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ぶくぶくブックレビュー

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【地方病院がんばれ!】 奇跡を蒔くひと

著者 五十嵐貴久

【内容】

年間四億円の赤字を理由に、地方小都市の市民病院は消滅寸前。医師たちがこぞって辞めていく中、三十四歳の青年医師、速水隆太は院長に名乗り出た。課された使命は三年で赤字ゼロ――。無理難題を前に、「すべての患者を断らない」という方針の下、病院再建に奔走する隆太の行動力は、周囲の人びとをも巻き込んでいく。医師会、市議会、そして国。巨大な壁を相手に奇跡は起きるのか!? メディアで注目の病院の復活劇をモデルに、ベストセラー作家が描く勇気ある人びとの戦いの物語!

 

【感想】

★★★★☆

地方の市民病院の奮闘を描く物語。

市民病院経営というのはこんなにも大変なのかとびっくりした。自分も社会人の時に市民病院に救急で運ばれてそのまま入院したことがある。確かに私立の病院などと比べてトイレが和式だったり、施設が古かった覚えがある。

 

市民病院がある市によって補助金などの額や患者層もかなり変わってくるんだなあとこの本を読んで、その通りだと思った。普段別段考えたこともないけれど、入院したりその病院に通う患者になって初めて気づくことだろう。

病院や学校のない市には人は暮らしたいと思えない。なので病院をなんとか再建させたい!

お年寄りばかりの小さな市、詩波市の市立病院を救うために立ち上がったのは若き医師。というか上の人がみんなよそに移ってしまったりでいきなり院長に就任してしまった。

病院祭をやってみたり、病院内では就寝時以外服に着替えるなとの変わったアイディアを出し、着替えのお手伝いを大学生ボランティアに頼んだり、中学生に病院見学に来てもらい入院患者と会話をしてもらったり。

 

章に日付が書いてあるので、もうすぐ、もうすぐコロナが上陸してしまう!!!と思いながら読み進めていくのはなんかちょっと面白かったです。

 

五十嵐さんはホラーから恋愛小説からはたまたブロマンス小説(ちょっと読んでみたかったが発売に間に合わなかった)からこういったお仕事小説までいろんなジャンルのお話を書いてくれて、どの作品も面白い。これからもいろいろな作品を生み出してもらいたいです。