【哲学者コントがめっちゃ面白い】猫狩り族の長
著者 麻枝 准
【内容】
今まで虚構を描いてきた。
初めて本当に思っていることを書きました――麻枝准
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『CLANNAD』『Angel Beats!』『神様になった日』――
話題作を作り出し続けるカリスマの内心が初めて明かされる処女小説、緊急刊行
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海辺で出会った彼女は、美しく饒舌で世界で誰よりも――死にたかった。
猫が戯れるのを眺めていた女子大生・時椿は、断崖絶壁に立つ女性に声をかける。
飛び降りようとする黒髪の美女・十郎丸は、多くのヒット曲を手がける作曲家だった。
彼女は予想に反して、雄弁で自信に満ちた口調で死にたい理由を語ってのける。
人生で初めて出会った才能豊かな人間が、堂々と死のうとしている事実に混乱する時椿。
なんとかその日は十郎丸を翻意させ、下宿に連れて帰ることとなる。
なぜか猫に嫌われる死にたい天才作曲家と、何も持たない大学生。
分かりあえない二人の、分かりあえなくもあたたかい6日間が、始まった。
麻枝 准の生きている世界はこんなにも苦しくて、理不尽なものだった――。
「泣ける」ことだけにこだわり創作してきた彼が純粋に書きたいものを初めて書いた処女文芸作品。
【感想】
★★★☆☆
会話の掛け合いが、どことなくライトノベルのようで、テンポよく進んでいく作品です。
私は特にじっちゃん&ばっきーの哲学コントが好きでした。面白すぎる。
タイトルの意味が途中まで全然出てこないんですが、最後まで読んで、なるほどと思いました。
自殺を止めようとする大学生の時椿と有名アーティストの作曲家・十郎丸の6日間は、どのようになっていくのかなと読み進めていき、その中でも十郎丸の苦しみなどはすごくすごくよくわかりました。水族館のイルカのたとえなんかはもう、なんだかこちらも説得されて、ほんとに生ってなんなんだろうとか思いました。
私にとってはとても悲しい結末だと思いました。