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ぶくぶくブックレビュー

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【家族とは】月の光の届く距離

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著者 宇佐美まこと

【内容】

17歳の美優は、望まない妊娠をしてしまう。堕胎するには遅すぎると、福祉の手によってあるペンションに預けられ、出産後は特別養子縁組を待つことになる。ペンションの経営者は中年の男女で、高齢の母親の世話もしている。そして自らが里親となり、3人の子供たちを育てている。その里子たちはそれぞれが難しい背景を持っていたが、どの子も慈しんで育てられていた。その子らの世話と認知症の母親の面倒を手伝っているうちに、美優の心にも変化が生まれていく----。


  『展望塔のラプンツェル』で山本周五郎賞候補となり、『ボニン浄土』で大藪春彦賞候補、 最新刊の『羊は安らかに草を食み』は、読書メーター読みたい本ランキングで1位となり、版を重ねている。今、ノリに乗っている著者の今作は、『展望塔のラプンツエル』で、児童虐待のシンポジウムなどに参加し、福祉や里親団体、児童養護施設の関係者たちとかかわることで生まれた、家族の在り方に迫る物語。

 

【感想】

★★★★☆

「子供に親にしてもらう」いい言葉だと思います。

 

自殺しようとした思わぬ妊娠をした17歳の美優が知り合った、養子や里子を育てる「ゲストハウス」をやっている兄妹。

まるで赤毛のアンのような「グリーンゲイブルズ」。

 

家族とは何か、養子や里子について考えられさせられます。 グリーンゲイブルズのマシュー「明良」とマリラ「華南子」の関係はとても切なかったですが、でもこの二人の家族の形も、とても素敵なものだと思いました。

 

美優が下した決断も、尊重されるべきものだと思います。

 

最近こういう「家族の在り方を考える」系の本、多いですね。

赤毛のアンプリンスエドワード島に私も行ったことがあるので、懐かしいと漢字ながら読む場面もありました。