【何よりも絵が怖い】まどのそと
著者 佐野史郎
【内容】
怪談えほん〈第3期〉、ついに刊行スタート!
怖いけど見たい、見たいけど怖い
佐野史郎とハダタカヒトが描くたえがたい恐怖。
かたかたかた…かたかたかた…ずっとなりやまない音。ねむりたいけどねむれない。
何度もよんだけど、ママもパパも来やしない。現実なのか夢なのか、なりやまない音。
佐野史郎とハダタカヒトが描くたえがたい恐怖。
【感想】
★★★★★
著者を見てびっくり、え、あの佐野史郎さん?
佐野史郎さん、絵本も書かれるんですね。
今そのことに気付いたくらいなのでなんの先入観もなしに読みましたが語感もとてもよく、これは俳優さんだからなのかもしれませんが、なのに怖い。
そして絵がものすごく怖い。
子どもって怖いお話大好きですが、これ大人も怖いです。
最後怖すぎて子供は一人で眠れなくなるかも!
【監視しているのは誰だ!】目撃
著者 西村健
【内容】
誰かが私を監視している――!?
静かな住宅街で殺人事件が起きた瞬間、検針員として敷地内に足を踏み入れた奈津実は何を見たのか?
離婚調停中の戸田奈津実は、電気メーターの検針員の仕事をしながら幼稚園に通う幼い娘を一人で育てている。担当している静かな住宅街でストーカー立てこもりに続いて殺人事件が起きてから、彼女は背後に誰かの視線を感じるように。
奈津実から相談を受けた一匹オオカミ刑事の穂積亮右は密かに罠を仕掛ける……。
【感想】
★★★★★
検針員さんの仕事について、なかなか光の当たる仕事ではないのでへえーこんなことがあるのかとか、なかなか面白かったです。
殺人事件の犯人や犯人の動機などに関しては割と初めの部分で明らかになってしまうし、その後の犯人が奈津実を監視している様子など、二つの視点から見た話はなかなか面白くも、この後どうなっていくのだろうというところから事件がいい感じに動き出し、そこからの展開はページをめくる手が止まらずあっという間に読んでしまいました。
とにかく、一筋縄ではいかない感じが面白かったです。
【今更ですがやっと読んだ】夫のちんぽが入らない
著者 こだま
【内容】
ドラマ化決定。話題沸騰!
“夫のちんぽが入らない"衝撃の実話――彼女の生きてきたその道が物語になる。
2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自 伝『夫のちんぽが入らない』だ。
同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人 は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。
交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落"の半生。“衝撃の実話"が大幅加筆修正のうえ、 完全版としてついに書籍化!
いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間 に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから 」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあること ですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひ っそりと生きていくことを選んだ。(本文より抜粋)
【感想】
★★★★☆
Netflixでもドラマが見れるのだけれど、全部見た友人が全く気持ちがわからなくて鬱々として面白くなかったという判断を下したので、私は機会があったので書籍で読むことにした。
夫のちんぽが入らない。衝撃的なタイトルだけれど、読んでみて私は号泣した。
わりと淡々と描かれているけれど、なかなか重い。
夫のちんぽだけ入らない。夫以外のは入る。夫の風俗問題。
自分の勤務先での悩み・・・。
