【学校にいけない子供たち】ぼくらはアン
著者 伊兼源太郎
【内容】
2019年冬――弁護士事務所で働く諒佑のもとに、幼馴染みの誠の捜索依頼がもたらされた。幼少期の悲痛な経験から皆で集まると決めている日を目前に、誠はなぜ失踪したのか。諒佑は誠たちと過ごした日々を回想する。
無戸籍者、ヤクザの親分の息子、不法滞在者……複雑な事情を抱えて生きていた諒佑ら5人の子どもたち。学校には行かずとも、四季折々の美しさを見せる山里で、楽しく豊かに暮らしていた彼らの生活は、ある殺人事件を境に一変した
誠の失踪は、あの事件と関連しているのか。彼の足取りを追う諒佑が辿り着いた真相とは。
警察・検察小説で頭角を現した著者、新境地たる書き下ろし長編!
【感想】
★★★★☆
アンと聞いて、私が思い浮かべたのは赤毛のアン。
孤児とかそういう系のお話かなと思って読み始めました。
無戸籍の双子、やくざの息子、そして不法滞在中の両親から生まれたタイ人の姉弟。
学校に行くことができない、生きづらいという問題を抱えている子供たち。
戸籍を作ろうと弁護士の「センセイ」と頑張ったけれど許可が下りないとか、お役所仕事とか、読んでいてとても辛いし、憤りを感じた。社会的弱者に対するお役所対応、現実はどんな感じなのでしょうか。
彼らも大人になり、それぞれ生計を立てるために生きていくのですが、その中で「アン」という由来が判明。そっちのアンなのか、と納得するも、重く、苦しいお話でした。