【ファンタジーでありながらリアリティのある十二国記の世界】丕緒の鳥
著者 小野不由美
【内容】
「絶望」から「希望」を信じた男がいた。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒(ひしょ)は、国の理想を表す任の重さに苦慮する。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか──表題作「丕緒の鳥」ほか、己の役割を全うすべく、走り煩悶する、名も無き男たちの清廉なる生き様を描く短編4編を収録。
【感想】
★★★★★
ここにきて短編集。
これは王の下で働く下っ端の人たちや市井の人たちを描いた作品。
この作品によってまた十二国記の世界に深みが生まれました。どんどん深みを増していく十二国記。この作品に出会えて本当に幸せです。
さて、短編集ですが、4編収録されています。
「死刑」をめぐる話。これはまた現代に通じる話であると思います。何とも言えないラストも、これはこれで読み手に「あなただったらどうする?」と考えさせてくるものだと思います。
陽子の前の王、予王により女全員国から出ていけと言われ家族を亡くし、友人も失くし、希望を失っていた少女がまた希望を取り戻していくお話。あらたな景王によって救われていってほしいと思った。