自暴自棄になり夫以外の人と次々と・・・のくだりに関しては私は共感は持てなかったのだけれど、実際この人の立場だったらそうやってなってしまうのかもしれない。
ところどころで叫ぶ本音、辛さにめっちゃ共感して泣けた。
境遇や立場は違うが誰しも抱えている悩みがある。
私にだってある。
そしてどうにもならないことはほんとうにどうにもすることができない。
他人に「子供は産んだ方がいい」などと簡単に言われても、実際にその人の立場に立ったら本当にそんなことが言えるのだろうか。
「子供は産んだ方がいい」「きちんと働いたほうがいい」「結婚したほうがいい」
様々な事情があったりいろいろな理由でみんなが当たり前にできていることができない人もいる。
外見からわかりづらいが様々な疾患を抱えた人がいる。
最後のこだまさんの
子を産み、育てることはきっと素晴らしいことなのでしょう。経験した人たちが口を揃えてそう言うのだから、たぶんそうに違いません。でも、私は目の前の人がさんざん考え、悩み抜いた末に出した決断を、そう生きようとした決意を、それは違うよなんて軽々しく言いたくはないのです。人に見せていない部分の、育ちや背景全部ひっくるめて、その人の現在があるのだから。それがわかっただけでも、私は生きてきた意味があったと思うのです。
この意見は私も全く同じ意見です。
読んでよかったと思いました。
【死神×執事=イケメン】死神執事のカーテンコール
著者 栗原ちひろ
【内容】
役者くずれの猪目空我は、かつてスタイリッシュな探偵役で人気を博した美形男子。とくに探偵としての能力があるわけではないが、とある事情で俳優業を廃業した今、ほかにやれることもないので、見た目重視の雰囲気探偵事務所を開業することにした。そこで格安賃料で借りたのは、とある古い屋敷の一角。ちなみにこの屋敷の住人は謎めいた年若いお嬢様と、彼女のお世話をする美しい執事のみ。ここに怪しさ爆発の大家と店子が誕生した。
一方、お屋敷のお嬢様に仕える執事にも秘密があった。それは彼の正体が死神だということ。その特殊能力としては、まずはひとの寿命が見え、さらに幽霊の姿を見ることもでき、たとえば死にゆく人に願われた場合、三回だけ「カーテンコール」と呼ばれる延命に応じることができる。彼は仕事だけが生きがいの自称エリート死神なのだが、過去の仕事での唯一の汚点を払拭するため、執事姿で人間界に留まっているらしい。
三者三様、それぞれの利害が一致して、なし崩し的に空我と死神は心霊がらみの依頼を解決することになるのだが……。
エリート死神執事×スタイルのみのハリボテ探偵が贈る、人生最後の謎ときやりなおしファンタジー!
【感想】
★★★★☆
主な登場人物は死神執事、謎のおじさま、そしてイケメン筋肉馬鹿探偵、そしてお嬢さま。
この筋肉探偵、NHKの筋肉体操と是非コラボしていただきたい感じの方で、出てくる人たちのキャラがなかなか良かったです。
結局謎のおじさまの正体は?でしたが。
探偵ものとはいえこの筋肉探偵はそんな謎解きをするようなタイプでもなく、はっきり言って本当に筋肉馬鹿です。
どういう方に持ってくるのかなと読んでましたが、最終的に切ない恋の話でした。
面白かったです。
しかし「カーテンコール」の設定があまり生かされてなかったかなあと思います。
あと、内容紹介詳しすぎ・・・。もっと隠してもいいかな。お嬢さまの正体とか・・・。
【頭の中で長澤まさみを想像しながら読みました】ガンジス河でバタフライ
著者 たかのてるこ
【内容】
20歳にして、長年夢見ていたひとり旅に出たてるこ。極端な小心者だからこそ、五感をフルに稼働させて、現地の人とグッと仲良くなっていく。インドでは聖なる河ガンジスを夢中に泳ぎ、ぶつかってしまった人に謝ると、なんと流れゆく死体だった…。ハチャメチャな行動力とみずみずしい感性が大反響を呼んだ、爆笑紀行エッセイ第一弾。
【感想】
★★★☆☆
若い女性一人旅な割にハチャメチャすぎて読んでいて心配になるほどでした。
ガンジス河でバタフライ、案外あっさりしてました。ていうかよくそこで泳げるなー!若いからかな!!
