【人間の醜い本能や欲望にぐいぐいと引き込まれる】鯖
著者 赤松利市
【内容】
貧困に生きる人間の悍ましさを抉る問題作。
第一回大藪春彦新人賞受賞者、受賞第一作長篇!
厳冬。日本海に浮かぶ孤島に、雑賀の一本釣りを自称する漁師たちがいた。知性もなく、金もなく、粗暴な老漁師たちが持っているのは、団結力と一本釣りの腕のみ。日銭を稼ぎ、場末の居酒屋で一杯ひっかけ、銭湯へ入れれば、それで幸せだった。
しかしそれぞれの欲望は着実に、彼らの生を崩壊へと向かわせており。
【感想】
★★★☆☆
最初のほうは「おじさんくさいような、自分が好んで読む感じの文章ではないな。」と思っていました。しかしだんだん人間の醜い本能や欲望がむき出しに描かれてきて、ぐいぐいと引き込まれていきました。
登場人物がまず汚い感じなんですよね。映像化するには薄汚いような。
おじさんや醜い男、漁師という仕事、そしてタイトルの「鯖」。
普段なら手に取らないような感じの本です。
でも、ぐいぐい引き込まれていくんですよね。なんなんでしょう。
想像してしまいうわっと目をそむけたくなる場面もありましたが、面白かったです。