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ぶくぶくブックレビュー

読んだ本のレビューを書いています。

【女性のための職業図鑑】女子のための「手に職」図鑑

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著者 華井由利奈

【内容】

パティシエ、ファッションデザイナー、アクセサリーデザイナー、ネイリスト……。女子が憧れ、かつ「手に職」と言える仕事100をリストアップ。「どうすればなれるか?」「大まかな年収は?」「子育て中もできるか?」「子育てが一段落した後も復帰しやすいか?」などの今日的観点から、それぞれの職業のポイントを見開きで構成。将来何になりたいか悩んでいる女子、そして娘をもつ親御さん必読の内容です!

 

【感想】

★★★★☆

就活に悩む女子大生必見!女性のための就職事典。


ここに書かれている仕事は女性の働きかたに特化していて、結婚後、出産後どのような働き方ができるかが書かれています。私も就活時「妊娠したらどうする?」「結婚したらどうする?」と面接で聞かれました。


私が働いていた日系航空会社は、早番✖2遅番✖2休み✖2の三交代制にでした。しかしここにある通り、空港で働く女性は多し。なので空港内に保育施設があったり、そういった面ではサポートが厚いです。

 

現在海外で働いていますが、海外に出てみると女性とか男性とかがほとんど関係ないことが多いです。女性も出産直前に休みを取り、その後は人それぞれ。知り合いでは産んで1か月後に職場復帰してる方もいます。男性女性がほぼ平等に近いので、男性も産休を1か月ほどとったり、保育園にお迎えに行くのは夫婦で交替で、食事の準備も交替でということが多いです。家事も子供の世話ももちろん夫婦平等です。

日本も本当の意味で平等になって、そういった体制に持っていけるようになったらいいなと思います。

 

【元武士と金髪碧眼チャラ男コンビの日常ミステリ】横浜奇談新聞 よろず事件簿

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著者 澤見彰

【内容】

B級新聞「横浜奇談」のモットーは、街の怪談・奇談なんでもござれ、面白ければそれでよし――。とある事情を抱える元武士・寅次郎が床屋で出くわしたのは、「ちょんまげが空を飛ぶ」という怪しい噂と、それを調べに来た記者・ライル。横浜奇談の仕事を手伝うハメになった寅次郎は、ライルとケンカをしながら街の奇妙なネタを調べるが、その裏には色んなたくらみや想いが詰まっていて……。凸凹バディ系連作ミステリ!

 

【感想】

★★★☆☆

明治維新で「武士」という仕事がなくなった元武士と金髪碧眼チャラ男コンビの日常ミステリ。

 

キャラクター設定がとてもよかったです。「元武士」として新しい時代になかなかなじめない寅次郎と日本が大好きな金髪碧眼チャラ男ライル。新しい時代への葛藤も描かれていて面白かったのと、日常ミステリを追いかけて読売にするという面白さ。その謎はほろりときたり、納得ものであったり、私もこの時代に生きていたらこの読売を読んでみたいなと思いました。
歴史ものが好きでも、歴史ものが苦手でも楽しく読めます。

 

 

(P[さ]6-1)横浜奇談新聞 よろず事件簿

(P[さ]6-1)横浜奇談新聞 よろず事件簿

 

 

【インフルエンサーに是非読んでもらいたい一冊】「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。

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著者 隙名こと

※ゲラ読了 2018/9/5刊行予定

【内容】 

高校のクラスメイトである、謎めいた美少女水品さんが、ある日主人公駒田を怪しいアルバイトに誘う。雑誌を買って電車に乗るだけ。駒田が15分で1万円だというその仕事の真の意味に気づいた時……。心に傷を抱える二人が出会い、未来を変えていく、ミステリータッチの青春ストーリー!

 

【感想】

★★★★★

作者のメッセージがはっきりと表れていて、とても考えさせられる小説でした。

 

インスタ映え」「BAE」「ツイッターでバズる」SNSが盛んになるにつれて、自分が名前を出さずとも「インフルエンサーになる」「注目される」ことが簡単になってきました。許可なく人や物の写真を撮ったり、動画を撮ったりしてSNSにアップする人、世界中に溢れています。やってる本人に悪気はなくても拡散されていくうちに「悪意」に代わっていく。

 