知らないおじさんちに遊びに行ったりとか、私のこの年では無謀すぎるようなことをやってのけていて、若かったからだと思いますが、旅行者の方々はそんなに無茶しないでいただきたいです・・・・。
【時給1120百円の短期アルバイト】インシテミル
著者 米澤穂信
【内容】
車を買う金欲しさにアルバイト探しをしていた学生・結城がコンビニにあった求人情報誌で見つけたのは、時給11万2000円という破格の好条件の仕事。
それは、1週間「ある人文科学的実験の被験者」になるだけという、短期のアルバイトだった。インターネットや雑誌を見て、山間にある施設に集まったのは12人の男女。
彼らは、実験の内容を知り驚愕する。
それは、より多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった――。
地下の実験用施設「暗鬼館」に閉じ込められた12人。最初の殺人が起こり、疑心暗鬼に駆り立てられる参加者たち。互いに推理を戦わせ始める彼らを待ち受ける衝撃の運命とは!?
映画化も大ヒットした、60万部突破の大人気ミステリー。
【感想】
★★★☆☆
映画化もされたんですね。知りませんでした。
よくある感じの、高い時給につられてアルバイトにいったらクローズドサークルの殺し合い的な実験でしたという話。
タイトルの意味が気になったんで調べてみました。なるほど!
インシテミルの意味・由来
タイトルの『インシテミル』は「淫してみる」が由来となっている。つまり「淫する」=「淫してみる」=「インシテミル」ともじったものとなっている。「淫する」とはイヤラシイ行為を指す場合もあるが、「物事に熱中する、没頭する」という意味もある。本作では後者の意味で使われており、作者は”ミステリに淫してみる“という意味を含ませている。つまり『インシテミル』は”物語に没頭する(淫してみる)”という意味に解釈できる。
また英表記の『The Incite Mill』は直訳すると「扇動ミル」であり、「Incite」の正しい読みは「インサイト」であるためローマ字読みしたものとなっている。「Incite」は「扇動する、好奇心をかきたてる」、「Mill」は「製粉機、ひき臼(うす)」を意味する。
元々「インシテミル」は「淫してみる」をもじったものであるため、英表記の『The Incite Mill』は当て字にした可能性が高いが、英表記から解釈するならば11万2000円という時給に興味をそそられて実験に参加し、外界と遮断され24時間行動を監視される館で精神的にも肉体的にも製粉機のように徐々にすり潰されていくと捉えることもできる。そう考えると円形の建物がまるで被験者をすり潰す臼のようにも感じられる。
読みごたえはあったけれど、そこまでかなあ・・・・。
【にゅるりにゅるりぐじゅり】入らずの森
著者 宇佐美まこと
【内容】
粘つく執念、底の見えない恐怖―― ホラーの俊英が、ミステリ要素満載で贈るダーク・ファンタジー! 小説家・京極夏彦氏「 この昏い森はあなたの奥へと繋がっている。決して入ってはいけない。でも、あなたは必ず入ってしまう。宇佐美まことが紡ぎ出す暝い森からの手招きに、抗うことはできないだろう」 文芸評論家・千街晶之氏「日本という国ならではの怖さを描いた傑作」 文芸評論家・東雅夫氏「落武者から不良少女まで――宇佐美が書いたら滅法こわい!」 陰惨な歴史が残る四国山中の集落・尾峨に赴任した中学教師・金沢には、競技中の事故で陸上を諦めた疵があった。彼の教え子になった金髪の転校生・杏奈には、田舎を嫌う根深い鬱屈が。一方、疎外感に苛まれるIターン就農者・松岡は、そんな杏奈を苦々しく見ていた。 一見、無関係な三人。だが、彼らが平家の落人伝説も残る不入森で交錯した時、地の底で何かが蠢き始める……。
【感想】
★★★☆☆
ある集落で暮らす、金髪の転校生・杏奈、そして赴任してきたばかりの中学教師・金沢、今まで仕事でうまくいかなかったIターン就農者・松岡。
金沢は子供たちと謎の校歌3番について調べ、杏奈の家には謎の少女が現れる、そして松岡はほかの農家の人から辛く当たられている。
あまり関係なさそうな年齢もばらばらな人たちだけど、読み進めていくうちにホラー展開に。
にゅるりにゅるりぐじゅりと襲ってくる粘菌の正体はわからなかったけれど、まあまあ面白く読めました。