【本当の恐怖を味わいたい方へ】修羅の家
著者 我孫子武丸
【内容】
『殺戮にいたる病』を凌ぐ驚愕作!
簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。
一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。
【感想】
★★★★☆(怖すぎて)
我孫子 武丸氏の本は『殺戮に至る病』を最初に読んで「ただただすごい!」と思い、『8の殺人』を友人から借りて読んであわれ木下!とか思いつつも面白く、その後NetGalleyにて『凛の弦音』を拝読し素敵な作品だなと思い、幅広いミステリーを書く方だなと思いました。
『修羅の家』はもう、『凛の弦音』書いた人とは思えない、最初から最後まで恐ろしい作品。そしてさらに途中で「え!!!????」「ちょっと待って?」「どういうこと」と思う展開が訪れ、この「ハルオ」と共に自分の頭もおかしくなっていくような感覚を覚えました。語り手が2人(晴男と北島)いるんですが、あれ??????待って???となります。
とにかく戦慄ということばがふさわしい作品です。
読み始めたらもう止めることはできませんがもうとにかく怖くて怖くて、恐怖で震えます。
ホラーが好きな方にお薦め!!
二度目読み返す自信がまだないです。
この作品が好きならこの有名作品も!
こっちは雰囲気が変わって面白い。
個人的に好きでした。
【「残念ながら神様は休暇中だ」】 誘拐屋のエチケット
著者 横関 大
【内容】
誘拐されて、人生一発逆転してみませんか?
「無口でプロフェッショナルな誘拐屋」と「涙もろくて人情派な新人誘拐屋」が、SNS炎上、不倫スキャンダル、借金まみれな人生崖っぷちの人々を、攫って匿って問題解決!
そしてすべての出来事は、過去に世間を騒がせた大事件へと繋がっていく――。
新たな主人公誕生!
【感想】
★★★★★
「誘拐」と聞くと思い浮かべるのは「犯罪」「身代金」などなど・・・。
裏稼業である「誘拐屋」、これが本当に存在する仕事なのかはわかりませんが、とても楽しめました。
誘拐屋のタムケンこと田村健一は、無口でプロフェッショナルな誘拐屋。しかしある時から「涙もろくて人情派な新人誘拐屋」の根本翼とコンビを組まされることになり、淡々と仕事をこなすはずが余計なことまでする羽目に。
誘拐するのは元アイドル、借金で首が回らなくなったピアニスト、不倫スキャンダル中の女優、大関浜乃風、サッカーコーチ、不正を働いた会社「カントリーホーム」の雲隠れした社長など!世間から雲隠れするために誘拐して依頼人指定の場所に連れて行ったり、はたまた根本翼の余計なおせっかいでその誘拐にまつわる謎を解いたり。
文中の台詞、誘拐するときにタムケンがいう
「残念ながら神様は休暇中だ」
がとってもカッコイイ。
エンタメ性に富み、テンポもよくとても楽しめた作品でした。さすが横関 大さんって感じです。
【ヒーロー以外の何物でもない】僕たちはヒーローになれなかった。
著者 葉田甲太
【内容】
医者として働きながらも、名誉と出世、収入を捨てて、NPOを設立し、国内外の僻地でボランティアに勤しむことを書いた実話。 夢をあきらめたビジネスマンに捧げる自己啓発本!『僕たちは世界を変えることができない。』のその後のお話です。
【感想】
★★★★★
『僕たちは世界を変えることができない。』は読んだことがないんですが、どうやら映画化までされたようですね。著者が学校を作る話なのかな。
この話はその後のお話ですが、これから読み始めてもとてもよかったです。
何のために仕事をするか、何がしたいのか、その後のフォローはどうすればいいのかがきちんと考えられていて学校を立てておしまい、病院を作っておしまいではなくきちんとその後のフォローもしているところが素晴らしいなと思いました。
色々な理由でその仕事についていると思うけれど、葉田医師はいろいろ考えてこういうことをしているのだなと感銘を受けました。
医師だけじゃなく、自分の仕事についても今一度考えさせられる本でした。
【本屋で働く人の苦労がわかるエンタメ小説】店長がバカすぎて
著者 早見和真
【内容】
谷原京子、28歳。独身。とにかく本が好き。現在、〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員。山本猛という名前ばかり勇ましい、「非」敏腕店長のもと、文芸書の担当として、次から次へとトラブルに遭いながらも日々忙しく働いている。あこがれの先輩社員の小柳真理さんの存在が心の支えだったのだが……。『イノセント・デイズ』『小説王』の著者が満を持して放つ、ノンストップエンターテインメント。2020年本屋大賞ノミネート作品。
【感想】
★★★★☆
ちょっといまいちよくわからない腑に落ちないところはありましたが読んでいて楽しかったです。
