【2回驚く】アンドロイドの恋なんて、おとぎ話みたいってあなたは笑う?
著者 青谷真未
【内容】
あなたは、ただひとつの恋人だ った--。
佐藤真白は、義肢のリハビリ専 門病院で事務スタッフとして働 いている。外見が生身の女性と 寸分違わぬ精巧さで作られてい るため、周囲には気づかれてい ないが、実はある研究機関から 送り込まれたアンドロイドだ。 ある日、院内の庭で散らばった カードを集めている青年・響に 声をかけられる。響は事故で左 腕を失い、義肢のリハビリのた め病院へやってきていた。屈託 なく笑う快活な響とのふれあい の中で、真白の中で処理しきれ ない感覚が生まれ始めて……。
【感想】
★★★★★
先日読んだ「代体」にも似た感じのお話です。こちらを読んだなら「代体」もおすすめです。
主人公はアンドロイドの女の子、佐藤真白。病院で働く彼女はある日佐藤響という男の人に恋をする。
ぎこちないながらも響に気持ちを伝え、付き合うことになった。病院からは出られないので、シアタールームで映画「ロミオとジュリエット」を一緒に観るなどデートをしたり。
でもこういった気持ちはアンドロイドにとっては「エラー」。
アンドロイドは、恋をしない。
エラーに気付かれてメンテナンスに出されることになり、そこで思わぬ衝撃の事実が。 そして最後、響のとった行動に「ロミオ!!!」と思わずにはいられなかった。号泣必至。
衝撃の結末!なんてよく言いますが、二回も衝撃を受けるとは。
最後はとても暖かい気持ちで読み終えることができました。暖かな涙があふれてきます。
切ないけれどとても素敵なお話でした。
(P[あ]8-5)アンドロイドの恋なんて、おとぎ話みたいってあなたは笑う? (ポプラ文庫ピュアフル あ 8-5)
- 作者: 青谷真未
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2018/12/01
- メディア: 文庫
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【みよちゃんの抱える闇が深すぎる】DRY
著者 原田ひ香
【内容】
北沢藍のもとに、十年以上も会っていなかった母孝子が祖母ヤスを刺して留置場にいると、弁護士から連絡が来る。藍は職場の上司と不倫して、二人の子供を置いて、武蔵小杉のタワーマンションから追い出され、今は元住吉4万8千円のアパートにひとり暮らしている。昔から、男にだらしない母とお金にがめつい祖母はけんかが絶えず、藍は逃げるように家を出たのだが、年老いてうら寂しく暮らす二人に久しぶりに会い、食べるものにも困る今の自分の境遇もあり、金をかき集め保釈された母と、傷は浅くすぐに退院した祖母と女三人、袋小路にある実家で暮らすことになる。家は荒れていて、隣近所も空き家が多くひっそりとしている。隣に住む幼馴染の馬場美代子は、彼女の母親が家を出た後、祖母と父を介護の末見送り、40代となった今も祖父の介護が続いている。久しぶりに会う美代子と、親に振り回される者同士親しくなり、行き来をするようにな//る。介護に邁進する彼女は町一番の孝行娘とあがめられているが、祖父は確か百歳は超えているはずだ。介護しかしてこなかった美代子は、祖父が亡くなった後、どうやって暮らしていくのだろうか。実は、彼女の暮らす家にはのちに世間を騒がせることとなるおぞましい秘密が…。藍は思う。この世は修羅で女の生きる道はただ人の後始末をするしかないのだろうかと。
【感想】
★★★★★
読んでいくうちにどんどん物語に引き込まれていった。
男を作っては出ていく母親が、ある日祖母を包丁で刺したとのことで、主人公の藍は母親に頼まれて保釈金を用意する。彼女も不倫という理由で夫と離婚し、子供からも引き離されている、人生の底の方にいる感じの女性。
祖母の家の隣に住むみよちゃんという40歳の女性は、自宅で祖父を介護し生活していて、藍の祖母と母のケンカを仲裁したり、藍にもとても親切にしてくれているが、話が進むにつれだんだんとみよちゃんという女性の闇が見えてくる。予想だにしなかったみよちゃんの秘密。そしてその秘密を共有してしまうことになる藍。
ページをめくる手がやまず、最後まで一気読み。
「DRY」というタイトルがぴったりでした。みよちゃんの秘密についても、藍の感情についても。
とても面白かったです。
2019/1/23発売予定
