【5つの短編をめぐるミステリー】追想五断章
著者 米澤穂信
【内容】
大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
【感想】
★★★★☆
古書店で働く主人公に「自分の父親が書いた5つの短編小説を探してほしい」とある女性から頼まれ、探していくうちに「アントワープの銃声」という事件に行き当たり、真相を探っていくという物語。
5つの短編はいずれもリドルストーリーと呼ばれる結末のない作品で、女性はその結末を文箱に発見し、探すことに決めたという。
5つの短編自体も楽しめるし、最後なるほど!と思うくらいうまく物語がすすんでとても楽しめました。
【イケメンだから許される毒舌】おいしいベランダ。シリーズ
著者 竹岡葉月
【内容】
進学を機に一人暮らしを始めた大学生の栗坂まもりは、お隣住まいのスーツの似合うイケメンデザイナー亜潟葉二に憧れていた。ある時ひょんな事からまもりは葉二に危機を救ってもらうのだが、それは憧れとはほど遠い、彼の真の姿を知る始まりで…!?普段着は黒縁眼鏡にジャージ。ベランダは鉢植えとプランターにあふれ、あげくに草をむしって食いながら「会社辞めてきた」って大丈夫このヒト!?ベランダ菜園男子&野菜クッキングで繋がる、園芸ライフラブストーリー、スタート!
【感想】
★★★★☆
イケメンのお隣さんの正体は、ベランダ栽培の万年ジャージ男。
いやーこれイケメンだから許されるんだろうなあと思われる毒舌。ドSイケメン好きならハマること間違いないシリーズ。
ベランダ園芸もなんか楽しそう。食べられるものを栽培して食べる。
そしてご飯もおいしそう。イケメン×おいしいものなんてずるい。
私は主にハーブ類しか栽培してなかったけど、畑を作ってもうちょっと栽培したいなと思わせる作品でした。
なんだかんだ7巻まで読んでしまいましたが(まだ続いてます)、ハマる。
少女漫画好きなら絶対ハマる。なんでもかんでもイケメンな風潮はちょっと微妙だけど、なんだかんだイケメンは強い。きゅんきゅんします。
コミカライズもしてるんですね。
【戦争×カトリック×恋+アウシュビッツ】女の一生 二部・サチ子の場合
著者 遠藤周作
【内容】
島原の乱直後、過酷なキリシタン弾圧の時代を舞台とした『沈黙』。
その200年後、300年後を描いた精神的続編にあたる『女の一生』、その第二部。
第二次世界大戦下の長崎で、互いに好意を抱きあうサチ子と修平。しかし、戦争の荒波は二人の愛を無残にも引き裂いていく。修平は聖書の教えと武器をとって人を殺さなくてはならないことへの矛盾に苦しみつつ、特攻隊員として出撃する。そして、サチ子の住む長崎は原爆にみまわれる。
激動の時代に、信仰をまもり、本当の恋をし、本当の人生を生きた女の一生を鮮やかに描き出す。
【感想】
★★★★★
この作品のテーマは
・戦争についてキリスト教の神様は一体どう思っているのか
です。
戦争の本は読んだことあるけれどあまりカトリックを交えてないものばかりしか読んだことはなかったので、いろいろと考えさせました。
この本の主人公はサチ子。幼なじみの修平のことが好き。
修平はある意味、普通の男の子という感じですが、幼いころからカトリックとして育ったため、戦争にたいして疑問を持つ。カトリックでは「人を殺してはいけない」と教えているのに徴兵された自分はいったいどうすればいいのか。そこで彼なりに出した結論はとても涙を誘いました。
そしてちょいちょい出てくるアウシュビッツの風景。
長崎にいたコルベ神父という人がポーランドへ帰国後、アウシュビッツに収容されるのですが、もうこの部分読んでいるのが本当に辛い。辛くて辛くて仕方がない。
何度読むのをやめようと思ったか。
『沈黙』を読んでから興味を持って買ったこちらの作品でしたが、読んでよかったなあと思いました。自分でもいろいろと考えて友達と宗教について話したりしました。(日本人のね)ここはカトリックの国で、義母は割と熱心なカトリック信者なのですが、どんな風に思うかな。
第一部のキクの場合も一緒に読んでほしい作品です。
読んでいて辛い作品ですが、とてもいい作品です。
【村田沙耶香ワールドにハマる】変半身(かわりみ)
著者 村田沙耶香
【内容】
村田沙耶香による待望の書き下ろし中編!
