【人生の教訓は十二国記で学べる】月の影 影の海
著者 小野不由美
【内容】
「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。
【感想】
★★★★★
十二国記の世界第一巻!
ここでやっと十二国記の世界が見えてきます。
優等生だった女子高生陽子のもとに急に金髪のケイキと名乗る男が現れ異世界に連れていかれた。
十二国記はもともと講談社ホワイトハート文庫から出ていた作品でライトノベルレーベル作品だったんですね。なのでこのお話もザ・ライトノベル的な感じで始まります。よく言う異世界召喚的なやつですね。
でも、申し訳ないですがよくある異世界召喚ラノベと違い(あまり読みませんがだいたい主人公がチート並みに強くて結構事がうまく進んだり美女といちゃいちゃできたりするんでしょ←偏見)もうなんか世界観からして全然違います。子供はなんか木の実から生まれたりするし。
主人公陽子は異世界に飛ばされながら景麒(ケイキ)とも離れ離れになりますが蝕を起こした「海客」としてとらわれたり死にそうな目にあいながら裏切られながらも必死で生きていきます。「騙されるんだしもう信じない!」とくさっていきます。
そこで出てくるヒーロー「楽俊」。いっちゃえばネズミ男なんですがもうネズミ姿なんて気にならない、めっちゃイケメンなんですよ。心が!
彼は「半獣」と呼ばれる種族で、彼の国「巧国」では差別の対象。勉強したくても学校に入れてもらえないし仕事もできない。頭が良いのですが生かすことができない。
半死状態の陽子を救って彼女を「雁国」まで案内してくれるんですがほんとうに楽俊の考え方は、全世界の人たちが目にすべきだと思う。もうなんか人生の教訓本なんていらない、十二国記さえあれば!っていう感じです。
神様の考え方も面白かったです。
当たり前のことを頑張るだけで願いはかなうのだから神様にお願いなんかする必要もない。
日々神頼みで「こうなったらいいな!」とか言ってばかりいるだらけた精神を鍛え直したいです!
楽俊のおかげで無事陽子の身柄もはっきりし、そこからは怒涛の展開で景王となる陽子ですが、ボリュームもちょうどよくてサクサク読むことができました。というか、ゆっくりじっくり読みたいけどページが勝手にどんどんめくられて行ってしまう。
エピソード0の魔性の子、エピソード1の月の影 影の海、どちらから読んでもハマれると思いました。
私は新潮文庫が大好きで(なぜならスピンがあるから!)毎回ダ・ヴィンチのアンケートにも好きな出版社は新潮文庫と書くくらいですが、十二国記も新潮社からの完全版を購入しました。新潮社様、ありがとうございます。是非これからもスピンをつけ続けてください!
可愛いしおりもたくさんありますが、やっぱスピンがあるといい!