【すべての話が傑作】 スモールワールズ
著者 一穂ミチ
【内容】
やるせなくて不自由で、思い通りにならないけれど、愛おしい私たちの世界。
ままならない現実を抱えて生きる人たちの6つの物語。
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合えなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった高校時代の先輩と後輩。
誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。
【感想】
★★★★★★・・・(星が止まらない)
間違いなく今年読んだ中で一番好きな本です。もうこれは紙の本で買うことは決定です。早く日本に帰りたい。隔離期間がなければ帰りたいのに・・・。
連作集ですが、どの話も全て傑作。そしてそれぞれ読後感が違う!
「魔王の帰還」はすごいゴリラみたいながさつなお姉さんと弟の話なんですが、もう最後涙が止まりません。短編なのにすべての話がしっかりしていて、短さを感じさせない重厚感があります。
「ネオンテトラ」とかはもうぞくっとぞわっとしました。
「愛を適量」では、親子の交流を書いた話ですが、離婚して別れた娘の変わりように父驚きながらも娘を理解しようとするお父さんが本当によかったです。
もうほんと、どれもこれも素晴らしい。間違いなく今年一番。
著者の一穂ミチさん、BL作家さんなんですが、凪良ゆうさんや、榎田ユウリさんなど、非BL作品も素晴らしいし、BL作家さんの快進撃が止まりませんね。凪良ゆうさんは今月のダ・ヴィンチで特集されていて、読みたい本リストを結構作ったのですが、一穂ミチさんや榎田ユウリさんの特集も是非是非してほしいなと思いました。そういえばBL特集前やってたな。でもあれはマンガだけだったような。
とにかく早く日本に帰りたい。そして本屋さんに行きたい。