書店で勤めるアラサー女子谷原京子の苦悩やミステリーが詰め込まれたお仕事小説でした。店長がなかなかのバカで、人の名前は間違えるしなんかよくわからないことは言ってるし、上司あるあるだなあとか思いつつ読み進めていくと、この店長がなかなか愛すべきおバカ店長になってきました。
最後の方、「神様」つまりお客様についても書かれているんですが、ツイッターとかによくあるような意見。新聞で見た赤い本が欲しいとか、無理難題を行ってくる神様ことお客様などなど。これはきっと本屋あるあるなんだろうなあと思いつつ楽しく読めました。
最後の方、マダムが号泣するところなんか頭の中が「???????」になったりとか、え、店長との関係これどうなってるんとか最後よくわかんないまま終わりましたが、全体的には楽しく読めました。
【犯罪被害者家族が悪党のその後を追う物語】悪党
著者 薬丸岳
【内容】
探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意し…。衝撃と感動の社会派ミステリ。
【感想】
★★★★★
重い、ずっしり重いけれど面白かった。
元警官の佐伯は同じく元警官の小暮の事務所で探偵として働いている。
そこに犯罪被害者家族からの依頼で、息子を殺した犯人が今どうしているか、赦せるのかどうか調査してほしいとの依頼。その後も連作短編として同じように犯罪被害者からの依頼で元悪党を追うが、その結果は様々。
そして佐伯もじつは犯罪被害者家族で少年時代に姉をレイプで殺されていた。秘密裏にそのレイプ殺人犯も追っていて、復讐をするつもりなのだろうかなどと読んでいて緊張したが、ラストはこれでよかったんだと思えるものだった。
薬丸岳さんの小説はなかなか裏切らないので色々読みたくなる。
【えらく風変わりな主人公とその家族の謎】暗黒残酷監獄
著者 城戸喜由
【内容】
家族って何なんですか
同級生の女子から絶えず言い寄られ、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだし、友人は皆無の高校生・清家椿太郎。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモの真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始める。明らかとなるのは数多の秘密。父は誘拐事件に関わり、新聞で事故死と報道された母は存命中、自殺した兄は不可解な小説を書いていた。そして、椿太郎が辿り着く残酷な真実とは。
選考会に賛否両論を巻き起こした前代未聞の若き才能が誕生。
第23回日本ミステリー文学大賞新人賞史上最年少受賞作 !
【感想】
★★★☆☆
話はまあまあ面白いんですが、いかんせん名前が奇をてらいすぎていて読みづらい。
椿太郎。これでちゅんたろう。スズメかよ!
他の家族とかも名前が分かりづらく漢字も読みづらい。途中から「パパ」「じじ」「ママ」「姉」「兄」とかに勝手に読みかた変更しました。ほんとそこもっとスッと読ませてほしい。この名前のせいでだいぶ読みづらい。
あと文章もなんだか回りくどい感じがしてだんだん慣れていったものの好きではないかな、この文章・・・・。好きな人は好きなのかもだけど。
話自体はよかったし、もっとスッと読めてたらよかったなあと思いました。
あとは主人公がよくわからん。つかめない。
キャラ自体もみんな狂っている人ばかり出てきたので正直読むのはしんどかったです。
【もし体がマヒしたら、あなたは切断しますか?】廃用身
著者 久坂部 羊
【内容】
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
【感想】
★★★★☆
著者の久坂部羊さんはお医者さんだそうで、この小説は一見ノンフィクション風に書かれていたのでリアリティがあり怖かったです。
小説は2つのパートに別れていて、レポート風に書かれた漆原医師のパート、そして漆原医師から原稿を託されたジャーナリスト目線の話でできています。
この漆原医師のパートが本当に医学レポートのように書かれていて、とてもリアル。
漆原医師が働くクリニックは老人用介護のデイケア施設。そこには手足がマヒした人たちもいて、精神的にも不安定な患者さんがいる。
そこで考えた画期的な療法とは、なんとマヒして使えない手足を切断という思い切ったもの。レポートの中ではその後の患者さんが精神的に元気になったことなどが書かれていて読んでいるこちらも、実は本当に画期的なのかな、どうせあっても邪魔なだけだしなんて思わせてきます。
ところがところが物語が急展開していき、衝撃的な展開に!どんどん不安にさいなまれていきます。
百聞は一見に如かず、是非読んでみてください。
介護の現実などがリアルに描かれていて面白いです。