帰ってきたK2 池袋署刑事課 神崎・黒木
著者 横関 大
【内容】
連続ドラマ化された『K2 池袋署刑事課 神崎・黒木』シリーズ最新作!
真面目な神崎、破天荒な黒木。
真逆な2人の最強のバディが帰ってきた!
池袋のアパートでシングルマザーの死体が発見された。
真っ先に現場に駆けつけた神崎と黒木は、残された幼い娘を前に犯人検挙を誓う。
ところが翌日、2人は突然、捜査本部から外されてしまいーー。
西武と東武の百貨店、サンシャインシティに大型家電量販店、そしてオタクの聖地、乙女ロード。
「池袋」だからこそ、起こる事件がある。
「池袋の治安を守るのが俺たちの仕事だ。困っている人がいたら見過ごすわけにはいかないだろ」
この街は、俺たちを眠らせない。
【感想】
★★★★★
なんともテンポの良い作品。
真面目で丁寧な神崎と、ちょっとワル系な黒木のコンビもとてもいい。ドラマ化するらしくてとても楽しみな作品です。
最初のストーカー事件から殺人事件に発展し、池袋ではどんどんいろいろな事件が起きるのですが、そのどれもいい感じにクリアしていって痛快でした。
横関さんの作品はルパンシリーズとスマイルメーカーしか読んでいませんが、これからも是非いろんな作品を読んでみたいと思います。どの作品もテンポがよくサクサクと読めます。
シリーズものですがこの巻から読んでも十分楽しめました。是非前作も読んでみたいです。
【女性初の潜水士の熱く苦しい物語】海蝶
著者 吉川英梨
【内容】
日本初の女性海保潜水士、勇気と感動の物語。
これは身震いするほどの一冊だ。
前代未聞の感動がここにある!
―ブックジャーナリスト内田剛氏【NPO本屋大賞実行委員会理事】
女性初の潜水士『海蝶』として注目を集める横浜海上保安部所属、忍海愛。兄の仁は特殊救難隊潜水士、父の正義も優秀な海保潜水士で血統は折り紙付きだ。しかし、愛は現場には気を使わせるお荷物。母を東日本大震災の津波で失った愛は覚悟して海に対峙する。待ち受けていたのは予想もできない難事件だった。
足かけ2年に渡る海上保安庁取材で見聞きした海上保安官の精神『正義仁愛』が、この本のテーマであり、矜持≪プライド≫です。ご期待ください。―吉川英梨
【感想】
★★★★★
数年前「海猿」が大ヒットした。
この物語の主人公は女性初の潜水士、海猿ではなく海蝶の愛。
父も兄も同じ海保潜水士だけれど、現在は家族ばらばらになっている状態。
その理由は2011年の東日本大震災。その時に母が行方不明になったことから父と兄の関係が悪くなっていた。そして、愛が潜水士になったことについては二人とも反対している。愛も頑張るけれど最初の潜水で大失敗を起こしてしまう。
東日本大震災の描写はその当時の映像を思い出しながら、きっとこんな人もいたんだろうなと静かに涙を流しながら読んだ。終始胸の詰まるような思いをしながら読んだ。
クライマックス、家族が一つになった時、大号泣。とても感動しました。
ミステリーとしても面白かったです。
今年読んだ中でもかなりのヒットだった作品です。めっちゃおすすめ。
【前世の殺人犯を探すホラーミステリー】 我々は、みな孤独である
著者 貴志祐介
【内容】
我々は、みな孤独である
私を殺したのは、誰ですか
この宇宙にうずまく恐るべき秘密
鬼才がいま描く、死生観とは⁈
誰もが抱える人生の孤独
死よりも恐ろしいものは何ですか
探偵・茶畑徹朗の元にもたらされた、「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という不可思議な依頼。前世など存在しないと考える茶畑と助手の毬子だったが、調査を進めるにつれ、次第に自分たちの前世が鮮明な記憶として蘇るようになる。果たして犯人の正体を暴くことはできるのか?