主人公の男の子も父親がなんとも珍しい亡くなり方をしてからかわれた過去を持つ。そしてヒロインの女の子も、過去のある事件によって笑うことができなくなった。

はじめはその衝撃的な父親の亡くなり方や、後から出てくるからかわれたあだ名に「秀逸」とちょっとくすっとしてしまうのですが、やっぱりそれがすごく主人公を傷つけたということで、そこを少し反省したり。

「日常の小さな奇跡を起こす」という仕事もちょっとしたミステリーに溢れていて面白かったです。物語を通して、作者のメッセージがとても上手に描かれていたと思います。


とてもライトな語り口ですいすいと読み進めることができるのですが、最後、真相がわかった時に少しだけ時が止まりました。

 

私も気づかぬうちにそんなことをしたりしていないだろうか。とか。

 

そういえば最近災害があった時に、Twitterは救助を求めるうえでとても役に立つ手段でもあったけれど、同時に被害にあっている方を興味本位で映してアップし、その画像が拡散されたりして傷つけていただろうなあとも。

 

誰もがスマホを持っている時代、そういうことが容易にできています。良識のある人が言ってもなくなることはなかなかない。こういった若者向けの小説でメッセージを送ることは、もしかしたらとてもいい手段なのかもしれないと思いました。

 

SNSだけじゃなくて、主人公の男の子が傷ついてしまったように「面白い」「秀逸」だと思ってもそういった何気ない一言が人をものすごく傷つけてしまうことがある。自分の発言にも注意しなければとも思いましたが、誰かが言ったときに、「そこでたしなめてあげる」ことができればと思いました。人は簡単に傷つくことができますが、その傷を治すのはとても時間がかかるし、擦り傷でも治らないこともある。

 


新人賞受賞ということで、まだ書き始めたばかりの新作家さんかもしれませんが、これからもこういったメッセージ性のあるものを書いていってほしいなと思いました。そして是非学校の図書館とかにも置いてほしいなと思います。

ティーンエイジャーの少年少女に是非読んでもらいたい本です。

【猫弁著者が描く、愛と復讐の物語】赤い靴

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著者 大山淳子

※ゲラ読了 2018/8/2刊行予定

【内容】

この復讐を終えるまでは、死ねない――。

悲劇に取り憑かれた魂の救済を描ききった、まごうことなき著者最高傑作。

母を惨殺された絶望と憎悪を背負い、山犬のように育った少女が、復讐の二文字を魂に刻みつけ、その後の過酷な時間を生き抜き、ついに復讐相手へとたどりつくが、そこで予想もしない出来事に翻弄されることになる---。

 

【感想】

★★★★★

読み終えたときに思わず感嘆のため息が出た。


研修医椎名が語る「葵」が欲しいものとして漏らした「赤い靴」という言葉から、母親とお手伝いの惨殺事件、山中での謎の男との過酷な生活、そして山を下りてからの「鬼退治」という復讐劇。一体この物語の終着点はどこなんだろうと考えながら読み進めた。惨殺事件や、犯人の正体、そして「鬼退治」の思わぬ展開に息をのみました。


「猫弁シリーズ」が大好きでうちにもありますが、そのほんわかとしていたミステリーと同じ方が書いたとは思えないような重く、深い作品でした。

 


最終的にこの作品は「愛」を問う作品なのかな、と私は考えました。

母親からのちょっと歪な「愛」、お手伝いさんからの包まれるような愛、櫂からの自立を促す実験のような「愛」、そして笹山からの「愛」など、たくさんの種類の「愛情」が描かれていた作品だったと思います。
葵は最終的に「愛」を見つけられたのでしょうか。特殊な人間に育ったので、なかなかそこが難しいところだなと思います。

 


とても心に残る作品でした。

【愛に溢れた親子の物語】トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?

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【著者】トレバー・ノア

【内容】

犯罪として生まれた僕に、かあさんは「笑い」という自由をくれた

ビル・ゲイツ絶賛、2017年「夏のおすすめ5冊」に選出
NEW YORK TIMES 2017ベストブック
Amazon.comで50週連続トップ10入り、4776レビュー平均☆4.8の圧倒的高評価! (2018/5/1時点、今も更新中)
★『ブラックパンサー』で注目のルピタ・ニョンゴ主演(母親役)で映画化決定

 

アメリカで人気風刺ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」の司会をつとめる、注目のコメディアン、トレバー・ノア。
特にトランプ大統領就任以降、「分断」の騒がれるアメリカでユーモアによって新しい風を吹き込む存在として、注目を集めている。
アパルトヘイト下の南アフリカで、彼の人生は「黒人の母と白人の父から生まれた」という犯罪行為からはじまった。

