【汚名を雪ぐ】雪ぐ人 えん罪弁護士 今村 核
著者 佐々木健一
【内容】
大きな感動を呼んだドキュメンタリー番組、NHKブレイブ 勇敢なる者「えん罪弁護士」の書籍化。
大きな身体に、白髪交じりのボサボサ頭。ドラマなどで観る敏腕弁護士とはかけ離れた風貌をしたその男は、「罪を負わされた被告人のえん罪」と「自身の中に積った心のおり」の両者を雪ぐ(=けがれを清め、汚名を晴らすこと)ために、有罪率99.9%の壁に立ち向かう。
【感想】
★★★★★
刑事裁判の有罪率99.9%、これは某ドラマでも有名になりました。
その数字に挑み、今までで14件も無罪を勝ち取ってきた弁護士、今村核さん。
無罪14件という数字は、すごい。
しかもほとんどの弁護は、お金がない人などの国選弁護人としてやってきている。なので報酬もあまりなければ、調査などでかかるお金もカンパなどを頼りにやっている。
今村弁護士は父親がエリートの家族に生まれ、期待を背負わされて育てられた。父親の生き方、方針と合わず悩むこともあり、結局このような形の弁護士になった。父親としては、弁護士になったこと自体は誇らしかったが、こういった地味な弁護で、あまり報酬もよくない仕事ばかりやっている彼には不満だった。
しかし、こういった弁護士さんこそ私たちが必要としている弁護士さんなのだ。
そそ・ぐ 【雪▽ぐ・濯▽ぐ】
本当に、「雪ぐ人」。このタイトルはぴったりだと思いました。
痴漢冤罪など、最近よく聞きます。でも冤罪で警察に連れていかれ連日の取り調べで疲れてしまい、やってもいない罪を認めてしまう人も多いと聞きます。
後半部分で痴漢冤罪裁判についての描写がありました。
今村弁護士は基本的に「きちんと科学的に無実を証明する」人なので、その件についてもきちんと証明しました。しかし裁判ではまさかの罰金刑。
結局控訴して無罪を勝ち取りましたが、こういった裁判も起こりうるというのを見てしまうと、司法が信じられなくなってしまいます。
庶民のヒーロー、今村核弁護士。
こういう人がいるということを知れてよかったです。
読んでいて涙が出てくる本でした。
今村核さんの著書も読んでみたいです。