【感想】
★★★★★
「私を殺した犯人を見つけてほしい。」という依頼から始まるこの小説。ナニコレ死後の世界の話なのかなと思ったら「前世」の。なかなか難しい依頼。でもつかみとしてとても面白い。
借金もある探偵事務所で絡んでくる輩がみんなとにかく怖い。もうそれだけでホラー。
暴力的なシーンも目をそむけたくなってしまうほど残酷。
貴志祐介だしどんな展開になるのか怖くもワクワクしながら読んだ。
結果、やはり怖かった。
だんだん自分の前世を思い出してくる登場人物。そして調べていくうちに生じてくる矛盾。怪しげな占い師。
最後の結末はとても貴志祐介らしい結末だと私は思った。
【隣人は地球人?宇宙人?】隣人x
著者 パリュスあや子
【内容】
第14回小説現代長編新人賞受賞作!
派遣社員の紗央、アルバイトを掛け持ちする良子、ベトナム人留学生のリエン。彼女たちは皆、“人と違う自分”を出せずに居心地の悪さを抱えていた。そんな折、地球外生命体の労働力が期待され、惑星難民を受け入れる法案が可決。奇妙な糸で結ばれた三人が、それぞれ選んだ道とは――
【感想】
★★★☆☆
惑星難民と書かれていたのでSFチックな話かと思っていたら割と地に足のついた作品でした。
コンビニで働く良子、派遣として名の知れた会社で働く紗央、そしてベトナム人留学生のリエン目線から見る日常の話。しかしところどころに惑星難民のニュースが流れ、日常の中に少しだけ非日常が落とされていく。
割と淡々とした文章でとても大きな波がくるわけでもないけれど、惑星難民のおかげで少しだけ日常生活が新鮮に思えるようなそんな感じの作品でした。
日本人と外国人、正社員と派遣など、ステータスによってつくられている壁について書かれているのがリアルで考えさせられました。宇宙人がここに入ったら地球人vs宇宙人の壁になるのかな。
【暗い気分を吹き飛ばす】#誰か『いいね!』を押してくれ
著者 星奏なつめ
【内容】
左遷部署に所属し、サエない毎日を送っているアラサーOLの小芋菜々美。現実がパッとしないならせめてインスタ界でちやほやされたい! と思い、インスタグラマーを目指すことに。でも、ドS上司の冬真義宗からは「ダサダサ芋子には無理だろ」と一蹴されてしまう。
通勤服でも壊滅的なセンスを誇る菜々美を辛辣に斬り捨てる冬真だったが、実は彼こそが、菜々美が憧れるフォロワー10万人目前の神インスタグラマー「空透」の中の人で――!?
【感想】
★★★★☆
最近暗いニュースが続いていたので明るい気持ちになれそうな本をチョイスしてみました。文章が割とハイテンションで、暗い気分は一蹴されますがちょっとギャップがすごすぎて疲れるかも(笑)暗い気分じゃないときに読んだ方がよかったかもしれません。
テーマはインスタグラム。
インスタ映えを狙うセンス壊滅的女子と会社では冬将軍とまで言われているクール上司の実は有名インスタグラマー「空透」の中の人の話で、とりあえず菜々美のセンスが壊滅的なのが面白いし、しかも「最終的に企業からモノをもらってPRしたい」を狙っていてその下心がかわいらしい。センス壊滅的なのが文章からでもよくわかる。それでもポジティブな菜々美がかわいい。
冬真はとりあえずインスタやりすぎ(笑)ハッシュタグが寒すぎて戦慄する(笑)でも正直インスタグラマーの特徴をとらえていて風刺として面白い。センス壊滅的なハイセンスガールを叔父さんだと思い込み、そのインスタにほっこりする自分に「もしかしておじさんにときめいてしまうのか」と嘱託のおじさんの手を借りるシーンは爆笑しました。
この本の中のMVPはやはり太陽寺。この人いい人すぎる。冬真のインスタ映えの為に「彼女役」をやってあげて、きっつい指輪も頑張ってはめてくれるし夕方まで海でジャンプ頑張ってくれて、冬真の生誕祭には仕事で行けなくて申し訳ないって、ほんと彼女か!めっちゃいい人すぎる。
そして菜々美の後輩暗ちゃんも面白い。好き。
星奏なつめさんはキャラ設定が上手だなあと思います。キャラだけで想像したらこの会社楽しすぎる。私もこの会社の違う部署からこっそり眺めたい。(やはり同じ部署はハードルが高い)
最後はこれからシリーズとして続くのかなあともとれる締めでした。空透とハイセンスガールのラブコメ、読みたいようなこれで終わってもいいような。
とにかく暗い気分は吹っ飛びました。
【容姿に悩む女性へとっておきの御呪い】うるはしみにくし あなたのともだち
著者 澤村伊智
【内容】
エンタメ界注目の気鋭が描く学園ホラーミステリー!