太平洋に浮かぶ人口2000人ほどの離島・千久世島。
造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つ島では「海のもん」と「山のもん」が時折いがみあいながらも共存してきた歴史があった。
島では年に一度、秘祭「モドリ」が行われる。
14歳になり、初めて「モドリ」に参加させられることになる私と親友の花蓮は、その年の生贄が同級生の高城くんになることを知る。
因習に満ち閉塞した島を脱出しようとするが――。
歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく。
村田沙耶香初の試みとなる、演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、人間が変わり世界が変わりゆく悪夢的現実を圧倒的イマジネーションで紡ぐ。
【感想】
★★★★★
なかなか衝撃的な作品でした。
もう最初からすごい引き込まれる。
なにやら昔からの因習の残る島で暮らす主人公。
14歳になると「モドリ」という秘祭に参加させられる。好きな高城くんが「モドリ」で、「モドリ」はみんなにリンチされて、その後祭りの参加者はまぐわうというなんとも奇妙な祭り。しかしそこから逃げた主人公と高城くん(この時はもう瀕死状態だったから祭りの正体は聞いていない)と友達の花蓮は、秘祭に関する衝撃的な事実を聞いてしまう。
もうこの時点で「えーなんだそれ!」って状態なんですが、その後、また主人公は東京で結婚し、謎の夫婦生活を送っている。もうなんだかこの生活もおかしい。
それでひょんなことから島に戻ることになるが、島はとんでもない状態になっていた。もうカオス。読んでて頭はおかしくなるし失笑するし大忙し。
村田沙耶香ワールド炸裂です。
もう一つの「満潮」も面白かった。
「夢精」をする主人公と「潮を吹きたがる」夫の物語。しかもこの二人セックスレス。もうなんだかほんとうにすごかった。
村田沙耶香ワールド、ハマってしまいそう。
【リカは感染する】リメンバー
著者 五十嵐貴久
【内容】
バラバラ死体をビニール袋に詰めて川に捨てていた女が、都内で現行犯逮捕された。フリーの記者で、二十年前の「雨宮リカ事件」を調べていたという。模倣犯か、それともリカの心理が感染した!? 精神鑑定を担当した立原教授の周りでは異常かつ凄惨な殺人が続発する。 現場付近で目撃された長い黒髪の女は何者なのか<? br> リカの闇が渦巻く、戦慄の第五弾!
【感想】
★★★★★
リカは感染する・・・。
リカのその後に関しては謎のままですが、4件の「リカの犯行と酷似した殺人事件、そしてリカの言動に似た犯人」が現れる。
そしてこの物語の主人公「あーや」でもリカの犯行のような連続殺人が次々と起こる。
同じチームにいる結花子を執拗なまでに口説いていた日比野、そしてあーやの恋人岸辺、そして事件を調べていた刑事まで・・・。そして現場にはリカと思わしき女性が。
なによりリカシリーズだけあって殺し方がえぐい。
逮捕されていた女の取り調べでもリカとしか思えないような謎の言動が。
果たしてリカは感染するのか、それとも銃で12発も撃たれて消えたリカの犯行なのか・・・。
リカだから、あり得ないことも起こりうる。
相変わらずぞくぞくして面白かったです。
【ウォーリーを探すより100倍難しい】回文さがし
著者 手賀沼ジュン
【内容】
こんな大人の絵本、見たことない!登場回文400以上!限りなく知的なのに、驚くほどおバカでシュールなサカサ言葉ワールド。さあ、みんなも一緒に回文さがしの旅に「行こう!来い!(回文)」回文レーダーを「世界でいかせ!(回文)」
【感想】
★★★★☆
小学生以降向きの、難解回文探し!
対象年齢は9歳から120歳まで!
まさかこんなに複雑な回文を探さなければいけないとは!
「ギャルを香るヤギ」とか、「ハゲ頭にまたアゲハ」とかからまさかの有名人まで!
果たして国木田独歩なんて誰がこの回文に出てくると予想するだろうか。
そして国木田独歩を知っている子供がどれだけいるだろうか。
予想の斜め上を行く回文さがしの絵本でした。
はっきりいってウォーリーを探すより100倍難しい!
【いつでもお父さんはかっこいい】6600万年前……ぼくは恐竜だったのかもしれない
著者 くすのきしげのり
【内容】
「とうさん、ぼく おおきくなったら、とうさんみたいに なりたい」 ドラコレックスの家族を通して描く「恐竜の絶滅」と「親子の愛」の物語。
恐竜が大好きな子どもたちが一番知りたい「絶滅」をテーマに親子の愛を伝える珠玉の絵本。 文は『おこだでませんように』(小学館)などの作品で知られる児童文学作家・くすのきしげのり先生、 絵は現代版水墨画と呼ばれる筆で恐竜を描く新進気鋭の画家・CANさんが手掛けます。 作品には、ドラコレックスやパキケファロサウルス、ティラノサウルスにケツァルコアトルスなど、 たくさんの恐竜が登場! ハラハラしたり、ドキッとしたり……。 巻頭・巻末には、恐竜をよく知らないお父さん、お母さんも一緒に楽しむことができる「恐竜探し」や、 遊んで学べる全国おでかけ「恐竜博物館情報」も掲載♪ 子どもと一緒に読み終えたあと、きっと恐竜展を見にいきたい気持ちになる一冊です。
【感想】
★★★★★
6600万年前からおとうさんはかっこいい!
肉食恐竜から妻と子供を守っておなかいっぱい食べさせてあげようとするお父さん恐竜。
隕石から妻と子供を守るお父さん恐竜。
そして現在、妻と子供をいろんなものから守ってくれるお父さん!
進化はしたもののお父さんの姿は変わらない。
ぜひお父さんに読み聞かせしてほしい絵本でした。
イラストは絵本というかマンガに近い感じかなあと思いました。
時々あるほぼ白黒のイラストがとても効果を発揮していてメリハリがついていました。
筆で書いたような感じの絵も味があっていい。