックダウン中なんですが、アリス気分を味わいましたよ(笑)
アーサーは「耳をすませば」の天沢聖司が思い浮かびました。なんかちょっとストーカーみたいな。ちなみに私の中で「耳をすませば」はストーカーラブストーリーです。
シンデレラ気分が味わえるほど糖分高めで、糖尿病になるかと思いました。
ハーレクインの若い人向けみたいな感じです。
でも、面白かったですよ。続きがあるなら読んでみたいです!
【ある男の悲しい人生】わたしが消える
著者 佐野広実
【内容】
第66回江戸川乱歩賞受賞作!
綾辻行人氏(選考委員)、推薦。
「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」
元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。
途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。
これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。
刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。
残された時間で、自分に何ができるのか。
「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー!
【感想】
★★★★☆
この中に一回出てきた町に、私は住んでいた。
一回出てきたというか、駅の名前が出てきただけなんだけど、そこに住んでいたし今も相続は放棄して従兄弟に譲った祖母の家があるので、想いを馳せた。
さて、軽度認知障碍と診断されたマンション管理人のおじさん。元刑事。
離婚してからずっと会ってなかった娘が上京してきて、介護の勉強をしているのだが、介護施設で出会った門前さんという人が身元不明である日施設のまえに放置されていたのだけれど、元刑事のお父さんなら身元探れるんじゃない?ということで刑事なんて何年も前にやめたおじさんが頑張る。門前さんが自分の何年後かの姿に見えて放っておけなくなったという気持ちもある。
さて、探っていけば探っていくほど闇。
ちょうど同時進行で伊岡瞬さんの『いつか、虹の向こうへ』を少し読んでいて、設定が少し被る。元刑事のおじさんってとことだんだんなんかおっさんが命狙われている感じ。これ、同時に読まない方がよかった。こんがらがってくる。
最後はその門前さんの一生が判明するのですが、「哀しい」という言葉がぴったりの人生で、本当に正義って何だろう、警察って何なんだろうと思いました。