【2日間で14冊】角川70時間「全ページ無料試し読みフェア」
読友さんのつぶやきにて知った今回のキャンペーン、はっきりいってすごく良かったです。
ブックウォーカーのサイトで、会員登録しなくてもブラウザでサクサク読めました。
7000冊もあり、読みたい本を探すのも大変。そして探していくうちに「あ!これこの前新刊で買ったやつ!」なんてのもあり、新しいものもかなり読めました。とっても贅沢なキャンペーンでした。
では、少しずつ読んだ本の紹介をしたいと思います。
①ラブコメ今昔
- 作者: 有川浩,徒花スクモ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: ペーパーバック
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読んでみたかった自衛隊シリーズの短編。いやーものすごくきゅんきゅんしました。
特に、私は「オタクな彼」がかっこよかったです。オタクなのを隠して付き合い始めるんですが、要所要所めっちゃかっこいいんですよね。ブルーインパルスの旦那を持つ奥さんの話もとても泣けました。そして上司の娘と内緒で付き合ってる人の話も。やっぱり根本に「日本を守る」っていうのがあって、それが一番で、ものすごくかっこいいなと思いました。
②塩の街
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/01/23
- メディア: 文庫
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「海の底」と「空の中」は昔読んだんですが、こちらも自衛隊三部作。ある日突然塩の塊が降ってきて、人が塩に代わってしまうという話。年の差カップルのラブストーリーです。こちらもきゅんとしました。
③きみのために青く光る
似鳥鶏さんの作品です。これは、「異能者」と呼ばれる、不安などが高じて「不思議な力」を持ってしまう人たちの短編集です。「動物に襲い掛かられる能力」「離れたところから生き物を殺すことができる能力」「年収がわかる能力」「心臓が止まる人がわかる能力」などなど。「年収が頭の上に出る能力」はちょっと面白いと思いながらも、そういうのって人と比べたりしてしまうし、やっぱりいやかなあなんて思いました。
④人間の顔は食べづらい
安全な食料を求めた結果、自分のクローンなら食べてもいいとされる世界。クローン工場で働く和志は、実は秘密裏に自分のクローンを自宅で飼っている。自分のクローンの肉を射食べるってどんな気分なんだろう。なかなか気持ち悪かった。が、ミステリー的な要素もあって面白く読めた。最後の道尾秀介の解説もよかった。
⑤夜見師
金髪の呪われた一族の息子が、ある屋敷に家政夫として雇われ、その雇い主と一緒に祟り神の入った箱をあけて祟り神を退治し、結果的に自分の呪いを解くことになる話。面白そうなのかなと前々から気になっていた作品で、この機会に読めたのはとてもありがたかった。こういったシリーズものは1巻を読んでから続けて買うか決めることが多いので。設定は面白かったかなとは思うけど、特に続けて買うことはないかなという作品でした。
⑥孤狼の血
ザ・ハードボイルドっていう感じですね。あまりハードボイルドは得意としないので最初はなかなか入り込めなかったのですが、最後結構来ました。映画化するらしいですね。ハードボイルド好きにはお勧めです。
⑦黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です
キャラクター小説も、普段あまり買うことがないので、この機会にたくさん読みました。なんといっても軽く読めるし。気分転換には最高。
このお話は川で捨て猫を拾った無職主人公が、「猫の恩返し」というべきか、人間に変身したイケメン猫と一緒に喫茶店で働くお話です。イケメン猫がたくさん。ちょっと面白かったです。猫好き、イケメン好きにはお勧め。
⑧最後の晩ごはん 師匠と弟子のオムライス
最後の晩御飯シリーズ、もうこんなに出てたんですね。幽霊が現れる「ばんめし屋」のお話です。途中から読んでいなかったのですが、この機会に続きを。夏神さんのルーツを知ることのできた巻でした。面白かったです。そろえるか迷う。
⑨謎の放課後 学校の七不思議
