【ばななの異世界】吹上奇譚
著者 吉本ばなな
【内容】
かつて異世界に通じていた吹上という町に住む二卵性双子姉妹ミミとこだち。父親は事故で死亡、母親は何年も病院で寝たきり。姉妹は母親の親族とされるアイスクリーム屋さんをしているコダマさんと雅美さんの家に養女として暮らしていたが、18歳の時に母を病院に残し、東京へ。
しかしある日、吹上に一人で帰った妹が行方不明、虹の家に住む双子の老婆と少女の占い師に聞いたところ「妹は、寝たきりになっている母を起こしに異世界へ行っている」とのこと。実はミミとこだちは異世界人とのハーフで、こだちは怪力、ミミには夢見と屍人使いの才能があるのだという。
ミミは事故の後自分たちを育ててくれたアイスクリーム屋のコダマさんの家に住みながら、こだちの消息を探る中で、墓守くんと勇(獣人)に出会う。
【感想】
★★★★☆
吉本ばななさんのファンタジー。
こんな急に異世界出てきたけど、ばななさんの文体はあくまで優しく、穏やかで淡々としているので、実はファンタジーは苦手な私でもすらすらと読めました。
とにかく登場人物がなかなか曲者。毛むくじゃらの獣人とか、墓守とか。
主人公も、占い師に墓守とモルダーとスカリーのような関係になると言われ、墓守に家族になろうと言い出すも、墓守はひきこもりの彼女がいて別れられないしというと、ミミは「それでも全然オッケー。逆に会ってみたい。」という感じの人。絶対私はこのミミとは友達になれない・・・とか思いながら読み進めた。
文中に急に
もしもっと詳しく知りたくなったら森博嗣先生にコンタクトを取ります。
と出てきてびっくりした。森博嗣先生と交流があるのかな。
最終的に妹はあんなところから急に現れてお母さんを小脇に抱えてたけど、お母さんあんな姿になっていた・・・。これにはちょっと笑ってしまった。
でも、コダマさんのアイスクリーム屋さんは素敵で、お金がない子供たち(大人でも)には独自の通貨を用意していて、いいことしたらアイスクリームが食べられる。みたいな。行ってみたいなーと思いました。
そして獣人の勇の庭。描写が素敵で私もその庭に入ってみたい!と思いました。
また続きが出たら読みたいと思います。