 

政府の目をかいくぐって暮らした幼少期、生き抜くために上達したモノマネ、悪友たちとの闇商売、モテなかった学生時代の淡い恋……
不条理な状況をユーモアで乗り超えていく母と子の生き様を描いた物語。

 

【感想】

★★★★★

この本を読んだ後、トレバー・ノアさんの生年月日を見て驚きました。私と同年代。っていうかちょっと年下!
それなのに人生でこんな修羅場をかいくぐって生きてきた彼。


アパルトヘイトについては学校でもさらっとしか習っていないと思います。ニュースでも大きく取り扱われていたとは思いますが、正直そんなに覚えてはいません。事実としては知っていましたが、遠い世界の話でした。

トレバー・ノアさんは、そんな時代に生まれた、よりにもよって白人との混血児でした。タブーの子なので、自分が「黒人」「カラード」「白人」のどれに入るのかの位置も微妙で、葛藤がありました。

 

そのお母さんは「自立した、自由で強い女性」のアイコンとでもいうような黒人女性で、子供が欲しいからとオランダ人の男性と子供を作ったり、その後エイブルと結婚し、二児を設けました。毎週教会に行き、「イエスのトップファン100人に入るほど信心深い」女性でした。トレバーが留置場に行ったときに「わたしが叩くのは、あんたのためを思ってのことだけど、世間が叩くのは、あんたをつぶそうと思ってのこと」と母さんが言うんですが、心にぐっと来ました。

 

アパルトヘイト」というのは白人が黒人を差別しているだけだと思っていましたが、それだけではないことがよくわかりました。先に言ったように肌の色も「黒人」「カラード」というものがあるし、アフリカ内でもいろいろな部族があり、言葉も違います。すでに国内でも複雑な関係である上に、そのピラミッドの頂上には白人たち。色のついてるものは不毛な地へ追いやられ、差別を受けます。
1994年、アパルトヘイトが廃止された後も、やはり急にそういった差別意識が変わるわけもなく。

 


「アフリカ人がつける欧米風の名前」エピソードの「ダンスがうまいヒトラー君」の話は面白かったです。ユダヤ人の多い学校にDJとダンサーとして呼ばれたトレバーとヒトラーくん、そりゃ、途中で止められるよね。「いいぞーヒトラー!」なんて掛け声されてたら。

 

たくさんの犯罪も出てきますが、こういう境遇だったらそういう商売をしてお金を稼ぐことも、しょうがないのだろうなと思った。

 


最後、衝撃的な展開を迎えますが、そこでも肝っ玉母さんの「イエスという保険に入っている」オチで笑いのエピソードに帰られて、さすがコメディアンだなと思いました。この母親がいるからこそ、トレバー・ノアさんが生き生きと輝いているのだろうなと思いました。

 

 

トレバー・ノア 生まれたことが犯罪! ?

トレバー・ノア 生まれたことが犯罪! ?

 

 

【おもてなしの精神】自分も相手も幸せになる最高の気づかい

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著者 中川奈美

【内容】

ANAの国際線CAの接遇術を掲載します!

難しいことをせず、背伸びもせず、「ちょっとだけ違うこと」を徹底すること。

それにより社内賞を受賞したり、VIP顧客から絶賛されたりしてきた著者の接遇術を是非ご一読くださいませ。

ネットギャリーでは一部原稿掲載します!

 

【感想】

★★★★★

私も日本にいたときは赤い方のエアラインで地上職として働いていたので、懐かしさを覚えながら読みました。


ここに書いてあることは、もしかしたら「知っていることばかり」かもしれません。
でも、「知っていること」と「できること」はまた別の話で、さらに「気付くこと」はとても難しいかもしれません。


実際振り返ってみると、エアラインで勤務していた頃よりも、30を過ぎた今のほうが「マナー」「気遣い」に対してもっと気付くことができるかもしれないと思いました。何より20代のばたばたしていたころは、本当にばたばたしていて飛行機の時間が迫っていてテンパることが多く、その限られた時間の中できちんとお客様の声に耳を傾けることができていなかったかもしれないな、と今では思います。

 

海外在住の今、そんなエアラインで働く人達を見ていても「耳を傾ける」なんてほとんどないですが・・・。むしろ「思い込み」で誤案内されることが多く、自分がしっかりしていないとダメなことがほとんど。