アンソロジーっていうんですかね。学校の七不思議をテーマにいろんな作家さんが書いたものを集めた本です。ダントツで辻村深月さんの花子さんが面白かったです。でも七尾与史さんのも面白かった。むしろ図書館の本がごっそり消えたほうが気になります。こういうのは新しく読んでみたい作家さんを見つけるのにいいですね。ショートショートも面白かったです。
⑩あいるさん、これは経費ですか? 東京芸能会計事務所
あいるさん、これは経費ですか? 東京芸能会計事務所 (角川文庫)
- 作者: 山田真哉
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/11/22
- メディア: 文庫
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モデル目指して上京したイケメン男子が、あこがれているアイドルを追いかけてたどり着いたのが芸能界専門の会計事務所で、そこで働くことになる話。所長のあいるさんも元アイドル。確定申告とか、いろいろとわかりやすくテンポもよく読めました。
⑪家政婦トミタ
怖い怖い。家政婦トミタの狂気がある一家を襲う。旦那が自殺し、旦那の家で暮らしていた富田が家政婦となって旦那の元雇い主の家で働く。結局なんで富田がこういうことをするようになったのかよくわかんなかったけど、怖くて一気読みで面白かったです。
⑫わが家は祇園の拝み屋さん
こちらもシリーズもので人気があったみたいなので読んでみました。かわいらしいお話で、どことなく「下鴨アンティーク」シリーズに雰囲気が似ています。舞台は京都、不思議な力が出てくる感じで。続きも読んでみたいなと思いました。
⑬遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠
キャラクター小説かなと思って読んでいたけれど、なかなか骨太な感じでした。遺跡発掘とかなかなか関わることはないけれど、面白かったです。
⑭ご機嫌な彼女たち
シングルマザーである4人の女性に焦点を当てた本。そえぞれ離婚や死別、未婚などで夫がいなく、子供のことや恋やいろんなことで悩みを抱えていて頑張っている女性たち。力を与えてくれる本だった。最後、結婚式ではうるっときました。勇気づけられます!
そしてこのあたりで最後30分を残したので断念。
夜も眠れないくらい(ベッドで22時から1時くらいまでで3冊読みました)夢中になりました。活字シャワーをたっぷり浴びた感じです。
角川文庫様、素晴らしいキャンペーンでした!
次回もっと推しの本などをわかりやすく検索できるともっといいなと思いました。なんせ数が多すぎて検索してもしても最後のページまでたどり着けない。
【自意識過剰な人が出てこない】自意識過剰探偵の事件簿
著者 真摯夜紳士
【内容】
彼女は事件を愛しすぎている!?
自意識過剰探偵が巻き起こす痛快青春ライトミステリー!
今日も何処かで、誰かが犯人にされている!?
子供の頃の夢を今もなお追い続ける自称女探偵、雲雀野《ひばりの》八雲《やくも》。
渋々ながらも、そんな幼馴染に振り回される、助手役を押し付けられた明義《あきよし》。
二人が繰り広げた事件の全貌は……暗雲立ち込める真実か、あるいは晴れ渡る虚構か。助手が探偵を騙くらかす、新感覚ボーイミーツガールミステリー!
【感想】
★★☆☆☆
「自意識過剰探偵」なんて面白そうなタイトル!と思って読んでみた。
しかし、私が読んだ感じでは登場人物の中には「自意識過剰」な人はどこにも出てこなかった。
自称探偵の女の子、雲雀野八雲は自信満々で早とちりというか、先走るというか。もしかして「自意識過剰」じゃなくて「自信過剰」なのではないか?と最終的に思った。それならしっくりくる。
登場人物の苗字は一風変わったものが多く、すぐには読めないものばかり。なかでも主人公明義はものすごく長くて変わった苗字らしいが、出てこなくて残念。でも別に奇をてらった苗字にしなくてもいいのではないかなと思った。流行ってるの?
著者も真摯夜紳士(しんしやしんし)さんという変わった名前。上から読んでも下から読んでもっという感じですね。
内容としてはそこそこ面白かったですが、タイトルとなんか合わなかったので☆二つ。
【時計屋さんの安楽椅子探偵】アリバイ崩し承ります
著者 大山誠一郎
【内容】
本格ミステリ大賞作家、待望の最新作は時計屋探偵!
殺人を告白して死んだ推理作家のアリバイとは!?
