【読むのが辛い】路上のX
著者 桐野夏生
【内容】
こんなに叫んでも、
私たちの声は届かないの?
幸せな日常を断ち切られた女子高生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも三人の少女はしなやかに酷薄な大人たちの世界を踏み越えていく。
【感想】
★★★★★
読んでいるのが辛くなる、目を覆いたくなる小説でした。
ある女子高生が、両親が夜逃げしたことをきっかけに、弟と離れ離れに親戚のところで預かられることになり、しかしその親戚との折り合いが悪く、逃げ出したところから転落人生が始まっていくストーリー。
両親から捨てられ
叔父の家ではないがしろにされ
バイト先ではレイプされ
逃げたところでJKを食い物にする人たちにつかまり、逃げるも
逃げる場所がない
行き場のない女子高生3人が居場所を求めてさまよう。
目を覆いたくなるようなストーリーですが、現実にもきっとあるのだろう。
自分が何かできるわけではないが、何もできないことに不甲斐なく思う。
親になるのに免許はいらない。
望んでも親になれない素晴らしい人たちはたくさんいるのに
日々虐待やネグレクトなどのニュースを目にする。
里親制度にしろ養子縁組にしろ、日本はなかなか難しいと聞く。
近所の人なども、昔は「地域で子育て」という感じだったけれど、
今はもう、よそはよそ。うちはうち。切り離されている。
もっとこういう子供たちを救う手立てがあればいいと思う。
こういう子どもたちが大人になり、
一体どんな風な大人、親になるのか。
教育も満足に受けられず、親からの愛情ももらえてこなかった子供たち。
この小説の中でミトが「リインカーネーション」という言葉を使い、
「簡単に親になれるが、同じことを繰り返す気がする」と言っていた。
リインカーネーションとはそういう意味ではないけれど、とても刺さる言葉だった。
深く、深く考えさせられる物語だった。