以前も外国籍の夫と日本に一時帰国するときに「日本に行くにはビザが必要だから、見せて」とチェックインカウンターで言われ、「いや、1か月で帰ってくるのでビザは必要ないですよ」というも、「いや、日本に行くだけでビザが必要なんですよ、知らないんですか???」と自信たっぷりに言われるので、こっちも「え!変わったのかな???」と思い不安になる。そして調べてもらうと

「ほら!90日以上の滞在にはビザが必要」って書いてあるわよ!と強く言われる。

 

「いや、だから1か月で帰ってくるんですが」というと

 

「あなたそれ言わなかったじゃない!」と逆切れされました。

いや、帰りの分も印刷されてるEチケット渡したし、さっき「1か月で帰ってくるから」といったし・・・。

まあこれは日常茶飯事なので「やれやれ」で終わりますが。こっちもいちいちそれに対して怒ったりしてたらエネルギーの無駄遣いですから。

 

日本に帰るとちょっとしたおもてなし精神に感動することがあります。逆に、日本で気遣いがあまりにもないと、かなりがっかりしてしまいますが。日本に対するハードルって結構高いです。

 

以前東京スカイツリーに遊びに行った際、シャトルバスに乗ったのですが、前払いでお金を払おうとしたら、一万円札しかありませんでした。運転手さんに「これってくずせないですか?」と聞いてたら私の夫の後ろにいた50代-60代くらいの男性に

 

「お前は馬鹿か!!そんなもんもわからずにバスに乗ろうとしてこのくそたわけが、さっさと降りろやこのくそ女。このたわけ!!」

 

と大声で怒鳴られました。

 

私自身もショックでしたが、何よりも、それを日本語がわかる夫に聞かせてしまい、申し訳ないのと恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。

私も細かいお金がなくて知らずにバスに乗ったことは多少人を待たせたこともあり、申し訳ないですが、そこまで言われないといけなかったかな、と結構ショックでした。

お金を崩せないですか?といったので私がほかの人から奪った時間は、そうですね、3分くらいでしょうか。ここまで罵声を浴びせられるとは思いませんでした。今でも忘れられません。この男性については怒りというよりは、同じ日本人として、私は恥ずかしいなと思いました。すぐ、運転手さんに「ご迷惑おかけしてすみません」と言い、バスを降りてお店でペットボトルのお茶を買い、次のバスを待ちました。

夫には何も言えませんでしたし、夫も何も言いませんでした。

 

外国人だったら、お釣りがなかったり、お金を支払うときに戸惑ってしまうこともあると思います。外国人じゃなくても、おのぼりさんだってそういうことあると思うし、私も一時帰国の時なので日本でバスに乗るの久しぶりだし、バス停にいったらすでにバスがちょうど来ていたので乗ったので細かいお金を確認してもいなかったし。

罵声を浴びせる前に、気遣いができる人になりたいなと思います。まあ、私あんまり人に対して怒ることはないんですが・・・・。

 

ホスピタリティの精神とまではいいませんが、相手に不快な思いをさせないように生きていきたいと思います。

 

【心揺さぶるミステリー】使命と魂のリミット

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【著者】東野圭吾

【内容】

「医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」突然の脅迫状に揺れる帝都大学病院。「隠された医療ミスなどない」と断言する心臓血管外科の権威・西園教授。しかし、研修医・氷室夕紀は、その言葉を鵜呑みにできなかった。西園が執刀した手術で帰らぬ人となった彼女の父は、意図的に死に至らしめられたのではという疑念を抱いていたからだ…。あの日、手術室で何があったのか?今日、何が起こるのか?大病院を前代未聞の危機が襲う。

【感想】

★★★★★

最初のほうはいろいろな思惑が交錯していて、感情が忙しかった。

父親が亡くなった時の執刀医のもとで学ぶ夕紀。しかも西園医師は自分の母親と父親亡き後交際し、再婚することに。

しかも昔の思いがけない父親と西園の関係に疑いは増すばかり。

 

そして一方は看護師・望に近づく怪しげな男。

どうやら自動車会社の社長の動きを探っているようで、病院に脅迫状を送っている。

 

犯人はわりと最初から明らかにしてあるものの、複雑な人間関係に犯人側にも同情してしまったり。

 

最後、望が犯人の良心に訴えているところはかなりこちらの心も痛んだ。

そしてラスト一行の台詞にジーンときた。

 

 

とてもよくできたストーリーだった。

 

 

使命と魂のリミット (角川文庫)

使命と魂のリミット (角川文庫)