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ぶくぶくブックレビュー

読んだ本のレビューを書いています。

【ロシアのパンやお菓子がとってもおいしそうな一冊】昨日の僕が僕を殺す

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著者 太田紫織

【内容】

大ヒット「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」著者、新作始動!

北海道、小樽。ロシア系クオーターの男子高校生、淡井ルカは、
叔母を弔うため、彼女の愛したベーカリーを訪れる。
そこで出会ったのは、イケメン店長の汐見と人懐っこい青年、榊。
直後、級友に肝試しで廃屋に呼び出されたルカは、
化け物じみた老婦人から、死んだ娘の婿になれと迫られる。
絶体絶命の中、榊に救われたルカだが、
彼と汐見には驚くべき秘密が……。
孤独な少年と、人に溶け込むあやかし達の、
パンと絆のホラーミステリ!

 

【感想】

★★★★☆

小樽が舞台のホラーミステリ。

主人公のルカはかなりの不遇な境遇、家庭環境もかなりの不遇で、唯一かわいがってくれた叔母が亡くなったばかり。そして学校でもいじめられる対象。

さらにひょんなことから冥婚させられて怖い目に合う羽目に。

とりあえず暗い話なんですが、出てくるロシアのパンやお菓子、食べ物がとにかくおいしそうでそちらでほっこりとします。ロシアが好きな私としては見逃せない作品です。

 

妖もたくさん出てくるお話なので、ファンタジー好きにもおすすめです。

続きも読んでみたいなと思いました。

 

昨日の僕が僕を殺す (角川文庫)

昨日の僕が僕を殺す (角川文庫)

 

 

 

 

【まんまと騙された】悪いものが、来ませんように

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著者 芦沢央

【内容】

助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も、母や夫、社会となじめず、紗英を心の支えにしていた。そんな2人の関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけに2人の運命は大きく変わっていく。最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス!

 

【感想】

★★★★★

これは、見事騙されました。確かにもう一度読み返したくなる!

 

 

この奈津子の存在がね、すごいんですね。

紗英は夫の浮気について悩むも不妊治療をしていて子供のいる奈津子には不妊治療をしていることは話していない。

奈津子とはとても親しく、いつでもどこでも「なっちゃんなっちゃん」。

 

紗英は妹と一緒に助産院で働いていて、でも「子供ができるまで」という感じで、助産師の資格もなくアシスタント的な感じで働いている。

 

奈津子も、紗枝もなんだかちょっと異様な感じがするんですよね、最初から。

お互いに依存しあっていて、両方とも親との関係が少し変で。

なんだか少し違和感はあるんですが、見事騙されました。

 

相関図作り直しです、頭の中で。

 

どんでん返し系が好きな人におすすめです。

 

 

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【元裁判官で現在教授のおじさんがマンガを語る】教養としての現代漫画

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著者 瀬木比呂志 

【内容】

 
【感想】
★★★★☆
 
 
 
 
 
 
 

 

教養としての現代漫画

教養としての現代漫画

 

 

【女性南極料理人】南極ではたらく

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著者 渡貫淳子

【内容】

平凡な主婦の料理と生き方を変えた南極での1年4ヵ月の挑戦を綴った初の著書!!

結婚後は一旦職場を離れ、母として家事・育児に奮闘する日々を送ってきたが、 一念発起して南極観測隊の調理隊員にチャレンジ。

3度目の挑戦で見事合格を果たし、 母親としては初の調理隊員として第57次南極地域観測隊に参加した。 何歳からでもチャレンジできることを伝える、多くの女性たちを応援する一冊!!

南極生活で発見したエコロジカル&サスティナブルな料理と、 美味しく楽しくエネルギーを循環させる知恵とは!? テレビやSNSでも話題の「悪魔のおにぎり」誕生秘話と特別レシピを初収録。

 

【感想】

★★★★★

普通の主婦から昭和基地での南極料理人へ。

 

南極ならではのイベントの迎え方、女性目線ならではの南極越冬隊、料理人ならではの南極メシ。悪魔のおにぎりなど、いくつかレシピも掲載されていました。


南極ではちょっとした失敗も命にかかわることがある。医者と調理チーム以外はそれぞれ一人ずつで責任感も半端ない。

 

映画「南極料理人」もすごく楽しめましたが、こちらの本もとてもよかったです。


ミッドウィンターフェスティバル、どんな感じなんだろうと検索したら昭和基地NOWというブログが出てきました。綿貫さんも写真で見ることができました。

www.nipr.ac.jp

なかなか垣間見ることのない世界、とても楽しく読ませていただきました。

 

 

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる

 

 

【短歌集】えーえんとくちから

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著者 笹井宏之

【内容】

再評価著しい早逝歌人の「伝説歌集」、待望の文庫化!