四ツ角高校に伝わる「ユアフレンド」のおまじない。
そのノートを受け取った者は、クラスの生徒の見た目を醜く(あるいは美しく)することができる。
三年二組の一番の美女で、「一番上の」グループに属する羽村更沙が自殺した。葬儀では両親が頑なに顔を見せることを拒んだ。噂では顔を老婆のように皺くちゃにされたらしい。
その後、三年二組では、女子だけが周囲の目のある場でつぎつぎに顔を醜く、傷つけられていく。
担任の舞香は「ユアフレンド」の存在を知り、誰かがおまじないを継承したと考えざるを得なくなる。同僚やクラスのメンバーと一緒に犯人を捜しはじめるが……。
犯人に踊らされる者、被害者を面白がる者、おびえる者。おまじないの力を持った者は誰なのか、その真意は――!?
結末の予想は、二度三度裏切られる!
【感想】
★★★★★
怖かったです。そして面白かったです。
『ぼぎわんが、来る』も話題になった作家さんなので、是非それも買って読んでみたいと思いました。
美人な女生徒が次々に醜くなってしまうという呪い。
しかも醜くなる様がすごく酷い。怖いもの見たさというか、容姿についてあれこれ第三者が言うのは失礼だけれど、ちょっと見てみたいという思いもある。悪気はないんだけれど。そのへんをうまくついた作品でした。
十代で、しかもスクールカーストがあって、容姿というものはとても女子には影響する。
高校生なんて、容姿に気を遣い始めた年代で、容姿が今イチな人は開き直ってあっけらかんとする希美(おデブ)のように過ごすか、なるべく目立たないように過ごすかで、なかなかスクールカーストの上位には立てない。
綺麗な人は醜く、醜い人は綺麗になれるというおまじないの本が来たら、私はどうするだろうか。ちなみに自分には効かない。
呪いの様もとても面白かったです。そのユアフレンドという雑誌がどこから来たのかについては謎だけれど、呪いについては割と現実的で、とてもよかった。
そしてだれが呪いをかけているか、ミステリーとして読んでもとても面白かったです。しっかり騙されました。桂と同じ推理をしてました。
【夫だけでなくいろんな人に有効】 夫を変える!魔法の言い方
著者 佐藤律子
【内容】
「夫婦の会話が少ない…」「夫とすれ違いがち…」妻たちの悩みを救済する、夫婦円満のための会話術。
【感想】
★★★★☆
結婚して10年目を超えましたが、この本を読んで思ったことは「うちの夫、人間ができている」。
ご飯を食べたら「美味しかった。ありがとう。」と言ってくれたり、現在食洗器がないので率先して食器を洗ってくれたり、いつも感謝の気持ちを伝えてくれたり、お願い事も嫌な顔することなく聞いてくれる。ほんの小さな会話でもきちんと覚えててくれる(私はわりと流す)ほんとできた夫だ。
なので、私も自然にこの伝え方ができている気がする。
もちろんそうでないこともあるので、もうちょっと頑張ろうと思うけれど。
この本での伝え方、というか言い方はわりと子供にも、同僚にも、友達にも使えると思う。お互いに気持ちよくコミュニケーションするためにはこういう心構えで行かないとなと思う。