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ぶくぶくブックレビュー

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【閉鎖的な社会について考える】ひきなみ

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【著者】千早 茜

【内容】

私たちずっと一緒だと思っていたのに。彼女は脱獄犯の男と、島から消えた。

小学校最後の年を過ごした島で、葉は真以に出会った。からかいから救ってくれたことを機に真以に心を寄せる葉だったが、ある日真以は島に逃げ込んだ受刑者の男と一緒に島から逃げ出し、姿を消してしまう。裏切られたと感じた葉は母に連れられ東京へ戻るが、大人になって会社で日々受けるハラスメントに身も心も限界を迎える中、ある陶芸工房のHPで再び真以を見つける。たまらず会いに行った葉は、真以があの事件で深く傷ついていることを知り――。女であることに縛られ傷つきながら、女になりゆく体を抱えた2人の少女。大人になった彼女たちが選んだ道とは。

 

【感想】

★★★★☆

なかなか嫌な人ばかりが出てきて、島とか田舎とか、こういう閉鎖的な考えの人って結構いたりするよね、「女は〇〇」とかよくあるある、と少し嫌な気分でした。

でも、そういう嫌な気分がするということは今現在の私を取り巻く環境はそうではないから幸せなのかもなと思います。

脱獄犯の「お兄さん」に出会ったところから真以と葉の道は分かれてしまいますが、大人になって再会した二人がいたのもやはり先入観やセクハラがある世界。時がたっても、場所が変わっても、そういうのはなくならないんだよねと少し残念に思いましたが、立ち向かう葉を思わず「頑張れ」と心の中で応援していました。二人が島に戻る場面では売るっと来ました。