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ぶくぶくブックレビュー

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【初心者が投資について学べる小説】老人ホテル

著者 原田ひ香

【内容】 

 埼玉県の大家族で育った日村天使(ひむらえんじぇる)(19)は、生活保護を受け自堕落な生活を送ってきた。大家族ファミリーとしてテレビにも出ていたが、親に利用されることに傷つき16歳で家を出て、大宮のキャバクラ「マヤカシ」に勤める。そこでビルのオーナー綾小路光子(73)と知り合った。キャバクラの関係者は皆、光子に頭があがらない。そんなかっこよく生きる光子に憧れていた。

 五年後、古びたビジネスホテルにひっそりと暮らす光子と再会する。そのホテルには、訳あり老人たちが長逗留し、それぞれが何かを背負って生きていた。あのきらびやかに輝いていた光子の最晩年は、どんな人生を歩んできたのだろうか。

 暮らしに切羽詰まった天使は、自分で稼いで生きる女になりたいと、不動産投資家だという光子の指南で金儲けをしようと目論む。何も知らず、何もできないまま生きてきた天使が、ホテルの清掃員となって光子に近づき、ゼロからの投資で生きるノウハウを学ぶことになるが……。

 

【感想】

★★★★★

「お金持ちになりたい」誰もが思うことですよね。

 

この夏、『三千円の使い方』という原田ひ香さんの作品を読みました。新聞広告で「これを読んだらお金が貯まる!」と書いてありました。お金の使い方に関して少し学べる家族小説といったところでしょうか。その本を読んでお金が貯まるかどうかは正直過剰広告では?と思いましたが、面白かったです。

 

さて、この本は私は『三千円の使い方』よりも学びが多いのではないかと思いました。

ただ、この本のテーマは「投資」。身近なお金の使い方というものではありませんが。

 

主人公の天使(えんじぇる)さん。そのキラキラネームから親はいったいどんな人・・・?という感じですが、大家族の末っ子です。他に大天使(ミカエル)我天使(ガブリエル)漢字忘れましたがアダム・イブという兄弟がいます。大家族で大家族番組にも出ていたことがある一家です。

 

さて、この天使さん。高校を入ってすぐ中退して、ガールズバー、キャバクラでバイトをした後キャバクラで出会った光子というおばあさんを追いかけ彼女の住むホテルの清掃員になります。そして光子にお金持ちになる方法を教えてもらうことになるのですが、この光子さんがすごい!彼女が得意なものは不動産投資で、一般の人は不動産投資、どうなの・・・という感じじゃないでしょうか。

 

でも天使に教えるんです。パソコンの使い方もわからないし保険や年金についてもさっぱりの彼女に。なので読者は何の知識もなくても学べます。

私、実用書はあまり読まない人で、掃除とか、ファッションについては興味があるけれど、投資なんてものは全然手を出しません。けれどこの小説はすごい。小説を読みながら頭の中で投資がわかるようになる。

 

もちろん不動産投資だけじゃなく、積み立てNISAとかふるさと納税なんかの割と身近なことについても書いてあります。天使と一緒にめっちゃ学べます。

 

そして小説としても面白い。まさに一石二鳥な小説です。

投資とか全然わからないから私には無理、と思っている人。ちょっと読んでみてください。