【泰麒をひたすら愛でる巻】風の海 迷宮の岸
著者 小野不由美
【内容】
幼(いとけな)き麒麟に迫り来る決断の時──神獣である麒麟が王を選び玉座に据える十二国。その一つ戴国(たいこく)麒麟の泰麒(たいき)は、天地を揺るがす〈蝕(しょく)〉で蓬莱(ほうらい)に流され、人の子として育った。十年の時を経て故国(くに)へと戻されるも、役割を理解できぬ麒麟の葛藤が始まる。我こそはと名乗りを挙げる者たちを前に、この国の命運を担うべき「王」を選ぶことはできるのだろうか。
【感想】
★★★★★
これはエピソード0「魔性の子」の「神隠しの間」のストーリーになっています。
胎果で流されてしまった泰麒、しかし捜索の結果蓬莱から連れ戻しに成功。
麒麟への転変もできぬ、麒麟としての役割もよくわからない幼い泰麒の葛藤の物語。
とりあえずもう泰麒がものすごくかわいい。蓬莱(日本)では弟や祖母との関係に委縮する泰麒でしたが、蓬山でのゆったりとくらしに戸惑いも見せる。しかも大きな役割「王を選ぶ」が自分にきちんとできるのか、悩む泰麒。
Netflixアニメでも出てきたエピソードですが、正直活字の方が分かりやすかったというか、泰麒が王を選ぶとき、「王気」が小説の方では感じられたのではないかと思います。アニメでも面白いですが私は断然活字派でした。
ここでも世界観がどんどん複雑になっていきます。
麒麟も胎果から生まれ、母ではなく女仙によって世話をされます。
複雑になっていく世界観ですが、物語に深みが増してくるようでとても面白く感じられました。