話題のコミック『ダルちゃん』(はるな檸檬著)にも登場で大注目

1982年佐賀県生まれ。彗星のように短歌界にあらわれ、2009年1月、惜しまれながら26年の生涯を閉じた夭折の歌人、笹井宏之。NHKで特集されるなど、その作品は短歌というジャンルを越えて、今もファンを増やし続けています。川上未映子氏が「こんなにも透明で、永遠かと思えるほどの停滞を軽々と飛び越えてしまうあざやかな言葉に生まれ変わって、それを体験したことがない他人をどうしてこんな気持ちにさせることができるのだろう」(雑誌『ダ・ヴィンチ』2010年7月号)と言及、また、短歌新人賞「笹井宏之賞」も新設されるなど、近年再評価の声がますます高まっています。風のように光のようにやさしく強く生涯を駆け抜けた歌人のベスト歌集が、没後10年に穂村弘氏の解説付きで待望の文庫化となります。

 

【感想】

★★★★☆

穂村弘さんが好きなので、彼の解説付きということで惹かれました。
短歌集はすごく好きです。


その中に気に入った歌があると覚えて、時々反芻しながら楽しみます。
この歌集の中ではひまわりの歌と、ゆで卵の拷問器具が好きでした。あと、無題の詩も。

 

あとがきを読んで、この方が「身体表現性障害」という病気に冒されていたこと、そして早世していることを知り、とても残念に思いました。
素敵な歌をよむひとだったのに。

 

えーえんとくちから (ちくま文庫)

えーえんとくちから (ちくま文庫)

 

 

 

【冬が来るたびに死にそうになる話】この冬、いなくなる君へ

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著者 いぬじゅん 

【内容】

「この冬、君は死ぬ」謎の男に告げられた24歳の菜摘の運命は…。

ラストのどんでん返しに驚愕! 涙が溢れる著者渾身の最新作。 文具会社で働く24歳の生久田菜摘は仕事もプライベートも充実せず、無気力になっていた。ある夜、ひとり会社で残業をしていると火事に巻き込まれ、意識を失ってしまう。 はっと気づくと篤生と名乗る謎の男が立っており、「この冬、君は死ぬ」と告げられて――。

ラスト、切ない涙が温かな涙に変わる!! 著者・いぬじゅんが贈る、この冬最高の感動作。

 

【感想】

★★★★★

 

仕事では失敗し上司から毎日のように叱られ、家族からは結婚をせかされ、生きているのがしんどい状態だった菜摘。

ある日残業で会社に残っていた時い火事が起こり、「やっと死ねる」と思ったのもつかの間、謎の青年「篤生」に助け出される。
しかも不思議なことに「これから6年の間に何回も死が襲い掛かってくる」と彼に宣告される。


信じられないながらもどうにかこうにか頑張って自分を見つめなおしていき、結果死を遠ざけていく菜摘。人生も上向きになっていき、恋人もできる。


篤生の正体については彼が名前をローマ字で言ったときにはっきりと気付いた。

幕間にある篤生の気持ちに切なくなった。

 

最後、篤生が持っていた菜摘の日記を読み、篤生がいなかったらこんなにひどい人生だったのかと思った。あまりにもひどすぎる人生・・・。


とても切ない話でした。

 

(P[い]6-1)この冬、いなくなる君へ

(P[い]6-1)この冬、いなくなる君へ

 

 

【とても美しく素敵な物語】とまり木

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著者 周防 柳

【内容】

いじめ、虐待、セクハラ。

報われない恋、傷つけられたプライド、

気が遠くなるほどの孤独、かなわない夢──

幼い頃に両親を亡くし、親戚に引き取られた青山伊津子。自分の居場所を必死で見つけて生きる伊津子だったが、行く先々で不幸な出来事に見舞われてします。同じく幸せに見放された少女・小林美羽。二人は自らの命を絶つことを思い立つ。交わってはいけないはずの二人の人生は、この世でもあの世でもない「ある場所」で交差する。

一度は諦めた「生きる」ということ。

不思議な場所との出会いを通じて、もう一度「生きる」ことにした二人の人生は……。

【感想】

★★★★☆

凝り固まった心がほぐれていくようなほどけていくようなお話でした。


IとMがいるのは、不思議な遊園地のある、穏やかな場所。
だいたいのものはコンビニでそろう、不思議な場所で生活している。
そして自分の素性などは何も覚えていないし、そこで会った出来事もやがて忘れていく。

 

読み進めていくうちに、I(青山伊津子)とM(小林美羽)のなかなかしんどい境遇を知る。
二人はそれぞれ絶望し、この、おだやかな遊園地のある場所にたどり着き、友人になり楽しく過ごしていく。

しかし、この二人の関係は、現実ではなかなか複雑で、まさかここで仲良くなるようなものではなかった。

でも、現実でのお互いへの思いなどを知っていくうちに、どうなるんだろうとドキドキしながらも、うまくいってほしいなあと思わずにはいられなかった。

 

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」もテーマになっていて、とても美しく素敵な物語でした。


コーヒーを片手にゆっくり落ち着いて読みたい一冊です。

 

 

とまり木

とまり木