【もし体がマヒしたら、あなたは切断しますか?】廃用身
著者 久坂部 羊
【内容】
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
【感想】
★★★★☆
著者の久坂部羊さんはお医者さんだそうで、この小説は一見ノンフィクション風に書かれていたのでリアリティがあり怖かったです。
小説は2つのパートに別れていて、レポート風に書かれた漆原医師のパート、そして漆原医師から原稿を託されたジャーナリスト目線の話でできています。
この漆原医師のパートが本当に医学レポートのように書かれていて、とてもリアル。
漆原医師が働くクリニックは老人用介護のデイケア施設。そこには手足がマヒした人たちもいて、精神的にも不安定な患者さんがいる。
そこで考えた画期的な療法とは、なんとマヒして使えない手足を切断という思い切ったもの。レポートの中ではその後の患者さんが精神的に元気になったことなどが書かれていて読んでいるこちらも、実は本当に画期的なのかな、どうせあっても邪魔なだけだしなんて思わせてきます。
ところがところが物語が急展開していき、衝撃的な展開に!どんどん不安にさいなまれていきます。
百聞は一見に如かず、是非読んでみてください。
介護の現実などがリアルに描かれていて面白いです。