新米刑事が思わず通う、鮮やかすぎる謎解き――
時を戻すことができました。
アリバイは、崩れました――。
美谷時計店には、「時計修理承ります」だけでなく 「アリバイ崩し承ります」という貼り紙がある。
「時計にまつわるご依頼は何でも承る」のだという。
難事件に頭を悩ませる捜査一課の新米刑事は、アリバイ崩しを依頼する。
ストーカーと化した元夫のアリバイ、郵便ポストに投函された拳銃のアリバイ、 山荘の時計台で起きた殺人のアリバイ……
7つの事件や謎に、店主の美谷時乃が挑む。
あなたはこの謎を解き明かせるか?
【感想】
★★★☆☆
とてもライトなミステリ。短編なので電車の中などの通勤時間にさっと読めるお手軽ミステリ。しかも「アリバイ」に重きを置いたものなので、美谷時乃と一緒に事件の概要を聞きながら、一緒に推理できます。
なかなか突っ込みたくなるアリバイ工作がたくさんあり、読者のド肝を抜かしてきます。第一話の弁当などや、ほかにもいろいろ「いや、それ無理があるでしょ」って突っ込みたくなります。
そしてピアノ教師殺人事件では、容疑者の純子との恋がはじまるかはじまらないかの匂わせる記載がありますが、あれは完全に蛇足。いらない。
【暖かい話にほっこり】ぼくは朝日
著者 朝倉かすみ
【内容】
月刊「パンプキン」連載小説。
朝倉かすみ最新作『ぼくは朝日』単行本化決定!!!
1970年代、北海道小樽市。
何か問題や困難、心配事をかかえた人物と、主人公の【朝日】が出会う。
朝日は彼らとふれあい、心に寄り添っていく。
問題を解決できるほどの力は朝日にはないが、彼と接した人は、気持ちが少し明るくなり、気づけば自分の問題を乗り越えている。
ベストセラー『田村はまだか』の著者・朝倉かすみが贈る!
昨日よりもちょっと幸せになれる――
周囲に変化をもたらす少年と家族の物語。
【感想】
★★★★☆
途中から
を聞きながら読みました。誰もが耳にしたことがある曲ではないでしょうか。
舞台は昭和中後期くらいなのかな、カラーテレビが普及し始めたごろの北海道。
どの話もなんだか暖かく、読んで暖かな気持ちになれました。「溝口美容室」のエピソードが好きでした。
耳の聞こえない人でも、そうでないだれとでも、溝口ご夫妻のお客さんに対する態度が公平で、とても好き。
懐かしさも感じてとてもよかった。「三丁目の夕日」を思い出しました。
【まさかの結末に驚きと悲しみを隠せない】絵里奈の消滅
著者 香納諒一
【内容】
最後のページに「彼女」はいない――。
謎の女の正体にあなたは気づけるか?
元刑事で探偵の鬼束啓一郎。彼がかつて逮捕した男・牛沼が水死体で発見された。その前日、鬼束の携帯電話には、牛沼からの不在着信履歴が残っていた。その電話の用件とは、行方不明になっている娘・「絵里奈」を探してほしいという捜索依頼だったらしい。鬼束は依頼人不在のまま、牛沼の遺品の写真を元に、絵里奈の行方を追うことになるが……。失踪した謎の女を取り巻く闇に迫った鬼束が、最後に目にした衝撃の結末とは?
著者渾身の傑作ハードボイルド!
【感想】
★★★★☆
調査員鬼束がかつて自分が逮捕した男の娘「絵里奈」を追っていくうちに衝撃的な結末にたどり着くというミステリー。
絵里奈の周りを知っていくうちに、とても辛くなっていく。
母親は占い師で何回も結婚、そして兄が3人いて、そのうちの一人は癌で若くして亡くなっている。家庭環境が複雑すぎて、こんなん狂うわって思う。
そしていろいろと謎を紐解いていくうちに牛沼が持っていた写真の謎についてフォーカスしていく。家族写真に見えるのだが、母親、兄3人、そして赤ん坊を抱く少女。
その少女は「私」だと絵里奈は言うが、カレンダーの日付を見るとその赤ん坊のほうが絵里奈であることは確か。ではこの少女は誰なのか。
どんどん追っていくうちに衝撃の展開になっていき、ページをめくる手が止められない。
その少女は誰なのか、どこにいるのか、家族は一体何を抱えているのか。
そして鬼束の依頼料は支払われるのか。
読み応えのある本でした。