【コナンよりも控えめな少年探偵】僕の神さま
著者 芦沢央
【内容】
「知ってる? 川上さんって、お父さんに殺されたらしいよ……」
僕たちは何かトラブルが起きると、同級生の水谷君に相談する。例えば友だちから意地悪されたら、運動会で出たくない競技があったら、弟が迷子になっても……。学校中のみんなから頼りにされる名探偵。彼が導き出す答えに決して間違いはない。だって水谷君は「神さま」だから。夏休み直前、僕と水谷君は同じクラスの川上さんからある相談を受ける、その内容は意外なものだった……。小学生の日常で起きた「悲劇」が胸をえぐる、切なく残酷な連作ミステリー。
【感想】
★★★★★
芦沢央さんは『罪の余白』と『悪いものがきませんように』『バック・ステージ』を読みましたがだんだんとお気に入りになってきている作家さんです。どれも面白い。
こちらの本は、連作短編で、主に出てくるのは、僕と水谷君。
この水谷君がほかの子供たちからも一目置かれている「神さま」で、いろんな謎を解いてくれたりします。
物語は、亡くなったおばあちゃんが作った桜茶をこぼしてしまうところから始まります。おじいちゃんは春になるとおばあちゃんの作った桜茶を飲んで春を感じる。しかしおばあちゃんはなくなってしまい最後の桜茶だったのにこぼしてしまった。
水谷君に相談し、桜茶を作ろうということになり、桜が咲いているところを教えてもらい、おばあちゃんに教えてもらった作り方で桜茶を作った。
水谷君が猫を拾い、その猫をおじいちゃんが欲しいかもということで水谷君と猫に家に来てもらうと、おじいちゃんが例の桜茶を出した。桜茶を飲み、猫を抱き上げるとおじいちゃんは苦しみだした。
最初の話はわりとほっこりめで幕を閉じるんですが、そのうちに重いものになっていく。芦沢央さんっぽい感じですね。
とても淡々と語られる本ですが、読みごたえもあって面白かったです。